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ソフトウェア品質管理研究会
特別講義 2022年度
特別講義レポート: 2024年 過去のテーマ: 一覧
 
例会
回数
例会開催日 活動内容
 2022年
1 5月20日(金)

特別講義

テーマ 宇宙分野でのソフトウェアのリスク管理の事例
講演者 大久保 梨思子 氏
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 研究開発員
2 6月24日(金)

特別講義

テーマ リモートワークにおける「コミュニケーションバグ」をなくすための考え方・組織設計
講演者 池田 朋弘 氏
株式会社メンバーズ 顧問
6 10月14日(金)

特別講義

テーマ エンジニアに必要な図解思考の習慣とは?
講演者 開米 瑞浩 氏
アイデアクラフト 代表
7 11月11日(金)

特別講義

テーマ Software Process Innovation
講演者 福井 信二 氏
Goldratt Japan
8 12月9日(金)

特別講義

テーマ DXと要求工学
講演者 山本 修一郎 氏
名古屋国際工科専門職大学 情報工学科 教授
 2023年
9 1月13日(金)

特別講義

テーマ アジャイルと品質
講演者 細谷 泰夫 氏
三菱電機株式会社 設計システム技術センター ソフトウェア技術推進部
本研究会 研究コース4「アジャイルと品質」アドバイザー
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第1回特別講義 レポート
日時 2022年5月20日(金)10:00 ~ 12:00
実施形態 オンライン(Zoom)開催
テーマ 宇宙分野でのソフトウェアのリスク管理の事例
講師名・所属 大久保 梨思子 氏(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 研究開発員)
司会 金子 朋子 氏(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ/本研究会 研究コース6 主査)
アジェンダ
  1. はじめに
  2. ソフトウェアのリスクおよび決定論的故障とは?
  3. 決定論的故障の宇宙分野での事例
  4. システムおよびソフトウェアのリスクを低減する取り組み事例
  5. 質疑応答
アブストラクト

目に見えない・全てを検証することが極めて難しいソフトウェアにおいて、そのリスクを識別・管理することは、高い信頼性が必要な製品にとって非常に重要になります。しかしながら、ソフトウェアの品質やリスクもまた目には見えないものであるため、捉えることが非常に難しいです。
ソフトウェアの品質が損なわれている状態である決定論的故障とは何か、そして決定論的故障につながる欠陥を開発中に発見することが難しい理由について、宇宙分野での事例を交えて解説します。さらに、近年の宇宙分野における、製品リスク低減のための動向や事例についてご紹介をします。

講義の要約

講演者の都合によりレポートの掲載はございません。

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第2回特別講義 レポート
日時 2022年6月24日(金)10:00 ~ 12:00
実施形態 オンライン(Zoom)開催
テーマ リモートワークにおける「コミュニケーションバグ」をなくすための考え方・組織設計
講師名・所属 池田 朋弘 氏(株式会社メンバーズ 顧問)
司会 金山 豊浩 氏(株式会社メンバーズ/本研究会 演習コースⅢ 主査)
アジェンダ
  1. コミュニケーションバグという考え方
  2. テレワーク時代に求められるコミュニケーションスタンス
  3. リモートコミュニケーションの4つの課題と対応方針
  4. チームビルディングに欠かせない3つの取り組み
  5. スムーズな業務進行の3つのコツ
  6. リモート会議の生産性を上げる2つの工夫

※本アジェンダは当日の講義内容に合わせた内容となっております。

アブストラクト

コロナによりリモートワークが急激に拡大して早くも2年が経過し、働き方の一つのパターンとして認識が広がりました。しかし企業のマネジメント・管理職の視点では、「リモートワークだと生産性が下がる」「チームの求心力を維持できない」という危機意識は高く、コロナ禍における一過性の対応策として捉えてしまっているケースも散見されます。このような危機意識は、時間・場所が離れた働き方における「コミュニケーションの難しさ(コミュニケーションバグ)の発生」が主要因の一つです。
本講義では、2016年からリモートワークを導入して全国採用を行い、正社員・業務委託など様々な働き方で数千人との仕事経験・雇用経験を踏まえ、リモート時代にどのようなコミュニケーションスタンス・組織設計の考え方が必要かについて、具体的な取組・事例を交えてご紹介します。

講義の要約

◆ 講師紹介

池田 朋弘 氏・株式会社メンバーズ 顧問

【略 歴】
2013年に㈱ポップインサイトを創業。2016年から全社リモートワーク・全国採用をスタート。80人以上の全国の正社員を完全リモートワークでマネジメント。
2016年に㈱MIKATA(現:イングクラウド)を創業。「在宅ワークス」を立ち上げ、数万人のフリーランス・在宅ワーク希望者を組織化し、インターネット上で「文章作成」「AIデータ生成」などの業務を行う。
2018年より東証一部上場㈱メンバーズの執行役員に就任。コロナを受け、2020年より1,500人以上の社員の大半をリモートワーク・在宅ワークに移行。

【研究論文や著書】
2020年11月に『テレワーク環境でも成果を出す チームコミュニケーションの教科書』を上梓

【その他(学位、表彰、学会活動)】
2018年、総務省「テレワーク先駆者百選」に選定


1.コミュニケーションバグという考え方
  • コミュニケーションバグ(造語)
     =伝えたいメッセージが相手に正しく伝わらない状態・原因
    • 元はUXリサーチにおけるWebサイト上のコミュニケーション課題(例:知りたいことがわからない)の改善において用いていた用語
    • 対面コミュニケーション、リモートコミュニケーションでも同様の課題がある
2.テレワーク時代に求められるコミュニケーションスタンス
  • リモートワークのよくある課題
    • 雑談がない、様子が見えない、連絡が遅い、議論しづらい、伝えづらい
    • コミュニケーションバグの発生要因をテレワークで片付けず改善できる
      • Googleの心理的安全性に対する研究結果からもチームメンバーが同じオフィスに居ることは関係がない
  • テレワークでコミュニケーションが難しい理由
    • コミュニケーションスタンスを従来型からニュースタンダートに変える
      十分な期間が無い中でテレワークが適用されたことが要因
      • ハイコンテキストなコミュニケーション(従来の考え方)
          同じ環境で察する、空気を読む *日本人の特性
      • ローコンテキスト(ニュースタンダード)
          言わなければわからない、自分から伝える
    • 裏付け:国別比較においてコミュニケーションスタンスがローコンテキストの国のほうがテレワーク普及率が高い(日本は世界においてハイコンテキスト)
  • チームディスカッション(15分)
    • テーマ:
      今後の社内コミュニケーションでローコンテキストを意識することでできること/すべきことはあるか?
    • <チーム回答例>
      • テキストコミュニケーションだと方言から感情を読み取りにくい
      • 作業の明文化をして他部門と合意すべき
      • 背景が違うことを理解して「普通」という言葉を持ち出さない
    • <質問>先輩や新人の仕事ぶりを観察することがローコンテキストだと難しいがどうすべき
      • <回答>誰が何をやっているか可視化することが有効、(カレンダー、日報、動画)
3.リモートコミュニケーションの4つの課題と対応方針
  • 課題パターンと対応方針
    • チームの一体感が出しづらい
      →「お互いを知る機会が少ない」ことを前提としたチームビルディングの徹底
    • 連絡・相談しづらい
      →「相手の様子が分かりづらい」ことを前提とした業務コミュニケーションの設計
    • オンライン会議を進行しづらい
      →「オンライン会議は難しい&疲れる」ことを前提としたオンライン会議進行力の向上
    • 管理・サポートがしづらい
      →「状況が分かりづらい」ことを前提としたリモートマネジメント力の向上
  • コミュニケーションの改善の3要素
    • チーム単位の仕組みの問題【改善が簡単】
      • コミュニケーションプロセス
      • コミュニケーションスキル
    • 個人単位(姿勢/能力の問題)【改善に時間がかかる】
      • コミュニケーションスタンス
  • ルール作り≒期待値の調整
    • 例:レスポンスの期待値が異なる(即レス、業務集中時は連絡せずに纏めて連絡する)
       →ルール(期待値の合意)がないとストレスになる
4.チームビルディングに欠かせない3つの取り組み
  • 課題
    • リモートでのチームビルディングが難しい(互いを知る機会が少ない)
    • 相互理解のキッカケが必要
  • 取り組み
    • 1on1 (部下から上司への相談、メンバー同士)
      →オンラインであっても深い話がしやすい
    • 自己トリセツ(コミュニケーション特性の明文化)
      →相互回覧で相手理解を促進
    • 合宿/オンライン合宿(1時間〜1日程度でしっかり理解)
      →チームミッション理解・相互理解
  • リモートワークのよくある論点
    • 「レスの速度」、「コミュニケーションツール使い分け」、「文書のフォーマル度合い」「スタンプの活用有無」、「レスポンスの確認頻度」、「報告相談の頻度/粒度/フォーマット」、「業務時間内のステータス表示、業務時間外の連絡方法」
5.スムーズな業務進行の3つのコツ
  • 仕事の様子が見えづらいため「状況の可視化」をする
    1. オンライン会議(始業時に会議、各自の予定共有)
      →業務予定だけでなく雑談タイムを含めると良い
    2. カレンダーでの可視化(予定を出来る限り詳細に入力)
      →チームメンバー向けの可視化ツールとして活用
    3. 自分チャンネル/ 分報告(自分の状況を自由につぶやける専用チャンネル)
      →状況可視化、コミュニケーション活性化の寄与
    4. <質問>作業分解が重要だがなれていない新人にどう教えたらよいか
        <回答>新しい作業などは大枠で入れてもらったうえで慣れてきたら細かく入れる、
            反復が多い作業は予定時間など細かく入れる
    5. <事例>Slackコミュニケーションでワイワイチャンネルを作ったら賑わった、自分のチャンネルのタイムスも状況が詳細に共有されてよかった
      →導入のテクニック:一部チームからトライアルするのが良い、見るのは任意にする
6.リモート会議の生産性を上げる2つの工夫
  1. オンライン会議の大変さを「事前アジェンダの準備」で改善
  2. 会議のスムーズな進行のために「表情の活用(映像は基本ON)」をする
    →表情はパワフルな表現手法、印象も全く異なる
まとめ
  • リモート化で顕在化したコミュニケーション課題の要因は「テレワーク」という働き方だけでなく、ハイコンテキスト前提のコミュニケーションによる部分も多い
  • コミュニケーションのスタンス・スキルを変えることは容易ではないが、チーム内での仕組みやルールは導入しやすい
  • チームビルディング・業務進行・オンライン会議など様々なシーンでチーム内の期待値を揃えて工夫していくことで、テレワークのメリットを享受しつつ働きやすい環境を創れる
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