第4期レポート

第7回 ソフトウェア品質保証部長の会 レポート

開催日:2013年6月5日(水)
各社の品質保証部門長で構成する当会は、原則として毎月1回開催しています。
第4期の第7回目に当たる今回は、対談とテーマ別グループ討論の2部構成で実施しました。
前半の対談は、東京大学名誉教授の飯塚悦功先生と元日立製作所の大島啓二様のお二人をお招きして、「“モノづくり”における日本の強みとソフトウェア技術者への期待」をテーマに、フロアからの質問に対する回答というスタイルで行いました。
飯塚先生と大島様は同部長の会の企画委員でもあり、本会のことはよくご存じということもあって、途中、途中にフロアからの発言もありつつの、終始ざっくばらんな雰囲気での対談となりました。
視点は次の3つ。事前に部長の会のメンバの方にお伝えして、質問を考えてきていただきました。
  1. 最近のソフトウェア技術者の力は・・・
  2. どうしたらよいソフトウェア技術者が育つのか・・・
  3. 世界に貢献できる「日本ならではの価値」は・・・

実際に討議できた質問は次の5つです。質問はまだまだあったのですが、残念ながら時間切れとなってしまいました。
「IT技術者とは?」「技術者としての力は退化しているのか?」「ソフトの世界でも徒弟制度は有効か?」「これからの日本の強みは?」

IT技術者とは?

IT、ITの技術を知っている人。しかし、システムを作るときは、知識は必要条件ではない。必要なのは、理解力、記憶力、言語能力、概念を定義して作り上げる技術。目的と手段をつなげられる力である。

技術者としての力は退化しているのか?

必要とされる能力が違ってきた。どのような人間が優秀とされるのか、判断基準が変ってきた。
80年代の日本は西欧に追いつけ追い越せという目標があった。「良いものを安く」に価値があった時代でもあった。しかし、時代が変わり、「価値」そのものの意味も変化してきているので、いわゆる「品質のよさ」だけでは勝てなくなってきている。提供側で考える品質ではなくお客様満足の価値が重要と言うことでもある。
技術者の力が落ちているのではなく、環境や時代の変化で「期待される価値」が変わっているだけであろう。その意味では高度成長時代とは違った難しさがあるのではないか。

ソフトの世界でも徒弟制度は有効か?

OJTでの伝承という意味で徒弟制度は有効である。上手な経験、疑似体験など。大学で学んでも、すぐに使えない。
体系的知識は必要かもしれないが、知識は手段であって、知識だけあっても役に立たない。果たすべき役割と目標を結びつけられるかどうかだろう。ミッションとゴールを認識した上で、親方を見、失敗して、学び、育ち、親方を超えると言うことだろう。
ただ、「今でも良い親方が存在するか」という点については一抹の懸念・疑念があるが。

日本の強みは?

未定義でも前進できるずうずうしさ。「例の件よろしく」で通じてしまう。
未定義の領域だったら活躍できる。例えば、変更が次々にくるところでは強さを発揮する。
ただし、若い人たちは、未定義でつながる場合の必要条件であるイメージの共有を育てる場を積極的に持たなくなってきている。定義が必要になってきた。
改善は得意だけど、計画は弱い。
では、何をやらないといけないか。守るべきこと、変えるべきことは何か。暗黙知の定義化は必要ではあるが、定義と暗黙知の中間を大事にしてほしい。

最後に、「いつも、いつも、いつも考える。なぜ、どうして、何?と考え続けてほしい。
提供の価値に対する評価が「品質」=顧客価値提供マネジメントであり、経営の大きな柱である。品質保証に関わっている方は自信をもってほしい。」と締めくくられました。

今回ご登壇いただきました飯塚先生の最新刊 「品質管理特別講義 基礎編」の詳細はこちらから

飯塚先生(左)と大島さん(右)
会場からの質問に
熱く思いを語っていただきました
対談に耳を傾ける会場

引き続き、各テーマにわかれてのグループ討論です。
以下にその内容を紹介します。

グループ1「ソフトウェア品質保証の肝 PartII」

これまで議論してきた内容を整理し、SQiP発表の骨組みを検討し、4つの視点でまとめていくことにした。

  1. 悩みの構造を解析する
    なぜ肝が生まれるのか、その前段階の、悩みが生じるメカニズムを考察する。
  2. 品質保証部門と開発部門が対立する理由
    悩みに共通する課題にある開発部門との対立がなぜ生じるのか?
  3. 失敗事例から学ぶ
    悩みの解決なんて簡単ではない。肝を知ったからと言ってすぐに実践できるわけではない。肝に至るまでのドロドロした失敗事例を題材にして、肝を生み出す原動力は何だったのかを考える。
  4. 品質部門はどうあるべきか
    悩みの解析、失敗事例、開発部門との対立の理由などを通じて、結局、品質部門の立ち位置や成熟モデルなど、品質部門がどうあるべきかの考え方をまとめる。

グループ2「経営視点からみた品質保証」

品質部門の実施している各種品質活動のデータなどから、経営者や開発部門に報告や提言している内容について、各社の実施内容を収集した。
層別すると、次の4つになる。

  1. 事故情報の報告
  2. PJ状況の報告(赤字、状況など)
  3. 組織としての弱点の報告
    PJの状況や、品質活動の各種のメトリクスとその分析と次期の施策や中期の施策
  4. その他

上記の 2. 3. に絞って内容を深堀して、まとめていくこととした。
品質部門の存在意義、経営にどれだけ貢献できているか、品質部門の活動の有意性や課題、どう改善していくのかといったことも盛り込んでいきたい。

グループ3「超上流からの品質保証」

各メンバーが超上流の品質保証について、品質保証部長の方々に行うアンケート案を作成し、事前に展開した。
それを元に、プロアクティブな品質保証とは、超上流の品質保証の着目点をお伝えできるアンケート項目を何かという議論を行い、アンケート項目等を決定した。

グループ4「聞いてもらいたいソフトウェア品質保証部とは-組織・役割・ミッション」

品質の「監理(取り締まる)」から「管理(取り仕切る)」へとレベルアップの問題を検討したなかで、第2期部長の会アウトプット「品質保証プロセス進化論」を参照したところ、第4象限で定義される以前の状態も品証の存在位置としてあるという考えに至った。
その段階を、組織が無い状態から品証の設立・立ち上げの段階と考え、いかにその時期を過ごして今日に至ったかを振返った。
今回、品証の立ち上げから上位の象限に至る過程で品証として何を行ってきたか、どういう問題があり、どのように解決してきたかを経験・知識・情報およびアンケート結果をまとめてガイドとして整理、報告内容としてまとめていく。

次回の部長の会は7/3(水)です。
また、終了後には、情報を掲載させていただきます。
お楽しみに!