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ソフトウェア品質管理研究会
特別講義 2017年度
特別講義レポート: 2017年 2016年 2015年 過去のテーマ: 一覧
 
例会
回数
例会開催日 活動内容
 2017年
1 5月12日(金)

特別講義

テーマ "コトづくり"による顧客価値創造のメカニズムを考える
講演者 圓川 隆夫 氏
(職業能力開発総合大学校長/東京工業大学名誉教授)
2 6月9日(金)

特別講義

テーマ 複雑な問題を解決に導くフューチャーセッション
~ステークホルダーの協調アクションを引き出す手法
講演者 野村 恭彦 氏
(株式会社フューチャーセッションズ 代表取締役)
3 7月6日(木)~7日(金) 合宿
4 9月14日(木)~15日(金) ソフトウェア品質シンポジウム2017 本会議(会場:東京・東洋大学)(予定)
5 10月13日(金)

特別講義

テーマ レビューの現場で抱えている課題とその解決に向けた実践事例
講演者 中谷 一樹 氏
(TIS株式会社/本研究会研究コース2主査)
6 11月17日(金)

特別講義

テーマ 常勝PMは育成可能か
~プロジェクトを成功に導く知恵と実践の再現法を考える~
講演者 本間 周二 氏
(株式会社シーズメッシュ 代表取締役)
7 12月15日(金)

特別講義

テーマ 人工知能とソフトウェア工学・品質管理
講演者 内平 直志 氏
(国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 知識科学系 知識マネジメント領域 教授)
 2018年
8 1月12日(金)

特別講義

テーマ 要求と仕様-記述・検証・コミュニケーション-
講演者 栗田 太郎 氏
(ソニー株式会社/本研究会研究コース6主査)
9 2月24日(金) 分科会成果発表会
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第1回特別講義 レポート
日時 2017年 5月12日(金) 15:15 ~ 17:15
会場 (一財)日本科学技術連盟・東高円寺ビル 地下1階講堂
テーマ "コトづくり"による顧客価値創造のメカニズムを考える
講師名・所属 圓川 隆夫 氏(職業能力開発総合大学校 校長/東京工業大学名誉教授)
司会 金山 豊浩 氏(株式会社 ミツエーリンクス)
アジェンダ
  1. 品質とは違い?:実用的価値と情緒的価値
  2. 顧客:価値の代用特性CS(顧客満足)生成メカニズム:世界9ヶ国CS調査から
  3. 企業イメージ ≒ 顧客価値?:顧客側に共創を引き起こす情緒的価値
  4. 情緒的価値創造の"手掛かり"と方法論
  5. 産業革命と競争優位の変遷:第4次産業革命では?:System・ソフトウェアと"今=ここ"文化

これから求められる発想法と人材

アブストラクト

顧客価値創造に結びつく"コトづくり"のために、System of Engagementの立場からソフトウェアが果たす役割はますます大きくなっている。その源泉は、顧客も気づいていない"こうありたいニーズ"の潜在があり、それと実用的価値よりも情緒的価値を刺激することで、顧客側がさらに望ましい状態への接近に導く共創を引き起こす(制御焦点理論)ことにある。本講義では、世界のCS調査データからその枠組みと事例を紹介するとともに、ブランドや企業イメージの影響についても言及する。さらにこれからのsystemやソフトウェア開発に対する展望として、日本の独特の感性として"今=ここ文化"についてふれる。

講義の要約

第1回の特別講義では、『"コトづくり"による顧客価値創造のメカニズムを考える』と題して、圓川先生よりご講義をいただきました。
圓川先生は、SCM、品質管理等のオペレーションズ・マネジメントの研究に従事され、現在は、職業能力開発総合大学校校長、ならびに、東京工業大学名誉教授を務められております。また、2010年には、デミング賞本賞を受賞、2013年秋には、紫綬褒章を受章されるなど、品質の向上・効率化に多大な功績を残されております。
今回の講義では、CS(顧客満足)生成のメカニズムについて長年の研究結果を通して分かりやすくご説明いただき、また、顧客価値創造のための手掛かりをご教示いただきました。ありがとうございました。


講義の冒頭、職業能力開発総合大学校の紹介がありました。

  • 職業能力開発総合大学校は、文部科学省所管の大学とは異なり、厚生労働省所管の大学校。
  • 授業数は、4年間合計で約5,600時間。その半分以上が実技で、技能を身に着ける。
  • 就職率は100%を達成。
  • 他大学との競争に勝つため、魅力を発信し続けている。今年度は、アブダビで開催される技能五輪国際大会に学生を派遣する予定。

1.品質とは違い?:実用的価値と情緒的価値
  • 品質には、「表の品質」と「裏の品質」がある。
    →「表の品質力」=情緒的価値:顧客価値(顧客のコトづくりを通した感動),顧客満足(CS),顧客ニーズ
    →「裏の品質力」=実用的価値:適合品質(均一性),設計品質(違い,個性,distinguishing attribute)
  • 今までは「いかにバラつきをなくすか」(裏の品質力を上げるか)に重点が置かれていた。
  • 21世紀になり市場が成熟化するに伴い、今までのサイクル(裏の品質力を上げると表の品質力が上がる)が回らなくなってきた。
  • 実用的価値(モノ)から情緒的価値(コト)へ、"コトづくり"発想による共創が求められる。
  • 最終顧客とのタッチポイントにおいて、ブランド(企業)イメージが非常に大きな意味を持っている。
  • 日本は1989年では国際競争力が世界1位であったが、その後順位を下げ、最近は20位前後で上がり下がりしている。
    →競争力の基準が日本の従来の競争力とずれてきてしまっていて、対応できていない。
  • 日本では、CS重視の経営が世界でトップであるのに対して、起業家精神が最下位。他の国では、CS重視の経営が高いほど、起業家精神も高くなる。
    →起業家精神、つまりは、個人でリスクを取るという文化となっていないため、裏の品質力に視点が向いてしまっている。
  • 少ない機能しか使っていない人ほどCSが低い、このことを「多機能疲労(Feature Fatigue)現象」と呼ぶ。
    →世界各国で類似の傾向だが、日本の場合は、著しく低くなっている。
    →一方で、購入時には多機能を選択するという悩ましい問題がある。
  • 生産文化の視点を持つ必要がある。
    →「生産文化」とは、生産から製品・サービスについても、その好みや趣向は文化・制度に関係するという意味。
    →CSや顧客価値、その生成メカニズムは国の文化に大きく依存する。
    →日本では少し遅れてしまっている。"Industrie 4.0"でドイツが先行している。
  • ブランド戦略が重要。ブランドイメージによるハロー効果により、全てが良いように見えてしまう。
  • 日本は社会経済全体がガラパゴス化している。
    →納期遵守率が"99.9%"。海外では余分。
    →アメリカでは「物が届くこと」に関心を持つ、日本では、「物が時間通りに届くこと」に関心を持つ。
    →「今=ここ」文化:企業も消費者も目先の変動・リスクには厳しいが、日常を超えたリスクには無頓着。
  • 昨今の運送業のドライバー不足は過剰品質が一因。積載効率が約40%であったり、待機時間が約1/4であったりと、投入資源の約3割しか使われておらず、生産性が低くなっている。
2.顧客:価値の代用特性CS(顧客満足)生成メカニズム:世界9ヶ国CS調査から
  • CS生成モデルには以下のようなモデルがある。
    →期待-不確認モデル,ACSI(American Customer Satisfaction Index),ECSI(European…),JCSI(Japanese…)
  • 年々品質が良くなっているので、CSが上がると予測したが、統計を取ると実際は下がっていた。
    →景気が良くなると比較標準(理想期待,価格比期待,事前期待)が上がるためCSが下がる。
    →CS=経営努力の結果を測定するためには株価による補正が必要。
  • 世界8ヶ国・地域(日本,中国,タイ,フランス,ボリビア,アメリカ,ウイグル,ドイツ)でCS調査とホフステードの文化測定を行なった。
    →調査時に、ボリビアとタイからの留学生がいたため、ボリビアとタイが入っている。
  • CS調査の結果、日本が一番低い結果となった。
    →日本の消費者、特に女性が厳しい。
  • 世界8ヶ国・地域の10の製品・サービスの相対CS(各国平均(除公共サービス)との差)を比較すると、先進国と新興国とでパターンが大きく異なる。
    →日本とフランスのパターンが類似しているが、ホフステードの文化スコアパターンも類似していた。
  • 不確実性回避性向(UAI:Uncertainty avoidance index)は日本が圧倒的に高い。
    →不確実性回避性向が高いほどCSが低い。
    →不確実性回避性向が高いことにより日本の品質が鍛えられたと言えるが、ガラパゴス化が進んだとも言える。
  • CSとシェアは負の相関だった。特に先進国では負の相関が強かった。一方、新興国では弱かった。
  • 相対CSとシェアで考えた場合は、正の相関となった。
    →先進国でも競争力があれば(相対CSが高い)、正の相関となる。
3.企業イメージ ≒ 顧客価値?:顧客側に共創を引き起こす情緒的価値
  • iPhoneとAndroidスマホでは、機能・特徴やアクティビティ(コト)に有意差は無いが、感情(ブランド(企業)イメージ)が大きく作用しているため、iPhoneのCSが高くなっている。
  • CS生成モデルの再考を行なっていたところ、研究室の学生が適合度の高いモデルを見つけた。
    →間接効果を含めれば、CSへの影響は知覚品質より企業イメージのほうが大きくなる。
  • CSへの影響は、日本とドイツでは知覚品質の影響が大きいが、アメリカと中国では企業イメージの影響が圧倒的に大きい。
  • 企業イメージの再購買意図への影響は、CSへの影響よりもさらに大きい。
    →面白いことに、中国では、CSから再購買意図へのパスが無い。これは、いくら満足しても再度買ってはくれないということを示している。
  • 企業・ブランドイメージの中で、アウトスタンディング(卓越)イメージがCSに圧倒的な影響を与える。
  • アウトスタンディングイメージは、更に「魅力個性的」と「ステータス・かっこいい」の2つに分けられ、その中の「魅力個性的」がCSに大きな影響を与えている。
    →再購買意図についても同じ結果。
  • 魅力・個性的とは個人個人の幸福追求欲求(期待)である。
    →お客さんを観察するだけでは駄目。拠り所を持ってくる必要がある。
  • 制御促進理論(情緒的価値は、自己の望ましい状態への接近に導く促進焦点、実用的価値は、望ましくない状態を回避する抑制焦点)に説得性がある。
  • CSは企業価値とも言える。CSが経営成果と結びつく。
  • お客さんを観察する+拠り所を持ってくることにより魅力・個性的な商品を提供し、顧客による共創を生むことが重要。このことが高いCS・ブランドイメージの形成につながり、エコシステムの形成にもつながっていく。
4.情緒的価値創造の"手掛かり"と方法論
顧客価値実現のための5つの戦略は以下の通り。
  1. 適正品質と差別化軸の転換
    →コスト消費商品の場合は「そこそこの品質+規模の経済性流通新ビジネスモデル」(例:100円ショップ)。
    →生産文化の視点が必要。
    →機能を削るという発想ではなく、最初から必要のない(非本質的)コストを避け、新興市場の顧客の望む高品質を提供するための設計手法(倹約工学)が求められる。
  2. 品質差の見える化
    →多少の品質差ではCSは不変。圧倒的品質差である必要がある。
    →ブルーオーシャン戦略のように、全てを満点ではなく、メリハリ・プロファイルを考えた商品設計も重要。
  3. 情緒的価値を引き出すワクワク経験品質の創造
    →エスノグラフィー:対象者の生活を一緒に体験、集団を感覚的、視覚的に理解。
    →破壊型⇒転換型イノベーション:価値次元の転換(例:ウォークマン)。
    →コンセプト発想の拠り所として、6つの人間の本質特性(手軽に要求をかなえる/感動する/達成感/競い合う/連帯感/健康志向)を拠り所にする。
    →名工大の加藤先生が提唱する「「未来の顧客価値」を起点としたコンセプト主導型手法」
     →ペルソナに近い手法。
     →リード・ユーザー:当該事業が目指す姿に関して、最前線で創意工夫している個人・集団。
  4. 良性ガラパゴス/日本的感性を世界に売り出す
    →世界が知らなかった価値を提供する。
    →現在、海外では和食ブーム。ただし、9割が日本人ではない人が経営。
    →「おもてなし」がまさに「共創」。ただし、目の前のお客さんが対象になっている。我々は、「将来のお客さん」を見据える必要があり、おもてなしの延長では不足。
  5. ブランド・企業イメージ向上戦略
    →Apple・SONYのような過去に大ヒットさせた代表的な商品があり、それ以降も人気を維持しているブランド・企業ではなくても、ユニクロ・無印良品のように、考え抜かれたシンプルさで顧客による共創を生むことができれば、高いCS・再購買意図を作り出すことができる。
5.産業革命と競争優位の変遷:第4次産業革命では?:System・ソフトウェアと"今=ここ"文化
  • 第4次産業革命により、"繋がる"ことによる膨大なデータからのコトづくり、サービスを中心とした顧客価値創造モデルが必要となる。
  • AIによるペルソナ創造によるコトづくりが考えられるが、最終的には人間が必要。
  • スルーライフ・エンジニアリング:製品の全生涯のリモートにトレースを可能にすることによる価値創造・提供。
  • 圧倒的コスト削減や価格に反映できるような一味違う"コト"を提供するためには、生産性の向上と価値創造、共創発想がこれまで以上に必要とされる。
  • 新技術が出現してから主役台頭までには時間的遅れがある。
  • 時代時代で制するべき変動が変わってくる。
  • 第4次産業革命では、共創マネジメントが重要。
  • 日本は見える化の本家であるにもかかわらず、グローバルSCMで遅れを取っている。
    →先進的な生産管理手法やS&OP(Sales & Operations Planning)を欧米では多くが導入している一方で、日本ではほとんど導入されていない。
  • ものづくり白書から、日本は業務効率化などの「守りのIT投資」が多いのに対して、アメリカでは顧客満足の向上などの「攻めのIT投資」が多い。
  • 文化の特徴を理解するための書物として、G.ホフステードの著書「多文化世界」は大変良い。
  • 日本は不確実性回避が高い。同様にギリシャ、ポルトガルも高い。高債務国ということで共通しているが、日本の不確実性回避の傾向は日本独特のものである。
  • 日本文化の特徴:改善を追求する(ゼロを目指す)、競争的集団主義、全て日本流にして底辺(本質)は変わらない、順応性が高い、見えないことが苦手、言霊文化によりリスクマネジメントが苦手など。
  • 「今=ここ」文化:時間軸、空間軸上の部分(今、ここ)を重視。それを積み重ねて全体に至る。
  • 「ここ」は伸縮する。
  • 「今=ここ」文化を考えた場合、第4次産業革命では、IoT時代に、大勢順応主義と可塑融通性を持ち、そして直接見えない「将来の」顧客との共創力をいかに発揮するかが重要となる。
  • 日本ではTPS,カンバン方式(JIT)等によって、常に変動する活動に対応することにより発展してきた。アメリカでは対応できなかったため、理論で対応しようとして"Factory Physics"(生産科学)の考え方が発展した。
6.これから求められる発想法と人材
  • 人的資本の世界ランキングでは日本は5位と高い。
  • 標準化によるITを活用した"見える化"(グローバルSCM,IoT)、そのインフラ上での付加価値の高い活用を強化することが急務。
  • 「目の前の顧客から見えない、将来の顧客が使ってやってみたいことは何か」(顧客価値)を顧客以上に考え抜くことで、顧客の喜びや感動を作り上げること(共創アプローチ)ができる人材の育成が急務。
  • 顧客・社会との共創は、本来、日本の得意技。
質疑応答
  • リハビリ・医療機器の開発をしており、実際に自分が使う側の立場になれないような場合、共創することは難しいように思うが、解決のヒントは?
    →まず、顧客を観察・理解すること。一緒に生活してみるということも一つ。そして、何らかの拠り所を持ってくる。そうすることにより、裏が読めてくる。その後、人間の本質特性やリード・ユーザーを考えてアイディアを出す。
  • 今回お話しいただきましたコトづくり発想による共創について、経営層に対して説明すると反応はどうか?否定的な反応が多いか?UXデザインも経営層になかなか受け入れられない。
    →日本の経営者は遅れていて、現在も効率・コストをシステムに投入している。2016年のIoTに関する報告でも、日本は守りのIT投資のまま。
    →お客さんの範囲が狭いため、もっと視野を広げる必要がある。
    →破壊することに抵抗が大きい。
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第2回特別講義 レポート
日時 2017年 6月9日(金) 10:00 ~ 12:00
会場 (一財)日本科学技術連盟・東高円寺ビル 2階講堂
テーマ 複雑な問題を解決に導くフューチャーセッション
~ステークホルダーの協調アクションを引き出す手法
講師名・所属 野村 恭彦 氏(株式会社フューチャーセッションズ 代表取締役)
司会 猪塚 修 氏(横河ソリューションサービス株式会社)
アジェンダ
  1. 複雑な問題とリーダシップ
  2. フューチャーセッションとは
  3. 企業・行政・NPO横断のイノベーション活動事例
  4. 「問い」を変える:課題をリフレーミングする方法論
  5. 「未来シナリオ」を描く:現状の延長ではない未来から発想する方法論
  6. ミニフューチャーセッション「品質保証の未来」
アブストラクト

プロダクトからサービスへ、モノの品質から経験価値へ、ビッグデータやAIの進歩と、品質保証をめぐる社会の変化は激しく、予測不可能ではないでしょうか。フューチャーセッションは、それぞれのステークホルダーが認識と行動を変化させ、協力してアクションを起こせる状況を生み出す手法です。フューチャーセッションの方法論を学び、イノベーション活動事例を理解した上で、セッションスタイルで「品質保証の未来」を全員参加で考えます。

講義の要約

第2回の特別講義では、『複雑な問題を解決に導くフューチャーセッション ~ステークホルダーの協調アクションを引き出す手法』と題して、野村様よりご講義をいただきました。
野村様は、現在、株式会社フューチャーセッションズ代表取締役、並びに、K.I.T.虎ノ門大学院の教授を務められております。
今回の講義では、全ての人がセクターの壁を越えてよりよい未来を創れるようにするセッションの作り方をご教示いただきました。ありがとうございました。

1.複雑な問題とリーダシップ
  • 複雑な問題を解決に導くことがフューチャーセッションで行おうとしていることである。
  • 最適解のない問題に対してステークホルダーの態度を変えることも含めて最適解を探す。
  • 様々なステークホルダーが違う要求をしている中でどうやって合意を形成して様々なアクションをおこすのかを考える。
  • 企業が自分たちのマーケットを超えた新しい視野でものを考える。
    • A社の場合、「A社グループ全体でグループのシナジーを出すためにどうすればいいか?」を考えると視野が狭くなる。視野を広げて、いつもの競合と違う切り口で見る。
    • 例えば車いすバスケットボールの選手を招いて自分たちがどうやったら役に立つかを考えると「車いすのバスケの選手が皆で入ることができる居酒屋がない」からユニバーサルデザインの居酒屋を検索できるようにしたりユニバーサルデザインを提案したりすることで状況がかわるし、社会も変わっていく。
  • イノベーションをおこすためには、違うニーズを持ったステークホルダーをあつめて検討して気付いていくことが必要である。
    • 企業、行政、非営利団体がコラボレーションすれば、自分たちだけで作り出せない価値、新しいサービス、新しいビジネスが生まれる。
    • 企業の利益にコミットするのでなく、全体最適をめざす。
  • 変化が激しい時代であり、環境変化を予測することが難しく何を信じて生きていけばいいのかというところにフューチャーセッションが役立つ。
  • 他の人が作る未来を待つのでなく自分自身で未来をつくる。
  • 社会の中で人の意識が変わると振る舞いが変わる。それがイノベーションである。(例:リサイクル)
  • そのためにイノベーションファシリテーションが必要である。
  • 前向きな問いをたてて自分事の問いにすることで受け身だった人が自分から行動することで変えようとしていく。
  • 静岡の高校で未来の学校というテーマで実施した。
    • 女子高生が「どうやったら授業に集中できるかという問い」を提案したらたくさんの意見が出た。
    • 自分たちができることを考えるという前向きな問いに変えたことの効果である。
2.フューチャーセッションとは
  • フォアキャスティングでは、失敗しにくいけど専門知識がないものが発言しにくい(例:天気予報)。多様な意見がでない。
  • バックキャスティングでは、振り返りの源はたくさんあるので視野の狭いものを広げる効果があるし、答えがないことが前提なので盛り上がる。
  • [ペア対話]例えば、5年後どんなことが起きるか想像してみると・・・
    • 仕様をインプットしたらものができあがっちゃうようなものがAIでできないかな
    • 自分たちの仕事がなくなるので、AIやロボットを育てる仕事をしたい
    • 映画「マトリックス」のような神経にダイレクトにつなぐようなことができれば、言葉で伝えられないようなものが伝えられるようになって面白い
    • 通勤時間が0になって家で仕事ができるようになる
    • テストの自動化ができればよい
    • テストケースが自動にできるだけでなく、AIが価値を評価してくれるとかいいな
  • 妥協するのでなく、皆の求めているものを広く引き出して自分自身も含めて高みに上がるためにイノベーションファシリテーターが必要である。
  • フューチャーセッションの例
    • 認知症フューチャーセッションの例では、「認知症になっても人生の主人公として生きて行ける街作り」という問いに変えて地域の人たちを集めて実施した。
    • 男性の未来フューチャーセッション(S社)の例では、「女性は変わった次は男性が変わる番だ」という問いに変え、S社は人事制度、化粧品などで男性を変える取り組みを始めた。
3.企業・行政・NPO横断のイノベーション活動事例
  • イノベーションファシリテーターは今まで当事者でない人を招いて問いによって実行していくように導く。
  • ゴールがあるわけでも答えを知っているわけでもないが、正しい問いをつくりコラボレーションしつなぎ合わせることで資源にしていく。
  • 「渋谷をつなげる30人」プロジェクトは渋谷区の企業・行政・NPO市民の30名が参加する街作りプロジェクトである。
    • コレクティブインパクト(立場の異なる組織が、組織の壁を越えてお互いの強みを出し合い社会的課題の解決を目指すアプローチ)で、渋谷区の企業・行政・NPO市民の30名が問いを変えて未来を描き変化を起こす。
    • 例えば、ロコワーカーを渋谷の企業が採用するとか、渋谷の課題をクラウドファウンディングで解決するなど。
4.「問い」を変える:課題をリフレーミングする方法論
  • 新しい仲間を引き入れて問いを変えて参加者を変える必要がある。
  • 皆が前向きに行動するようにするのがフィーチャーセッションである。
    • 「子育てしやすい環境をつくるには?」という問いを同じようなメンバーで問いかけると同じような答えしか出ない。
    • 「子供が輝く街をつくるには」という問いに変えて参加者を変える。
    • 「もっと売れるスマホ」というような自己都合の問いかけではアイデアは出ないが、「家族の絆をもっと強くする」という問いかけに変える。
5.「未来シナリオ」を描く:現状の延長ではない未来から発想する方法論
  • 極端な未来が「来るもの」と仮定して、「そうなったとき、私たちはどうしているだろうか?」と考えるところから発想する。
  • 多様性のあるビジョンを立てて皆で推進していくためには、外側の人を招き入れて新しい考え方に共感してもらうことが必要である。
  • 自分たちの仕事の先にある未来に強い思いを持っていれば、どうしたいという問いを作り仲間を集めてイノベーションをおこし未来をつくっていける。
6.ミニフューチャーセッション「品質保証の未来」
  • お題

    AIの圧倒的な進化は、「働き方」と「品質保証」の未来にどんな影響を与えるのか?
    下記シナリオ1~4の世界をあじわって、ひとつの世界を選んで、共生発想してください。

    シナリオ1:甘く切ないAI
    AIに自分の情報を公開することで、自分の感性に合ったパーソナライズされたサービスが受けられる。

    シナリオ2:マインドフルな日々
    AIを意識せずに誰もが自分の自由意思で選択して生きていると感じている。AIのサポートは裏に隠れていて、それを人々が意識することは少ない。

    シナリオ3:世界が最適化する日
    AIが社会を最適にしてくれる。プライバシーよりも全体の価値が優先され、あらゆる情報を集約化することで、交通やエネルギー利用の効率化を図れる。

    シナリオ4:AI規制
    AI利用の範囲を決めて、人間と棲み分ける。例えば生産性分野に限定し創造的ワークを人間に残すなど倫理基準の政策的な議論が活発。

  • 回答
    • シナリオ1 選択チーム
      お店を提案してくれたり、体調を管理して提案してくれたりしてくれる。
      仕事を選んだけどあってないよ、あっちの求人に答えたらっていうようなことをいわれる。
      個人のとがった要求を保証するような品質保証になるのでは?

    • シナリオ2 選択チーム
      AIを感じないけれどAIがコントロールしている。残業がなく仕事の負荷もAIがコントロールする。
      未来を思い描くことが人間の仕事である。
      品質保証もAIがラインとして実行し人間はみない。人間は未来を考えるだけ。

    • シナリオ3 選択チーム
      AIが答えを出してくれるので人は考えない。
      自分をいきたいところに行こうと思っても時間制限があるなど制限が多い世界。
      子育てだけ人間がやって働かない。
      AIの品質保証=全体の利益を評価するような品質保証。

    • シナリオ4 選択チーム
      人間VSAIのような世界観。
      上流工程は人間、下流工程はAIが実施し価値などを品質保証する。

  • まとめ
    シナリオの狙いは、今までの延長で考えるのでなく、極端に発想をふって集団で発想を変えることである。
    一緒にシナリオをつくるやり方とつくられたシナリオを皆で考えるやり方がある。
    みなさんが変化を起こしていく主体になる、そのために問いを作りなおしその新しい問いに対して当事者じゃないと思っていた人を招いてしっかりその中で対話を行う、その結果、その人たちが行動を起こすことで問題の構図が変わっていくことを狙って行うことができる。
    それをスピーディに行うために未来のシナリオを作ってインストールすることで集団的に一緒に考えると、5年後10年後どうなるかという未来を考えることできづきがあっていままで考えてくれなかった人もいっしょに自分たちでアクションを起こしていけるようなる。そのようなシナリオライティングすることがイノベーションファシリテーターである。
    先ほどのセッションのように、品質保証が未来では全然違うものになるのではというアイデアがでてきたのなら、会社で、皆で考えようとなっていける。
質疑応答
  • 正しい問い、別の観点をだすのは難しいがこつのようなものはあるか?
    →おかしいと思うことをおかしいと感じること、ステークホルダーのおかしいと思うことに素直に耳を傾け、前向きに考えるための問いを考えることが大事である。
    企業の中の常識があたりまえと思ってしまうため、外部の新たなステークホルダーを招くことが大事である。

  • 招かれる立場の場合、なにが会社の利益になるかわからずに参加することになる。利益を示さないと上司の承認がもらえないが参加者はボランティアでくるのか?
    →学びの立場で参加される方が多い。すべてのステークホルダーが利益を考えていると交渉になってしまう。
    最初はボランティアでアウトプットはないが、具体的なアイデアになると会社として何ができるかにつながっていく。

  • 管理プロセスに問題があってそれを改善していきたいという場合は?
    →当事者でも当事者意識が持っていないことが多い。どうしたら当事者意識が持てるのかという問いに変える。
    自分たちで変えないとだめだよねという当事者意識がでるようにもっていく。

  • 自社はいいだしっぺがやれという文化でいいだしっぺがつぶされることが多かったが?
    →社内のステークホルダーが会社を変えないといけないではなく、自分が影響範囲を及ぼせる範囲で、自分自身が問いを考えて自分たちで考えたいと思わせるように問いを伝える。
    外部コンサルとしてはその人自身が孤立せず上司と対話するようにもっていくようにしている。

  • 他部署の人をまきこんだ場合、数が多くなると場をコントロールしにくくなるが少ないほうがディスカッションできるのでは?
    →大人数でやる場合は、アウトプットをださずに同時にこれについて考えて行動が変わることをサポートする。
    デジタルツールとしてスマホのアンケートツールを利用することもあるが、対話に集中するのはツールより実際に話して事務局がまとめるほうがうまくいく。

  • 未来に向かって実行していくにあたり、途中のフィードバックをどうしているのか?
    →バックキャストで出てきたゴールなので間違っている可能性もある。途中途中でPDCAまわしていく、あっているか確認する対話を実施する、収束するツールと広げていくツールを使い分ける、すすまない理由を考えるセッションをするなどがある。

  • 仕事の大きな枠組みを考え直す時にこのようなやりかたがつかえるか?
    →枠組みをきめて行動するときステークホルダーを巻き込んで行動するというところに使えると思う。
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研究会
ソフトウェア品質管理研究会
ソフトウェア品質知識体系ガイド
 
 
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ソフトウェア品質方法論を確立・普及することにより、ソフトウェア品質の継続的な向上を目指します。

 
 
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