事業詳細
講演会
臨床試験セミナー 統計手法専門コース BioS30周年記念講演会
基調講演
Probability for Whom? : 誰にとっての確率か?
竹内 啓氏(東京大学 名誉教授 日本学士院会員)

特定の事象の起こる「確率」の意味はそれに関わる人の立場によって異なる。
家屋が火災に遭う確率や個人が特定の病気にかかる確率は、保険会社や病院と家の所有者や患者個人とではその意味が全く異なる「大数法則」が成立する。前者にとっては確率=頻度と理解できるが、一回限りの事態に直面する後者にとっては、それは無意味である。団体や「国」にとっても大事故や大災害は一回限りの事態である。その確率をどう理解すべきかが問題である。
【プロフィール】
竹内 啓先生は、日本の数理統計学者、経済学者、科学史家であり、東京大学名誉教授、明治学院大学名誉教授、日本学士院会員として活躍されています。専門分野は、数理統計学、計量経済学で、専門以外の広範な分野における著作・論述も多数発表しています。
略歴:1933年東京に生まれる。1956年東京大学経済学部卒業。1961年同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。1963年東京大学経済学部助教授。1975年同教授。1987年東京大学先端科学技術研究センター教授(1994年まで、経済学部併任)。1994年東京大学定年退官。1994年明治学院大学国際学部教授。2006年同定年退職。この間、日本学術会議会員、日本統計学会会長、統計審議会会長などを務める。
『数理統計学』東洋経済新報社で日経・経済図書文化賞、『無邪気で危険なエリートたち』岩波書店で石橋湛山賞、日本統計学会賞(2000年)を受賞。数理統計学・応用統計学のほか、数学、現代経済学、計量経済学、現代社会論、科学技術論、地球環境問題など、広範囲のテーマに関する書籍・論文多数。昨年『歴史と統計学 ―人・時代・思想』を上梓されています。