BC
105.品質管理は漢方薬<2025年10月30日>

株式会社 アーレスティ
栗田 大渡 (125BC・T)
栗田 大渡 (125BC・T)
この言葉は、奥原正夫先生が弊社の指導会で仰った言葉です。じわじわと効いて、組織の体質を改善していく…。まさに品質管理の本質を捉えた表現だと感じています。
・品質管理との出会い
私が品質管理に出会ったのは入社2年目のことです。現場実習を終え、生産技術に配属されたタイミングで、課長から石川薫先生の『品質管理入門』を渡され、「熟読してレポートにまとめよ」と指示されたのが始まりでした。訳も分からず必死に読み、自分なりに業務への活かし方を考えたことを、今でも鮮明に覚えています。
その3年後には125BCに参加させていただき、卒業後は宿題作成委員、班別研究講師、SQC実践研究会などを通じて、継続的に品質管理を学ばせていただいております。
・生産性改善報告会を通じた品質管理のリスキリング
私が「品質管理入門」を読み、レポートを書いていた入社2年目の当時、社内では「生産性改善報告会」という指導会が始まりました。若手技術者(私もその一員でした)が他部門や経営層の前で改善報告を行い、議論を通じて品質管理の理解を深める場です。
振り返ると、若手教育の場であると同時に、ベテランやマネジメント層にも品質管理の重要性を再認識してもらう狙いがあったのだと思います。
当初は固有技術中心の議論が多かったものの、奥原先生のご指導により、徐々に管理技術へと議論がシフトし、品質管理の考え方が社内に浸透していきました。特にマネジメント層の理解が深まったことで、改善活動への支援が得られ、組織が確実に変わっていく様子を実感しました。
・特効薬の出現と漢方薬の意味
近年は、生成AIや機械学習などが業務効率化や意思決定のスピードを高める「特効薬」のような存在として注目されています。即効性があり、短期的な成果を得るには非常に有効です。
しかし、品質管理はそれとは異なり、組織の土台を整える「漢方薬」のような存在です。成果が見えるまでには時間がかかりますが、継続的な取り組みによって、現場力や問題解決力、人材の成長を着実に育んでいきます。AIが示す答えの「正しさ」を見極める力も、品質管理の考え方があってこそ養われるものです。
品質管理の専門医として
BCに参加される皆様は、会社にとって重要な人財であり、組織のキーパーソン、またはその可能性を秘めた方々です。つまり、個別の改善に留まらず、会社全体の体質改善に寄与する人財として期待されています。
BCでは、「漢方薬」としての品質管理の正しい使い方を学び、その本質を理解されたことと思います。これからは、その学びを活かし、組織の体質改善を導く「品質管理の専門医」としての意識を持っていただければ何よりです。
即効性のある特効薬のような技術が注目される時代だからこそ、じっくりと効いて根本から変えていく品質管理の価値を再認識し、持続的な改善を担う存在として活躍されることを心から期待しています。
私自身も改めて身を引き締め、この言葉を意識し、日々精進してまいります。
〈お問い合わせ先〉一般財団法人 日本科学技術連盟 品質経営研修センター 研修運営グループ
〒166-0003 東京都杉並区高円寺南1-2-1 / TEL:03-5378-1213
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