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BC-News(BC講師からのメッセージ)
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64.はじまりは離れ小島から-遅れて参加した工場技術者のベーシックコース-<2023年02月05日>

二宮 慶三
(73BC・T 修了)

1:何も知らずに……
 非鉄金属メーカーに入社後、超高圧ケーブルの開発に明け暮れて20数年。偶々、大きな案件が完成し、工場も勉強しろという事だったのか、私はコーディネート役を任されました。工場を調べて見ると、知らなかった記録が沢山ありました。あまり活用されていないのではと思い分析してみると、面白い、使えそうだと感じました。大先輩からBC を紹介されたのはその様な時期であり、「そんな研修があるのなら行きます!」というしまりのない背景で受講しました。

2:これは大変だ……
 ろくに準備もせずに参加した第1月に、他の受講生が皆若いのに驚きました。年齢のヒストグラムを見ると、自分は「離れ小島型」の異常データでした。班別研究では「すぐ重回帰分析をしてみなさい」と言われ、これは大変だと気が付きましたが、もう遅かったです。会社では「いつ彼が落伍するか」という楽しい話題が広がる始末であり、落第して会社の恥を作ってはならないとの思いから必死に勉強し、懇切なご指導もあり何とか卒業できました。

3:緊張の演習討論会……
 翌年から班別研究会の指導講師を仰せつかり、未熟なまま始めました。川村数増先生をはじめとする多くの先生方のご指導に支えて頂き、演習問題もお手伝いしました。演習討論会では、「こんな質問が出るかな」と準備したものの、思いもつかなかった難問が出て冷汗三斗でした。
そして、勉強したことを活用したいという想いから、とにかくやってみました。電力ケーブルの特徴は、長尺物でサンプルは両端からしか採取できません。枝分かれ法を適用して、合理的な検査手順を考案しました。この手順は業界にも反映されました。

4:デミング賞のこと……
 昔、自社がデミング賞を受賞したと聞き、BC 初期の記録(ガリ版刷り)を調べて見ました。受講生の名簿に大先輩のお名前を発見しました。また90 年頃には、デミング博士が50 年代当時の思い出を語られた記事がありました。懇親会の会場に自社の幹部が駆けつけ「管理図を作ってみたらこんな結果になりました!」と管理図が持ち込まれ、その場で大いに議論されたという内容のもので大変嬉しかったです。

5:恩返しにもなれば……
 ここ10 数年、海外途上国の研修生さんに、講座「日本のTQM」を担当しています。若い頃は自分も海外の論文に随分お世話になったものです。およそ1.5 日でTQM の要点を話し、特性要因図などの演習も取り入れています。女性の活躍がすばらしい!活発な意見、取り纏め等、男性と対等に参画されています。
 自社のカレンダーを、デミング財団のお嬢様宛でお送りし、日本が多くの事を博士から学んだ歴史を講座で紹介している事もお伝えしました。お嬢様からは「父の活動が今も世界の方々に活かされていることを喜んでいます」とのお便りを頂きました。

6:これからも/皆さんも……
 工場技術者として、固有技術に加えてTQMを知ることができ、今もささやかではありますが海外の皆さんに、お手伝いを続ける事ができています。離れ小島として参加したBC のお陰であり、感謝の念に堪えません。
 現在、固有技術の研鑽に励んでおられる多くの技術者の方々が、機会を見つけてBC に参加し、TQMという普遍的な概念も習得され、飛躍されることを祈念いたします。決して遅すぎるという事はありません。末尾になりますが、ご指導頂きました諸先生方、お世話になった事務局の皆様に厚く御礼申し上げます。

 
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