第53回 全日本選抜QCサークル大会(小集団改善活動)
本年の全日本選抜大会は、新型コロナは第5類に移行して半年が過ぎましたが、未だ感染への警戒は続く中、全国から18サークルが会場に集結して開催されました。
18サークルは、いずれも各支部推薦により、支部代表のファイナリスト(いわゆる決勝進出者)として全日本選抜大会の発表に臨んでいただきました。
審査は、全国9支部長、本部幹事長、本部幹事の計18名によって行いました。
審査委員は、サークルごとに、事前に提出された「支部からの推薦書」「活動状況説明書」「要旨集」「ワンポイントシート」を読み込んだ上で、当日の発表を聴かせていただきました。
審査基準は「QCサークル本部・支部規定」の関係規定類「QCサークル本部長賞規定」以下にある通りです。
(1)運営の工夫/個の成長と活動の継続性・発展性
(2)改善事例の内容と成果
(3)発表の方法
審査に当たっては、各サークルが、運営、改善、いずれも、活動のPDCAサイクルをどう廻し、どのように成果をあげたかを、結論だけでなく、そのプロセスが分かるように、必要に応じて適切なデータを用いて、論理的に分かり易く説明していただけたか、サークルの活動の継続性・発展性が確かなものになっているかを審査させていただき、審査委員全員の総意により、「QCサークル本部長賞 最優秀賞」4サークル、そして、「優秀賞」14サークルを決定しました。また、「審査委員長賞」を1サークルに授与することにしました。
各賞 | 対象サークル名(所属支部) | |
---|---|---|
最優秀賞 | フジヤマ(近畿) | スマイリー(北陸) |
Meister(東海) | 新星(北陸) | |
優秀賞 | IE(関東) | ハットトリック(東海) |
オレンジ(中国・四国) | わかし(関東) | |
Asp(近畿) | たまい(関東) | |
森がモリモリ(近畿) | レボリューション(東海) | |
jinji(沖縄) | ドリーミーフィールド(中国・四国) | |
スマイルファクトリー(関東) | 錦鯉(九州) | |
絶対王者(東北) | SSKT(東海) | |
審査員長賞 | jinji(沖縄) |
各サークルの運営や改善活動に関するリーダーやメンバーの工夫、努力する姿勢、また、推進者や上司の支援等はいずれも、これからのQCサークル活動(小集団改善活動)の参考になるアイデアやヒントにあふれていました。
そして、今回、特に印象に残ったのは、どのサークルもよく勉強し、活動に活かしているということでした。
QCサークル活動運営の基本に立ち返って、QCストーリー、QC手法を的確に適用し、更に、各種IEツール等も 有効に活用しており、現状把握、要因解析、対策の立案等における解析や検証のレベルは格段に向上していました。これは、数多くのサークルが『QCサークル』誌を活用した勉強会や、「QCサークル検定」への挑戦などを熱心に推進していることによる成果の一つだと考えられます。
一方で、3年を超えるコロナ禍は、サークルの活動に様々な影響を与えましたが、沢山のサークルが、コロナに対する「守り」だけでなく、ニューノーマル化に対応するために様々な「攻め」の工夫をしながら、歩みを止めず、コロナ禍をしっかりと乗り切ってきたことがよく分かりました。
QCサークル活動で確かな成果を挙げるためには、継続的な活動あってのことであり、まさに「継続は力なり」であることを改めて確信しました。
また、あるサークルの発表で、全社大会に向けて途中までの選考方法を発表から書類選考に変え、全社大会の発表ではアニメ不使用にしたという変革が報告されましたが、大変参考になる取り組みの一つだと思います。
賞名 | サークル名 | 受賞ポイント |
---|---|---|
最優秀賞 | フジヤマ |
1.個性管理表から役割を決めて「ウッテツケ活動計画」を始動させた”やる気に繋がるメソッド”は大変参考になります。その実効性を上げるため、訓練+教育+言い合える風土を3本柱にした、”QC訓練”、”傾聴塾”は、サークルの活性化・レベルアップに極めて有効です。
2.コーティング技術の確立に、CARに即して、QC的考え方と専門知識の両面から取り組み、工場の垣根を超えて関係部署と連携しながら、仮説と検証を 繰り返し全社展開に結びつけました。その取り組みのプロセスは全社の技術書として活用されるに至っています。CARの考え方は、PDCAサイクルの重要な要素であり、改善に不可欠なプロセスです。
3.「個性の尊重」、「仲間同士の信頼」、そこから生まれる「一人ひとりの自主性」は、活動に不可欠であり、「ヤル気は周りに波及する」ことは、時代を超えた普遍的な原理です。「ヤル気」を持ち続け、更なる高みをめざし続けてください。
|
スマイリー |
1.移管事業とともに、職人のノウハウを纏めた「道産子の書」を携えて北海道 から粟津工場に合流したメンバーと受け入れメンバーとは安全基準などを巡り二極化しましたが、上司のアドバイスで、「お仲間作戦」で一つになり、「お仲間ボード」で困りごとの共有を図りました。5年後の事業撤退が決定され、 メンバーは意気消沈しましたが、全員が活動した証を残し、どこへ行っても活躍できる力を身に付けるために最後まで頑張るという決意は活動のエネルギーの源泉になりました。
2.改善に当たっては、職人のカンコツや現象を見える化する工夫によって事実の確認、見えない力の数値化を図り、他部門と協力しながら、徹底的な検証を行って対策に繋げ、成果も共有しました。
3.現在携わっている事業が将来撤退することは決まっていても、他サークルと協力していろいろな課題に取り組んでいるとのこと、ぜひ、今やりたいこと、できることがある限り、前に向かって活動を続けてください。
|
|
Meister |
1.運営の基本として、メンバーの本音を受け止め相手目線になるという考え方は大切です。併せて、聴覚障がい者も一緒に活動するために、「平等」という より「公平」な多様性が必要だという考え方は参考になります。そのためのツールやアプリ、ルールは全社展開されました。活動への当事者意識・責任感と自分の意見を持ちながら、相手の意見に耳を傾けることはサークル運営に 不可欠であり、それを大事にした活動になっています。
2.改善に当たっては、適切なQC手法を勉強して適用し、5ゲン主義に則り、データに基づいて、現状把握、要因解析、仮説の検証を行い、専門部署の協力も得ながら、対策の立案・実施、効果確認を行っています。
3.メンバーに職場の将来像をイメージさせて職場の協力体制の土台を作ろうと、各々に得意分野のリーダーバッチを贈呈して意識付けをしていることは、QCC活動に止まらず、職場づくり・人材育成の取り組みとして大変重要であり、これからも継承してください。
|
|
新星 |
1.コロナ禍で活動休止となり、有力メンバーの異動もありましたが、事務局に相談、職場の承認も得て休業日を在宅勤務にし、タブレットを使った勉強会を行って、「全員、QC検定3級合格」を目標にLINEで講習や質問、勉強の進捗管理を行って全員合格しました。活動再開後は、会社伝統の「門松づくり(屋外)」に全員で参加したり、活動を見える化するQC進捗活動ボードをLINEで展開する等、コロナ禍でも歩みを止めず活動しました。
2.改善に当たっては、全員で、QC手法、設備の機能構造を理解する勉強会と、互いの強みを活かしたペア活動で取り組み、現状把握、要因解析・検証、対策の立案・実施は、原理原則に基づき3現、5ゲンを徹底して実証的に進めました。
3.コロナ禍でも歩みを止めない活動を進めたことで、メンバーのコミュニケーションと情報の共有と、やる気、チャレンジする気があれば、QCC活動は、どんなときで、いろいろなことがやれることを確信したことと思いますので、今後もそういう気持ちを大事にして活動を続けてください。
|
|
審査委員長賞 | jinji |
1.11月の全日本選抜大会においてJHS部門の発表は希少ですが、今回、支部を代表して出場し、JHS部門の運営事例を発表いただいたことは、大会の目的に大いに沿うものであり、他サークル、他社、他支部の取り組みのヒントになるものと言えます。
2.どのような環境下にあっても改善マインドと意欲を維持するとともに、少人数あるいは合同で弾力的且つ柔軟なサークル編成、挑戦的なテーマ・手法選定により、合理的で積極的な活動に繋げました。
3.テーマ選定、サークル形態(活動期間、メンバー編成など)について、弾力的且つ柔軟に対応することは、事務・技術・管理部門では合理的だと考えます。今回、審査委員長賞を差し上げ、今後ともJHS部門にマッチした活動を推進し、明るく働きがいのある職場づくりを継続いただくことを期待します。
|
「最優秀賞」、「優秀賞」、「審査委員長賞」受賞サークルは、受賞によって、更に活動の良いところを伸ばし、活動の継続とレベルアップをめざしていただくことを期待しています。
尚、今回発表された全サークルに対して、後日、審査委員である本部幹事から、各サークルの活動について、「良かった点」、「更に良くするために」という趣旨のコメントをお送りする予定ですので、参考にしていただき、今後の各サークルとメンバーの成長、活動の継続と更なる発展に繋がることを期待しております。