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第50回 信頼性・保全性・安全性シンポジウム(旧)

特別企画セッション1 6/29(火)

2050年に向けた社会インフラの長寿命化 -物理的な側面より-

【概要】
先進各国において、欧米諸国においては都市の下に昔の都市が埋まっており、更に第二次大戦後に建てられた最上層の建物・設備の老朽化が目立ち,建て替えの時期に来ている。それに対して日本は高度経済成長期の建物および橋梁更には下水道においても、同じく老朽化が迫っていると報じられている。日本は火山・地震の面でも、更には酸性地質により、インフラに対するストレスがより大きく、その為耐用寿命が短くなると言われている。
そのため、これから50年の社会を考えたとき、インフラ及びそれに関連する設備の長寿命化ならびに保全の革新が世界的に必要となってきている。また、建物・インフラの構成材料として,コンクリートや木材といった材料に加えて、高分子材料が積極的に使われるようになり、且つ近年では多くの電子デバイス・機器が実装され建物・インフラという側面より、様々な材料で構成された巨大なシステムに変貌している。このような材料の変革や、電子システム化への動きは自動車でも顕著であることは、言うまでもない。そこで今回の企画セッションでは、従来本シンポジウムでは参加いただくことが非常に少なかった建築分野と高分子分野から登壇者を招き、「構造物・建築物の信頼性」「高分子材料信頼性」といった技術軸を取り上げ、以下の観点から議論を深めたい。

・夫々の分野における現在の技術的課題
・その技術課題を解決するため、自分野の戦略や他分野に期待すること
・現在考えている寿命限界および保守で延命化できる戦略

*本セッションでは、登壇者による発表とパネルディスカッションを行います。

【コーディネータ】
門田 靖 氏
(株)リコー リコー技術研究所 先端デバイス研究センター シニアエキスパート
(第50回信頼性・保全性シンポジウム 副委員長)

*セッション開始にあたり、門田氏から下記の解説があります。

  • 50年に亘るエレクトロニクスの信頼性の取り組みとそれを支え続ける信頼性技術
信頼性・保全性シンポジウム及び同シンポジウムを主催してきた日本科学技術連盟、ならびに協賛の日本信頼性学会で議論されてきた内容を通じて、信頼性の歴史と今後の展望を解説する。1957年にAGREEEレポートが発表された後の70年余りは、特にエレクトロニクスの爆発的進歩の時代であり、それを実現するには、様々な信頼性技術が駆使されてきた。その流れについて信頼性技術、電子デバイス・機器の信頼性物理や故障析技術を中心に解説する。



【登壇者・パネリスト】
■登壇1
「レジリエント建築」で実現する持続可能な都市と社会

小檜山 雅之 氏
慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科・教授
【概要】
日本は地震の活動期に入り、地球温暖化の影響で台風、豪雨の激しさが増すとも言われている。構造物の長寿命化のためには、災害に負けない「レジリエンス」(防災力)が不可欠である。本講演では、まず復旧曲線に基づくレジリエンスの概念を説明する。そして、日本建築学会が普及に取り組む「レジリエント建築」について紹介する。これまで構造物は、被害を抑止する「抵抗力」に主眼が置かれていた。レジリエント建築は、構造ヘルスモニタリングシステムなどにより被災直後に素早く状況を把握し、被害が拡大しないよう的確に資源を配分し、迅速に修復を行って機能を回復する「復旧力」を兼ね備えている。

【経歴】
1995年に京都大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了。その後、鹿島建設、理化学研究所、東京大学生産研究所助手、日本学術振興会海外特別研究員、スタンフォード大学客員准教授を経て、2005年より慶應義塾大学に在籍。
専門は建築構造学・地震工学。災害が生じにくく、災害が起きてもすばやく回復することができる「しなやかな仕組み」を備えた社会をデザインするため、建築構造物の最適設計・性能設計、地震時の被害予測・推定、防災システムおよび防災すまい・まちづくりの研究に取り組む。
 

■登壇2
次世代自動車に向けた革新的ポリマー材料の開発

伊藤 耕三 氏
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授
【概要】
2014年、内閣府 革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)がスタートし、「超薄膜化・強靭化『しなやかなタフポリマー』の実現」が採択された。本プログラムでは、次世代自動車の開発のために必要とされる、燃料電池やLiイオン電池のセパレータの超薄膜化、車体構造用樹脂の強靭化、タイヤの薄ゲージ化などを実現するために、日本を代表する化学企業とアカデミアの緊密な産学連携によって「しなやかなタフポリマー」を新たに開発し、その成果を集めてコンセプトカーを製作した。
本講演では、ImPACTの成果をわかりやすく解説する。 

【経歴】
1986年 通商産業省 工業技術院 繊維高分子材料研究所 研究員
1991年 東京大学 工学部 講師
1994年 同上 助教授
2003年 同上 大学院 新領域創成科学研究科 教授
2005年 アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社取締役を兼務
2014年 内閣府・革新的研究開発プログラム(ImPACT) プログラムマネージャーを兼務(2019年3月まで)

 

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