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第50回 信頼性・保全性・安全性シンポジウム(旧)

特別講演・基調講演

特別講演 6/29(火)

テーマ:ANAの安全マネジメント ~不安全事象を未然に防ぐ仕組みづくりと組織づくり~

民間航空の歴史は、航空事故の撲滅、高い信頼性の確保への挑戦の歴史でもあります。1機の構成部品が300万点ともいわれる大型旅客機の信頼性・保全性の向上に関する航空技術の革新と、ヒューマン・ファクターズからのアプローチという、ハード・ソフト両面の安全性向上の取組みを通じて、航空機の安全性は大きく向上しています。

一方で、航空機の高度化・複雑化・自動化、航空交通量の著しい伸び、地球的規模の気象環境の変化など、航空輸送を取り巻く環境の変化は、近年の航空事故の原因に見られるように、新たなリスクへの対応を必要としています。

新型航空機への新たなアーキテクチャーや新技術・新材料の導入リスク、また、高度自動化によるヒューマン・マシン・インターフェイスの課題、あるいは、安全性・信頼性の向上に伴って事故や不安全事象が減少し学習機会も減少しているといった環境変化を踏まえ、未然防止をベースとした安全マネジメント体制にも進化が求められています。

ANAが、事業基盤であるとともに差別化の源泉でもある「安全・安心」の顧客経験価値を維持・向上させるために、どのような安全リスクを想定し、どのような安全マネジメントの仕組みづくりとそれを実現する組織づくりを行なっているのか、航空機の信頼性・保全性の視点、および安全マネジメント・プロセスや安全文化などの視点から事例をご紹介します。

講演者紹介
 黒木 英昭 氏
 全日本空輸株式会社 上席執行役員 整備センター長

総合職技術職として入社
主に、技術部門で、安全対策や信頼性管理、および技術企画に従事。
技術戦略や新型機開発に関するメーカーとの協議、グループエアラインや提携エアラインの技術管理業務、整備委託先の外注技術管理を担当。
その後、整備の品質保証部門長、全社安全マネジメントを担う安全担当役員を歴任。
2020年より、上席執行役員整備センター長(現職)に就任。
 

基調講演 6/29(火)

テーマ:IoT/CPS社会への信頼性・保全性・安全性

電気通信、情報通信、IoT、そしてCPSへと向かう今日、新たな顧客価値創造と共に信頼・安全をどのように作り込めば良いか。IoT/CPSのグローバルな市場規模は194兆円(2016年)から2030年までに404兆円まで倍増することが見込まれている。IoT/CPS下における顧客・ユーザの生命へ脅威を及ぼすトラブル・事故の未然防止は必須である。本講演では50年に亘る信頼性と品質保証を振り返り、今後のIoT/CSP社会における信頼・安全確保への考え方を論じる。

特にIoT/CPS下での
(1)信頼・安全への理念、規範、設計思想とリスクアセスメントへの取り組み姿勢
(2)危惧されるハザード・リスクモードの具体化と共有化
(3)エンドユーザを含むサプライチェーン全体を通したグローバルな信頼性・保全性・安全性の作り込みとローカルな施策
(4)デジタルトランスフォーメーションの重要性と留意事項
(5)危険監視型ではなく安全確認型(ホワイトモード)の重視等
に関し論じる。

講演者紹介
 鈴木 和幸 氏
 電気通信大学 名誉教授・特任教授

東京工業大学 大学院理工学研究科 博士課程修了、工学博士
(社)日本品質管理学会会長(2009年10月~2011年10月)、
日本信頼性学会会長(2012年6月~2014年 6月)を歴任。

2014年 デミング賞本賞受賞
2011、2012年 IEEE Reliability Society, Japan Chapter, Best Paper Award受賞
1999年 The Wilcoxon Prize 受賞(アメリカ品質学会・アメリカ統計学会)
1995、2003、2006、2013年 日本信頼性学会 高木賞受賞 等

[著書]
品質管理と品質保証,信頼性の基礎 (日科技連出版社、2018、真壁肇先生との共著)
信頼性・安全性の確保と未然防止(日本規格協会、2013)
未然防止の原理とそのシステム(日科技連出版社、2004)等 33編 (学術論文80編)
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