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BC-News(BC講師からのメッセージ)
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97.自身の仮説や考えの“偏り”と向き合う<2024年07月01日>

西日本旅客鉄道(株)
​芦高 勇気(120BC・O)

私は博士後期課程の1年生のとき、ベーシックコース(120BC・O)に書記として参加させていただきました。BCで学んだ手法が、「手法を使う人自身の思考」にどのように役立っているのかについて振り返ってみました。

原因が未知の異常を解決するときや研究開発などでは、「××の原因は○○だろう」というような仮説や考えを設定します。「データでものを考える」とはいっても、このような仮説や考えは完全に客観的なものではなく、“思考の偏り”(認知的なバイアス)が含まれるものです。世間では認知的なバイアスが悪者のように扱われることがありますが、必ずしも決して悪いものではありません。未知の問題に対するブレイクスルーには必要であったり、直観(ヒューリスティックス)が正しいときがあったりします。しかし、問題となるのは、“思考の偏り”が意図せずに含まれ、それによって悪影響があるときです。

BCで学んだ手法を用いることで、自身の“思考の偏り”に気付いて修正できたエピソードを紹介します。私が班別研究会で講師をしたとき、「まさかそんな些細なことが、こんな不具合につながるわけない」という“思考の偏り”を経験しました。受講生が作成した特性要因図ではこの“些細な”要因は記載されていたのですが、私は重要視していませんでした。しかし、受講生と話し合いを進めてこの要因について実験で検証したところ、工程にほんのひと手間加えるだけでこの不具合が改善されました。

この事例では、特性要因図を使用することにより、視覚的なイメージを共有しながら話し合いを進めることで、私が考えてもいなかった要因が、受講生の考えるモデルに含まれていたことが一目でわかりました。しかし、この時点では、私はまだその重要さに気付けませんでした。そして、原因を追究する話し合いの際にも、この特性要因図を用いることで、話し合いが進んだ部分とそうでない部分が明らかとなり、話し合いの内容の偏りや漏れが生じないようにすることに役立ちました。その結果、この“些細な”要因についても漏れなく検討できたことにより、自身の考えが妥当でないと判断できました。

問題解決などのストーリーの進め方は、修了者の皆様はすでに習得されていることと存じます。学ぶときには、手法の使い方に目が行きがちですので、「手法を使う人自身の思考」に着目して考えたことを述べさせていただきました。最後に、皆さんの様々なアイディアが、BCで学んだ手法やスキルを活用することにより、実現されることを願っています。

 
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