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BC-News(BC講師からのメッセージ)
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44.憧れのベーシックコース<2023年01月16日>

テネジーコーポレーション 品質顧問(元松下電器産業(株))
子安 弘美(68BC・O修了)

1.憧れのベーシックコースの受講
 私がBCを受講した時に勤めていた当時の会社では、品質本部が社外研修の受講枠を決めていました。受講枠は、各事業所一人ずつであったため、受講したくとも容易には受講できなかったのが、日本科学技術連盟のベーシックコースでした。
 職場では、業務上の問題を抱えて昼間は通常業務を、残業時間は問題の解析検討を、といった日々でした。そうした中で、ある部品の特性値が、半田付け前後で変化するという問題があり、毎晩、色々なサンプルを作っては次の日に製造ラインで製造してもらい、残業時間に測定をして原因解析に取り組んでいました。その様子を見ていた当時の上司が、「実験計画法を用いてみたら」とアドバイスをしてくれました。しかし、当時の私は、実験計画法を理解出来ていませんでした。本を渡され、参考にしようにも、因子、水準、交互作用、誤差・・・読んでも、読んでも理解できませんでした。
 このきっかけで、ベーシックコースの受講を希望したのですが、タイミングが悪く、三年間も待たされました。当時、年功序列の思想もあり、他の人が新任研修で先に受講されて、待ちに待って、ようやくベーシックコースが受講できたのは、「68BC・O」でした。

2.おこがましくも、教える立場に
 憧れていたベーシックコースの受講が終わりを向かえ、まだまだ実務での手法活用に手間取っていたので、セミナー終了後はどうしようか、と思っていたところ、最後の打ち上げパーティーでSQC部会への参加の誘いを頂き、以降、月一回の部会へ出席することになりました。
 当時、岩崎日出男先生がSQC部会長で、ベーシックコースの宿題(演習問題)の検討をしていました。出題の良し悪し、教育的であるかどうか、質問に対する解答は的確か、など、その議論を聞くことが凄く良い刺激となり、学ぶことも盛りだくさんで、月1回の部会がとても楽しみでした。そして、半年ほど過ぎた頃、事務局から班別研究会の指導をして欲しいとの依頼を受け、おこがましくも指導する立場となり、その後、さらに講義までもさせて頂くことになりました。
当時の講義は、大阪の堂島にある中央電気倶楽部の大ホールで行われていました。(現在は、別コースの講義で同ホールを使っています。)そのホールは、松下電器の創業者である松下幸之助が第1回創業記念式を行い、松下電器の使命が闡明され、壮大な250年計画が提示されて全員が興奮し壇上に駆け上がった、と伝えられている歴史的な場所なのです。松下電器に勤めていた私にとって、そのような場所で講義ができるということは、この上ない光栄なことでありました。

3.実務者として
 教育者でもない私が、25年余りも講義をはじめとして、指導をさせて頂きながら、共に学んでいます。
私は、ST委員、宿題委員、他のコースの講義、他のコースの運営委員などに携わってきました。常に考えてきたことは、「実務ではどうなのか?」、「上手く活用するためにはどうすればいいのか?」、「実務で役立つ補助資料づくりと講義」、「実務で役立つ問題づくり」など、「過去に自分は、どんなことで苦労したのか?」ということです。そして、いつも自分がベーシックコースを受講したときの気持ちを忘れないようにしています。実務者として、「現場で何が重要なことなのか」、「注意すべきことは」、「転ばぬ先の杖は」と力説しています。

全ての講義で共通して言えることは、
①データは、統計手法を使うためにとるのではない。
②データ解析は、手法を使って作図するとか、統計解析結果を得ることではない。
③固有技術を疎かにしない。
と考えています。

 実務では、「データで何を証明したいのか?」、「何を言いたいのか?」、「解析結果を基に何をどうしたいのか?」、などの目的があり、統計手法を用います。そして、いずれのデータも、データを得るときの「生い立ち」が最も重要です。「言うは易く行うは難し」なのですが、この生い立ちを如何に集めるかが解析結果からのアクションをする一つのキーとなります。これは、固有技術の見地との妥当性チェックに必要な情報と成り得ることと信じています。
 そして、受講生の皆さんが色々な手法、考え方を実務で活用して成果を上げて活躍されることを願っています。

 最後に、とりとめもない内容となりましたが、講義アンケートで「実務でのもっと多くの事例を聞きたかった」、「テキストにない実務の話が聞けて良かった」など、嬉しい結果と、修了生からメールでの問い合わせがあったり、近況報告を受けたりして、私も受講生も¨Happy¨を感じることが一番と考え、今後とも「初心忘るべからず」、「学ぶ心」の基本精神で、少しでも品質管理の継続と発展に貢献できれば幸いと思っております。

 
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