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コンピュータシミュレーションを使った体験型実験計画法ゲーム<2018年07月06日>

 実験計画法スタンダードコースの最大の魅力と言っても過言ではないカリキュラムがこの実験計画法ゲーム(通称DEゲーム)です。実験計画法を実際の現場に適用するとなると、単純に解析方法やその理論を知っているだけでは太刀打ちできません。教科書の斜め読みや、講義を聞いただけでは、何となくわかった気になっているだけで、実際に現場で使ってみようとすると何もわかっていなかったという経験をされたことはありませんか。
 実験計画法では特にその色が濃く、講義をただ聞いているだけでは、どういう場には、どの手法を用いればいいか、どの水準をとるか、交互作用の有る/無い因子の取り扱い方をどうすればいいか、誤差の評価をどう行えばいいかなど、実際の現場に適用する際に考えなければならないアイテムが多く、これらは経験しないと身につきにくい項目です。また、実験計画法を適用する際にこれらを理解せずに使用してしまうと、実験は非効率になるばかりで、時間とお金だけがかかります。
 そこで、シミュレーションを用いれば、実際に実験するよりは時間もお金もかからずに、疑似的に多くの経験を得ることができます。その経験には失敗もあります。実際の現場で失敗をするとその損失は計り知れず、大きな失敗ですと会社の存続問題にもつながりかねません。失敗を短期間で疑似的に体験できるシミュレーションは大変効果的です。
それではシミュレーションを用いて実施するDEゲームの概要について簡単に紹介しましょう。

【DEゲーム説明】
 まず、受講生は3~4名ごとのチームに分かれます。同じ会社から複数参加されていたとしても、重なることのないようチーム分けを行います。なるべく業界も重ならないようチームを設定いたします。次に、講師からゲーム内容の説明がなされます。ものづくりの現場でリアリティある問題を設定しております。望大特性である特性値を目標値以上にすべく、限られた実験回数の中で、シミュレーションを使って逐次探索実験を行い、取り上げた因子の最適水準を探索していただきます。シミュレーションと言ってもJUSE-Statworksにプログラムを組み込んでいるもので簡単な操作で実施できますし、DEゲーム実施にあたり、使用方法に関する説明を実施しておりますので受講生の皆さまは問題なく使えております。
 また、同時に逐次探索実験の“べからず集”という「誤差の評価を忘れるべからず」などの逐次探索実験の適用の際に陥りやすい注意ごとをまとめた格言集をお配りし、ポイントを簡単に説明します。

【DEゲーム開始~終了】
 一通りの説明が終わると、いざゲーム開始です。限られた実験回数ですので、慎重なチームも少なくありません。実験の計画に失敗すると目標値まで辿り着く可能性は少なくなります。チーム戦ですので、他のチームと競い合います。どう実験を計画するかはチーム次第です。これまでの講義で習得した実験デザインをどう用いるか、例えば、直交配列表を使った実験がいいのか、あるいは要因配置実験がいいのか、直交配列表を用いた実験を用いるにしても、さらにL8がいいのかL16がいいのか、はたまたL9やL27がいいのかなど、限られた実験回数を有効に使うためにはどうすればいいか、慎重に実験デザインを選択する必要があります。また、デザインを決めてもどの因子を選択して、水準をどこに設定するかなど、他にも決定する項目は多く、一筋縄ではいきません。ゲーム開始前に説明された”べからず集”を読み返しても、いかようにも読み取ることができ、いま一つ自分たちの実験をどう計画すればいいかは一意に定まるものではありません。
 これらをチームのメンバーと議論することで、実験のデザインを決定していきます。もちろん講師に質問することは可能ですが最終的にはチームのメンバーで決定します。1度計画した実験を実施するともう後には戻れません。シミュレーションだからいいやという気持ちはあるものの、どのチームも実験の選択には慎重にならざるを得ません。もちろん、大胆な実験デザインもありです。想像もつかないような実験を計画するチームもあり、これは講師自身が新たな気づきを得るということもあります。
 シミュレーションによって得られた結果を吟味し、次の実験を計画します。シミュレーションを用いて実験を実施すると実験結果が得られます。実験結果からどんな知見が得られたのか、チーム内で吟味・考察し、次の実験を計画します。どの因子が効いているのか、次の実験にはどの水準を用いるか、実験ごとのブロック誤差はあるのか、あるのであればどれくらいなのか、考えなければならない項目は多岐に亘ります。実験回数のなか、これらを繰り返しチーム内の最適水準を決定します。
 シミュレーションを進めていくにあたり、実験結果から次の実験の計画を論理的に考えることが重要で、ロジックが成り立っていればどんどん先に進んでいただければいいでしょう。ゲームには様々な“罠”が仕掛けられているので、そんなにたやすく先に進められないようにしておりますが・・・。ゲームの時間をたっぷり設けておりますので、そんな仕掛けられている“罠”にハマったとしても自分達で抜けられるようチーム内での議論に時間を多く割くことができます。

【DEゲーム発表会と総合討論】
 ゲーム終了後、各チームから発表していただきます。どうしてその実験デザインを選んだのか、水準をどのように選定したのかなど、チームによって考え方はいろいろです。他のチームの発表を聞いていると、なるほどそういう考え方もあったのかという新たな気づきも得られます。
 例えば、二元配置繰返しありの実験計画は本当に有効であるのかということや、自分たちのチームで行った実験が失敗であったと思っていても、全くの無駄ではなく、こんな見方をすれば、活きてくる可能性があるなど、総合討論によって理解を深めていきます。

【総括】
 各チームの発表終了後、全体を通しての質問が新たに生じることも少なくありませんので、質問コーナーを設けると共に、その回答と全体の総括を行います。ここでこれまで講義で聞いていた実験計画法やゲーム開始時に説明した“べからず集”を再確認することで、文字面だけで何となく理解していたものが、そういうことを言っていたのかと頭の中にスーッと入ってき、腹落ちします。
 シミュレーションを通して、疑似体験することで理解度が高まったことを受講生も実感されています。参考までに、DEゲームを実際に受けた方の声は大変好評な感想をいただいており、その一部を以下の通りご紹介します。
・DEゲームは今後の実業務に役立ちます。実際に取り組むと理解できていない箇所がわかり有
 益でした。
・実際に使ってみてはじめて理解した部分があり、完全に理解できていなかったことがわかっ
 た。
・実践的なゲームを通して、結果を次にどう活かすか考えることができ、とても良かったです。
・座学のみよりも理解が深まった。討論する中で自分の理解が誤っていたことを正すことがで
 き、学んだ分析方法をどう使えばよいかを学べた。
・DEゲームは楽しくできた。モデルによって陥り易い「わな」みたいなことも学べたと思う。
・実際に数値を用いて実験シミュレーションを行う事で、また発表や質疑応答を通して理解度が
 高くなりました。
・実際水準を検討することで理解が深くなった。
・水準幅の取り方が参考になった。誤差の変動に対する説明。DEゲームにより自分の不理解で
 あった点が明確になりました。
・グループで何度も議論しながら、実験に関する理解を深められて有益だった。時間が十分に
 とられているのも良かった。
・DEゲームは自身で考えながら、かつチームメンバーと議論する事ができたので理解が深まっ
 た。
・講義を聞くだけよりも、実際に活用する方が飲み込みやすかった。議論しながらできるところ
 も良かった。
 また、このカリキュラムは企業の社内セミナーにも品質管理教育として導入されている企業も多く、研究・開発部門の統計的手法の活用に関する動機付けのために、ゲームによる教育を行っている企業もあります。

 このように、ゲームによる効用は受講生の声にも表れており、理解度、満足度ともに非常に高いカリキュラムとなっております。実務で実験計画法を活用したいという技術者に強くお勧めいたします。

 失敗を体験しましょう。

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Profile

     隄   雄亮  氏
   (つつみ ゆうすけ)

2006年 田辺製薬株式会社
(現田辺三菱製薬会社)入社後 、
医薬品開発データの解析に携わり
在職中に2012年博士(工学)取得。
現在は、株式会社三菱ケミカル
ホールディングス 経営戦略室 課長。

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