役員のための品質経営セミナー
顧客価値の創造、価値を実現するイノベーション
講義1:経営におけるTQMの役割とその活用
中條 武志 氏(中央大学 理工学部 教授)
経営環境が大きく変わる中、持続的な成功のためには、組織として変化に迅速に対応できる能力を強化する必要があります。TQM(総合的品質管理)は、顧客・社会のニーズを満たす製品・サービスの提供を目的に、プロセスの管理・改善を、全部門・全階層の参加を得て行うことで、経営環境に適した効果的・効率的な組織運営を実現する方法です。本講義では、TQMの原則や中核となる活動について体系的に紹介し、経営にどう活用するのがよいのかについて考えます。
企業講演1:安全な電力貯蔵用リチウムイオン電池が世界を救う
今井 敏博 氏(エリーパワー株式会社 取締役常務執行役員)
現代の電化社会において電力の備えは災害発生時の最重要事項であり、非常時の備え、オフィスのBCP対策、ZEH住宅の広がりやVPPへの取り組み、2019年のFIT期間終了に向け、蓄電システムの需要は年々高まっており、大きく変わりつつあるエネルギー環境にとって重要な役割を担っていきます。高まる需要とともに、電池の安全性も重要課題となっています。私どもの世界トップレベルの安全性と性能を備えた大型リチウムイオン電池の開発・製造について、並びに当社の品質経営について講演させて頂きます。
企業講演2:企業価値向上活動 ~品質経営とトップの役割~
坂根 正弘 氏(コマツ 相談役)
1950年代にコマツは本社を東京に移転、港の近くに工場を建設し、輸出を拡大。その後、円高で国内のモノづくりに自信を失うと、一気に海外生産を加速。まさに日本の縮図でした。21世紀、私は会社の構造改革の一環として、思い切って国内回帰に舵を切りました。一連の構造改革でV字回復が実現する中、本社機能の一部を石川に移すことで、年間7億円規模の経済効果が地域にもたらされました。2012年、私は自民党の第一回日本経済再生本部の会合では、デフレ脱却と、地方を元気にすることの重要性を強く訴えました。現在は地方創生、国家戦略特区など、政府の仕事を通してこの国の課題に挑戦しています。
企業講演3:ビジョン達成に向けた独自のTQM推進
米岡 俊郎 氏(トヨタ自動車九州株式会社 専務取締役)
当社は、92年愛知県外で初めてとなるトヨタグループの車両生産工場として操業を開始し、親会社であるトヨタ自動車より引き継いだTQMの理念を実践してきました。
取り巻く環境変化の中、グローバル競争に生き残っていくために、ビジョンの見直しと共に、独自のTQMを推進、実践してまいりました。
その成果として、世界で最も品質の良い工場として表彰されるなどの大きな成果を上げるとともに、デミング賞を受賞することができました。これらの取り組みを紹介させていただきます。
講義2:企業における品質経営の進め方
狩野 紀昭 氏(東京理科大学名誉教授)
TQMは、全社的努力を必要とする経営戦略の実現に役立つユニークな管理手法であり、顧客指向のISOに対して、顧客指向とともに利益確保をめざしていることを具体的にご説明します。
競合優位としての品質を、顧客の基本要求への適合・顧客満足・顧客歓喜に区分し、今日の経営における位置づけを明らかにし、TQMの仕組み・具体的な手順など、経営に役立つTQM推進の実際について、各社の事例を踏まえてお話しします。
*所属・役職は2018年5月現在のものです。