役員のための品質経営セミナー
役員への品質教育の決定版!~顧客価値の創造、価値を実現するイノベーション~
講義1:経営におけるTQMの役割とその活用
中條 武志 氏(中央大学 理工学部 ビジネスデータサイエンス学科 教授)
経営環境が大きく変わる中、持続的な成功のためには、組織として変化に迅速に対応できる能力を強化する必要があります。TQM(総合的品質管理)は、顧客・社会のニーズを満たす製品・サービスの提供を目的に、プロセスの管理・改善を、全部門・全階層の参加を得て行うことで、経営環境に適した効果的・効率的な組織運営を実現する方法です。
本講義では、TQMの原則や中核となる活動について体系的に紹介し、経営にどう活用するのがよいのかについて考えます。
企業講演1:株式会社安川電機における品質経営の取り組み
小笠原 浩 氏(株式会社安川電機 代表取締役会長兼社長)
安川電機は1915年の創立以来、「電動機(モータ)とその応用」を事業領域に定め、その製品・技術によりお客様の経営課題の解決や、環境問題、労働力不足など社会課題解決にも貢献してきました。
創立100年を機に長期経営計画「2025年ビジョン」を策定し、当社のDNAである“メカトロニクス”を軸とした”工場自動化・最適化”と”メカトロニクスの応用”を事業領域とした活動を展開しています。
本講演では、創業以来、「技術立社」を社是として掲げ、幾多の困難を乗り越えてきた当社の品質経営の歴史を振り返りつつ、現在進めているデジタル経営基盤構築を目指した安川デジタルトランスフォーメーション(YDX)の狙いと活動状況、そして、ものづくりの現場に新たな自動化革命を実現する安川ソリューションコンセプト「アイキューブメカトロニクス」の取り組みについてお話しします。
企業講演2:企業価値向上活動 ~品質経営とトップの役割~(仮題)
坂根 正弘 氏((株)小松製作所 顧問)
1950年代にコマツは本社を東京に移転、太平洋側の港の近くに工場を建設し、輸出を拡大。その後、円高で国内のモノづくりに自信を失うと、一気に海外生産を加速。まさに日本の縮図でした。21世紀に入り、私は会社の構造改革の第一歩として、モノづくりコストを工場の変動コストに絞って国際比較をし、日本の競争力が十分にあることを認識。その後、社内に説明し国内回帰に舵を切りました。一連の構造改革でV字回復が実現する中、本社機能の一部を石川に移すことで、年間7億円規模の経済効果が地域にもたらされました。2012年、私は自民党の第一回日本経済再生本部の会合では、デフレ脱却と、地方を元気にすることの重要性を強く訴えました。現在は地方創生、国家戦略特区など、政府の仕事を通してこの国の課題に挑戦しています。
企業講演3:デミング賞への挑戦を通じて、学び・実践した品質経営の取り組み
榊原 正己 氏(トヨタ紡織株式会社 TQM推進室 主査)
当社は、シート、内外装、ユニット部品の3つの領域で事業活動を行う自動車部品メーカーです。
CASEに象徴される自動車産業の大変革期を迎え、自動車の電動化シフトや顧客ニーズの変化などの外的環境変化に対し、デミング賞受審組織であるユニット部品事業は、その影響を受けやすく、開発力・ものづくり力、人財育成などが追従できず、将来への事業継続に多くの不安を抱えていた。このような 状況の打破に向けTQMに活路を見出した。そこで、2016年TQM本格導入宣言をし、方針管理、日常管理、小集団活動などを推進し、2018年TQM奨励賞を、2021年 デミング賞を受賞した。
今回は、抱える経営課題達成に向け、デミング賞への挑戦を通じて、学び、実践した品質経営=TQM推進の実際について、その事例(そこに込めた想いを含め)を踏まえて、ご説明します。
講義2:企業における品質経営の進め方
狩野 紀昭 氏(東京理科大学名誉教授)
TQMは、全社的努力を必要とする経営戦略の実現に役立つユニークな管理手法であり、顧客指向のISOに対して、顧客指向とともに利益確保をめざしていることを具体的にご説明します。
競合優位としての品質を、顧客の基本要求への適合・顧客満足・顧客歓喜に区分し、今日の経営における位置づけを明らかにし、TQMの仕組み・具体的な手順など、経営に役立つTQM推進の実際について、各社の事例を踏まえてお話しします。
*所属・役職は2022年10月1日現在のものです。