事業詳細
講演会

特別講演会 医薬品・再生医療等製品の承認審査に関する最近の話題

講演1:臨床医の視点からの事例紹介

山﨑 隼人 氏
中外製薬株式会社 トランスレーショナルクリニカルリサーチ本部 TCR企画部
元独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査専門員 臨床医学担当
 

[プロフィール]

東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科にてリウマチ専門医としての研鑽を積むとともに、同大学院薬害監視学講座にて抗リウマチ薬の有効性・安全性に関する臨床研究に従事。2014年4月よりPMDAの臨床医学担当新薬審査専門員として、リウマチ性疾患を中心とした多数の新薬承認審査及び治験相談を担当した。PMDA在籍時には、臨床現場を知る医師の視点を承認審査に反映させることに注力し、臨床の立場から審査チームの意見を先導した。2017年9月より、中外製薬株式会社トランスレーショナルクリニカルリサーチ本部TCR企画部にて、早期探索的臨床試験等に従事。医師、医学博士、日本内科学会内科専門医、日本リウマチ学会リウマチ専門医。

[講演のききどころ]
新薬の承認審査では、選択基準を満たした特定の患者集団における限られた臨床試験データにもとづき、新薬が実臨床で使用された際の真の有効性・安全性を検討しなければならない。また、新薬の真のベネフィットリスクバランスは、市販後に投与経験が蓄積されてから初めて明らかになることも多い。承認審査時に積み残した課題については、市販後に適切な評価ができるような方策を練ることが極めて重要であるが、本邦で従来行われてきた製造販売後調査や、今後利用が期待されるレセプトデータベースには課題も多く、安全性の懸念から承認の可否について悩む事例は少なくない。本講演では、抗リウマチ薬のJAK阻害薬の承認審査で議論となった事例について、臨床医の視点から紹介する。
 

講演2:生物統計家の視点からの事例紹介

上村 鋼平 氏
東京大学大学院 情報学環 特任講師
元独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査専門員 生物統計担当
 

[プロフィール]
2009年      東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。博士(保健学)
2009年~2017年 医薬品医療機器総合機構 新薬審査第四部 生物統計担当
2014年~2017年 同再生医療等製品審査部、ワクチン等審査部 生物統計担当
2017年~現在   東京大学情報学環特任講師。生物統計情報学コースの設立・運営・講師を担当

[講演のききどころ]
用法用量に関する問題は、領域による違いはあるものの、審査及び対面助言のいずれにおいても、最もよく議論になるポイントです。その理由は、開発側の視点と審査側の視点が比較的食い違い易いという側面があるからだと考えられます。実際に、開発の段階において、用法用量を検討し候補用量を絞り込んでいく過程には、種々の限界や開発状況に左右される難しさも多く、審査の段階で大きな論点となるケースもしばしばあります。個別の問題は、論点が複雑になりやすいですが、本講演では、審査チームが悩んだ事例を参照しつつ、審査側の視点から強調されるべきと考えられる点を中心に、問題点を整理したいと思います。また、現在、ICHE9ガイドライン「臨床試験における統計的原則」の補遺について、Estimandsと感度解析の議論が進行しています。これらの議論と関連して、生物統計の視点から、有効性評価の頑健性について問題となった事例を紹介し、議論を行いたいと思います。
 

講演3:再生医療等製品の審査に関する留意点と事例紹介

河西 正樹 氏
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 再生医療製品等審査部 審査専門員


[プロフィール]
2011年3月  岐阜薬科大学大学院薬学研究科博士後期課程修了.博士(薬学)
2011年4月      独立行政法人医薬品医療機器総合機構入社 生物系審査第二部配属
2012年10月    同機構再生医療製品等審査部へ配置換え(現在に至る)
                     PMDA入社以来、再生医療等製品の承認審査・相談等業務に従事。
                     再生医療製品分野のチーム主任を担当

[講演のききどころ]
平成26年11月25日に施行された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」において、医薬品、医療機器とは別に、再生医療等製品が定義され、条件及び期限付承認制度の創設等、再生医療等製品の特性に応じた新たな規制が設けられた。再生医療等製品は、細胞組織の由来、分化の程度・方向、製造方法、投与/適用経路、対象疾患等が多様であり、医薬品、医療機器とは異なる特性を有している。そのため、製品開発に際し留意すべき点が多く存在し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構 再生医療製品等審査部では、再生医療等製品の早期実用化を目指し、合理的かつ効率的な開発となるよう承認審査・相談等業務を行っている。
本講演では、再生医療等製品の概要並びに承認審査の現状、臨床試験及び製造販売後承認条件評価における留意点等について紹介する。
 

ページトップ