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BC-News(BC講師からのメッセージ)
BC

93.BC受講が会社生活、人生のターニングポイント<2023年11月14日>

SQCテクノサポート・元トヨタ自動車
小杉 敬彦(75BC・T)

(受講前)
 入社して数年後、私は生産技術開発業務の担当となった。その日から、切削加工の高速・高精度化を実現するために、工具メーカの協力をいただきながら、様々な切削工具を用いて工具摩耗の少ない、加工面精度の良い最適な工具と加工条件を探索する毎日が始まった。そこでは実験を計画・実施し、データ解析することを頻繁に行っており、見様見真似で直交表を用いた実験を実施していた。日々悪戦苦闘する私を見て、ある日上司から話があったのが、ベーシックコース(BC)の受講であった。私にとっては願ってもない話であり、その場で受講が決まった。これまでを振り返ってみると、BCの受講が私の会社生活、人生の大きなターニングポイントとなった。


(受講中)
 第75回BC受講生145名の一人として受講がスタートした。受講期間中は、普段の仕事に班別研究テーマの取り組みと報告書の作成、宿題、STの勉強が加わり、とてもきつい半年間だったことは今でも記憶に残っている。時間を捻出するため、宿題は毎日昼休みにやっていた。当時はまだパソコンは普及していないので、すべて手書きで毎回レポート用紙20~30枚ぐらいになっていた。データ解析は電卓で、相関係数1つ求めるのに、分散分析表1つ作るのに相当の時間を要していた。そのおかげで、電卓の操作スピードは格段に向上した。この半年間は、長い会社生活の中で最も充実していて、自分自身が成長できた半年であったと言える。


(受講後)
 受講後まもなく、生産技術部署からTQM推進部署へ異動となり、統計的方法を活用する側から推進する側へと立場が変わった。そこでは研修の企画、テキストの作成、講師など研修全般を担当したが、BCの受講が大いに役立ったことは言うまでもない。社内研修では言及しないこともBCで習っているので、心に余裕を持って講義ができ、質問への対応も不安なく実施できた。講師をした後は、一喜一憂しながらアンケートに目を通し、改善ポイントを決めて次回に臨む、といったことを繰り返した。

 今日まで30年以上にわたって講師活動を継続できたのは、BCで学んだことが土台となり自分の核となってきたからだと言える。30数年前にたまたま上司が声をかけてくれ、BC受講の機会に恵まれたことがすべての始まりであった。永年勤務した会社を退職した現在も講師を続けているが、講師活動は自分自身の理解を高める最善の方法である。しかし、毎回「伝えたこと」と「伝わったこと」の間にギャップがあり、これは永遠の課題である。BC受講という幸運に恵まれたことへの恩返しとして、これからも可能な限り講師活動など、統計的方法の普及・推進に関わり、微力ではあるが日本のもの作り力・品質向上に寄与していきたい。

 
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