
BC
79.BCは品質管理教育の先駆け的存在!<2023年02月20日>

東海大学 情報通信学部 経営システム工学科 准教授
金子 雅明(101BC・T修了)
金子 雅明(101BC・T修了)
BCとの出会いは、大学院時代での書記としての参画でした。参画した101BCは19年前の2002年であり、この年はFIFA日韓ワールドカップが開催されました。BC講義があった時間にちょうど、日本の大事な試合があり、どうしてもそれが見たくて、早めに講義を終えてもらえるよう、講義講師に掛け合ったことが思い出されます。これがきっかけとなり、その後は宿題やSTの作成、講義、班別指導等で、今もBCに携わらせて頂いています。
私が思うBCの一番の特徴は、講義だけでなく、自らの問題を実践的に取り組む班別を組み合わせた教育方法である点です。知識を本当の意味で習得し、それを自分自身でうまく使いこなすのは簡単ではありません。“知っている”と“実践できる”の間には大きな差があり、この差を埋めるために、講義で習ったことを班別で実践し、班別で実践している中で分からなくなったことを、再度講義内容やそのテキストを見返すという学習スタイルが極めて大事です。
近年、どの大学でも“アクティブ・ラーニング”という授業展開が注目されています。要は、教員による一方的な講義による受け身的な授業でなく、学生自らが主体的・自律的に考えて発言し、教員と学生の双方向な授業をしなさいということであり、文科省が推奨しています。
また、皆さんはラーニングピラミッドをご存知でしょうか。私は恥ずかしながら5、6年前に初めて知りました。これは、学生の平均学習定着率を表す図であり、学習方法によって知識の定着率がどのぐらいかを次のように算出しています。
・講義を受ける-5%
・資料や書籍を読む-10%
・視聴覚(ビデオや音声等による学習)-20%
・実演を見る-30% ・他者と議論する-50%
・実践による経験、練習-75%
・他者に学んだことを教える-90%
最後の3つがいわゆるアクティブ・ラーニングに相当する教育方法であり、学習定着率が一番高くなっています。また、“講義”は教えた内容のたったの5%!!です。私はこれを知ってから、授業内容を設計する際には、学習内容を広くし、あれもこれも盛り込みたい気持ちを抑え、学生に一方的に伝えた知識量の多さではなく、実際に学生が定着できる知識量をどう増やすかにシフトしました。
これらの観点に照らせば、BCの講義と班別の組み合わせ教育はまさに、受講者の自主的な学びを推奨し、学習の定着率を高める方法であったといえます。1949年にBCが開設され、いつ頃からこのような組み合わせ教育が行われたのかの明確な情報を持っていませんが、いずれにしても時代を先取りした品質管理教育であったのではないでしょうか。
2019年からの新型コロナウイルスの世界中での感染拡大に伴い、大学教育は一斉にオンライン化を迫られ、BCも同様にオンライン化されました。対面と比べてオンライン化に伴うデメリットも確かにありますが、その一方で時間的・空間的な制約を取り除けることによるメリットも多いことに皆さんもお気づきになっていると思います。コロナを克服した後でも、従来の対面型にすべて戻すのではなく、オンラインのメリットを最大限に活用できるセミナー構成や運営を考えるべきだと思っています。大分昔のことですが、BC講師が有志で集まり、講義検討会なるものを開催して、どういう講義のやり方が最も学習効果が高いかを熱く検討していたのを思い出します。これを契機に、対面とオンライン併用によるセミナーや教育の在り方を深く検討し、今後もBCが品質管理教育の先駆け的存在であることを願ってやみません。


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