BC
85.BCははじめの一歩<2023年02月26日>
近畿大学 理工学部 機械工学科 准教授
竹本 康彦
(134BC・O)
竹本 康彦
(134BC・O)
品質管理セミナーベーシックコース(以下、BC)に初めて携わったのは2018年の134BC・Oでした。開始前に送付されてきた大量のテキストの中身を見たとき、社会人の、それも30歳代から40歳代の中堅社員の方々が、こんなにも数学式が羅列したテキストをお読みになることに驚愕した覚えがあります。これまでに何度か講義を担当しましたが、受講生の皆さんが数学式満載のテキストをしっかり読み込み、取り組んでいらっしゃったことに大変感心しました。また、教授においても、こちらとして大きな満足感を得ることができました。受講して頂いた皆さんに深く感謝を申し上げる次第です。
昨今では、理工系といえども学生諸君が数学を敬遠しがちです。数学は「科学の共通言語」なる言葉を聞いたことがあります。物理現象をモデル化するにあたって、数学は必須の道具です。統計学では、数学式に基づき目に見えない「不確実性」を取り扱います。身の回りに不確実な現象はあふれているにもかかわらず、そういった物事の捉え方を大学に入学するまではあまり扱いません。数学式だけでなく、そこには特有の理論や考え方が存在します。「 x∼N(μ,σ^2) 」とする表現も、最初は困惑されたのではないかと思います。理論は思考のよりどころとなるものだと思います。統計的あるいは統計学的考え方は極めて重要なモノの見方を与えてくれると思っています。BCを通じて学んだ理論や考え方は、皆さんにこれまでと違ったモノの見方を提示してくれているものと思っています。学んだ方法を現場に応じて実践することに挑戦していって頂きたいと思います。
統計的方法や品質管理手法にも進歩は日々あります。世界には、品質管理に関する学術雑誌が多数あります。私感で恐縮ですが、品質管理に関する学術雑誌のImpact factor(重要度の一目安)は近年非常に高くなっており、注目される分野の一つだと認識しています。また、日科技連出版社を始め、多くの出版社から品質管理に関連する文献も多数発刊されています。機会があれば、BCで学んだことだけにとらわれず、是非、新しい考え方や方法に目を向けて頂ければと思います。そういった文献を読む力はBCで既に培われていると思っています。
修了した皆さんが、引き続き研鑽され、問題解決の先頭に立って果敢に取り組んでいる姿を想像しております。
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