
19.「点と点を結ぶ」<2016年09月29日>

関西大学 教授 荒木 孝治(58BC・O修了)
点と点を結ぶ
東京・北区に、世界一の町工場と呼ばれている有限会社清田製作所があります(従業員13名)。その代表取締役である清田茂男氏(82歳)が、『愚直に勝る天才なし!』(講談社)という著書を本年出版されました。様々な有益な内容がそこに記されており、品質管理の温故知新の宝庫であるといえます。温故知新というのは、現在の品質管理・TQMからは失われてしまった良い事柄も多く記載されていることを意味します。
その中に、
何かをやろうと考えたときに、最初から大きな面や太い線を描けることは少ない。だから、まず点を打つことから始めてみる。いくつも点を打って、そこをつないでいくと目的地につくことがある
という文章があります。これは、現代風に言えば、いくつか点を打って、それらを結ぶことによりネットワークを作っていくということでしょう。
新しい物事を学ぶことの意味は、新たな点を打つと同時にその点と既存の点とを結ぶことにあります。品質管理活動は、本来、こうした点をこつこつと打ち、特に人と人の間を結んでいく愚直な活動です。
ベーシックコース(BC)の役割とは何でしょうか。受講する各個人が、一つは、新しく品質管理の知識を体系的に学ぶことにより、「点を打つ」ことにあります。また、既に学んでいる内容との間に線を引いていくことでもあります。さらには、班別研究会における指導講師や他社の人たちとの意見交換やふれあいの中で、人的ネットワークを作っていくことにあります。こうしたネットワークは、将来、ソーシャルキャピタルとして機能することが期待されます。
BCを終了された皆さん。その後はいかがでしょうか?継続して点を打ち、線で結んでいますか?今、どんな絵が描けていますか?

