11.「BC宿題問題作り20年」<2016年09月28日>
バンドー化学株式会社 R&Dセンター 和田 法明
はじめに
約25年前に会社からの派遣でBCを受講した。当時私は新婚であったので、毎月だされる宿題問題を解いたり、テストのために復習で土日を割かれるのを、家内に文句をいわれながら実施していた。幸いにも最初の試験の点数がよかったので、毎回この成績を保つよう、半ば意地になって勉強し、何とかBC賞を受賞できた。それ以来翌年から班別研究会の講師のお声がかかり、今ではBCと通信教育品質管理基礎講座で運営委員をおおせつかっている。また社内ではSQCの和田として、これも長年推進リーダー役を担当している。
1.企業で役立つQC手法は
当社では毎年、BCコースに数名を派遣している。結局、当社の中には100人近くBC卒業生がいることになる。しかし、今では隠れBC卒業生になってしまったものも、数多くいる。結局は手法を使う意識がないと、活用できずに忘れさられるようである。初歩的なQC七つ道具でさえ、そういう状況になってしまうようである。
当社は技術系の新人には、入社当初にある程度社内でQC手法を習得させるプログラムを組んでいるが、そこには毎年新しいBC卒業生に担当してもらうシステムにしている。BCでの講義を受けるだけでなく、自分で新人に教えることによって、講師側(BC卒業生)も勉強してもらうシステムにしている。しかし、やはりそれだけで終わっては不十分で、普段から応用してみる意識、失敗しても使ってみる意識がないと同じ結果となる。
当社で活用度が高いのは、QC七つ道具の他では、QFD,最適化手法、パラメータ設計、重回帰分析、主成分分析であろう。社内で研究会的なものを組んで地道に、検討を重ねた手法やコンサルタントを招聘して普及させた手法がやはり活用されている。単なる教科書通りの解析ではなく、そこに検討会で自社なりに解析手順を含めたものが活用されているといえる。
個人的には主成分分析をよく活用する。主成分分析は数値データを扱う手法であるが、まとめは言語データである。そこには固有技術的な要素もかなり含まれる。第1主成分はどういうものなのか、第2主成分は何を表わすのか、そこから問題点を抽出し、今度どう取り組むべきなのかを十分考察することが大切である。
2.宿題問題作り20年
BC講師としてのほとんどの期間、宿題問題の作成委員を担当してきた。以前は問題作り、検討のために、泊り込みで実施していたこともよくあった。実務に即した内容ということで、単なる数値解析だけでなく、結果が固有技術的に納得がいくような解析になっているかを議論したこともよくあった。
特に直交配列実験などで、特性値の大小関係が固有技術的に正しいのかという判断を委員長より求められた。
宿題分科会の委員にはいろんな分野の方をおられたので、この会を通じて、いろいろな分野の内容が学べた。自分が担当した問題を作成するときは、従来の問題内容から何か変えようと工夫をした。検討会では従来パターンで作られた問題とは違うときは、議論が白熱し、結局はボツになってしまうことも多かったが、結局ワンパターンでは、受講生のためにもならないので、自分が委員長の時代はパターンを変えることを最優先して、問題作りを行ってきた。いろいろな問題を作成してきたので、今では自分の作成した化学・ゴム分野の問題だけで1冊の問題集になるくらいの量があると思う。
3.品質管理検定(QC検定)の問題集作り
BCの宿題問題作成の延長線上というわけでもないが、最近はQC検定の問題集作りにたずさわっている。以前はBC卒業生は品質管理士の資格取得をめざしたが、2005年から品質管理検定(QC検定)が実施され、BC卒業生もそちらの資格取得をめざしてもらうことになっている。
私も2006年の第1回を受験し、QC検定1級の資格を取得した。それ以来今度は受験生に役立つ問題集作りを、細谷克也先生の監修のもとで行っている。既に集中対策シリーズとして、「受験対策問題集」1級~4級の4冊と、受験対策シリーズとして、3級対応の「問題・解説」集を発刊した。現在受験対策シリーズの残りの級の執筆に励んでいる。とりわけ、BC卒業生が受験する1級では、論述問題が必ず出題されるが、これを執筆メンバー(QC検定問題集編集委員会)で出題内容の分野別に予想問題リストを作成し、それに対する解答のポイントをまとめて、「受験対策問題集」1級に掲載している。是非参考にしてほしい。
また、QC検定の出題内容も当初はISOや規格分野に偏重されているような傾向もあったが、最近はかなり幅広く出題され、オーソドックスな形に修正されてきている。ただ「品質管理の実践」の問題ではBCで習わない新しい考え方なども一部含まれるようなので、「受験対策問題集」1級でチェックしてほしい。その他4級は「企業活動の基本」が中心で、新人研修で教えるような内容であるが、自分自身で問題を作るとなると、今まであまり作ったことのない問題内容となり、新鮮な内容が多く、楽しく問題作りをさせてもらった。
これからもまだまだいろいろな問題作りにチャレンジしていくことを楽しみにしている。
[参考文献]
QC検定問題集編集委員会著:『品質管理検定1級受験対策問題集』
QC検定問題集編集委員会著:『QC検定3級対応問題・解説集』