8.「QC修行中-すべてはBCから-」<2016年09月28日>
株式会社中山製鋼所 生産戦略チーム 部長 竹士伊知郎
昭和50年代の半ば、秋から冬に季節が移るころ、大阪 堂島の中央電気倶楽部の大ホール、前から3列目の机に私は座っていた。そこで講義される「QC手法」の数々は、新入社員に毛の生えたような新米鉄鋼エンジニアにとって、まさに魔法のツールに思えた。講義の最中でも、「直交配列表を使って、鋼材の加工性を上げるための実験をやろう」「管理図を描けば、棒鋼の寸法変動の要因が絞れるぞ」「回帰分析を使って圧延温度と製品強度の関係をモデル化しよう」などなど、「会社の品質問題はすべて私にお任せ!」くらいの大それた考えが頭の中を駆け巡っていた。
あれから四半世紀余り、QCは私の人生の中で大きな部分を占めることになった。会社では、管理職になって部下をBCに派遣する立場にかわった。BCにおいては、班別研究会の指導講師を皮切りに、手法の講義を担当。現在は、ST分科会の委員長もやらせていただき、おこがましくも、教える側に立っている。
「継続は力なり」というが、これほどまでに、私をして、「継続させる力」は何なのかと自問してみる。もちろん、会社の多くの上司や先輩方、BCの講師の先生方・事務局の皆様方の叱咤と暖かいご指導がなければ、現在がありえないことには、疑う余地はない。しかし、どうもそれだけではない。
はじめてQCに出会った、あの日の感動から始まり、それらを究めようとすると、さらに自分の知らなかった、もっと魅力的な“魔法”が次々に現れる。しょうがないので、それを追いかけると・・・・・の繰り返しで、25年過ぎたというのが、正直なところだ。しかも、この“魔法”は、かぼちゃを馬車にするがごとく実利的な効用をもたらす実学であることが、自らの経験や班別研究会などの多くのみなさんの実例から、次々と証明されるのだから、「これは、やめられない!」のである。
今年の4月からは、関西で50年近い伝統を誇る「SQC部会」の部会長を拝命した。本部会は、BC修了生・若手講師を対象としたSQC手法の勉強会であるのだが、今のところ、こちらが勉強させていただいているようなことである。先代の部会長である神戸大学 稲葉先生のご支援もいただき、徐々に発展的な軌道に乗せたい。会合終了後の「アルコール飲用を伴う社会勉強」も重要なプログラムと考えているので、こちらも含め、意欲のある方の新規参加大歓迎である。
(詳細は日科技連大阪事務所まで)
【お知らせとPR】
前述のSQC部会では、メンバー全員の協力のもと、「QC検定1級問題 解説書(仮称)」を作成中である。本書は、BC受講生・修了生・関係者を対象にした検定1級問題(過去4回分程度)の解答・解説書で、BCテキストの該当・関連ページを明示し、解答の重要ポイント、手法問題の計算過程などを簡潔にまとめたものである。来年3月までには、皆様に配付できるよう作業を進めている。
詳細は追って事務局から。