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BC-News(BC講師からのメッセージ)
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6.「50年前のBC修了生」<2016年09月28日>

コニカミノルタホールデイングス株式会社 名誉顧問  米山 高範 
(元 コニカ株式会社 代表取締役社長) 
 
 
 
私は、第13回品質管理セミナー・ベーシックコース(BC)の修了生です。 
 
1953年(昭28年)に大学を卒業して、小西六写真工業(株)<現コニカミノルタ>へ入社、間もなく、第13回BCの書記としてQCの勉強を始めました。BCの終了後は、班別研究会の講師手伝いをしたり、統計的方法の演習に参加したりしました。その後、いくつかの講義も担当させていただきました。 
 
このように、BCの6ヶ月研修と、その後の講師活動を通じて、管理技術に関する新しい知識と手法を習得することができました。その内容は広範囲ですが、実務を遂行する上で、特に有効だったのは「統計手法」と「管理のサイクル」でした。「統計手法」は技術問題の解析や管理について応用することができましたし、「管理のサイクル」は年度計画の展開やプロジェクトの推進などに基本となる概念として活用しました。 
 
<統計手法の活用> 
研修期間中に教えていただいた統計手法について、私は、出来るだけ実務に応用することを心がけました。班別研究会などで他社例を勉強することは参考になりますが、やはり、自分の業務の中で手法を応用することで、手法への理解を深めることができたと思っています。 
 
当時、私は、カメラの部品の表面処理を担当していましたが、新しい「光沢ニッケルメッキ法」の採用について、統計解析をベースにして作業標準を確立しました。また、新製品の生産展開に当たって、実験計画法を用いて技術条件を設定したことがあります。 
 
管理者になってからは、部下の業務の中での統計手法の使い方、考え方を検証することができましたし、適切な助言もできたと思っています。このような実務経験が、その後、「品質管理実務テキスト」「分散分析法入門(共著)」などの著書を執筆することにつながりました。 
 
<管理のサイクルの応用> 
管理者としての重要な業務に、中長期計画、年度計画のような大きな計画の策定とその実行があります。このような計画を展開する時、最も大切なことは、基軸となる展開方針を明確にすることです。私達は、BCの中で、基軸となる展開方針として「顧客重視」の考え方や、「管理のサイクル(PDCA)」という実行手段を習得したのです。 
 
私は、特に、PDCAの中で管理点(C)を定め、必ずデータで表すことを実行してきました。最近、計画の“見える化”という表現がよく使われますが、実は、QCでは以前から「管理点でデータを示す」ことで、“見える化”が実行されてきたのです。 
 
管理のサイクル」は大きな計画への活用だけでなく、たとえば、プロジェクトの推進、システムの構築などの業務においても有効な考え方として、また、手法として利用できるのです。このように、業務遂行のいろいろな場面で「管理のサイクル」の考え方は効果をあげるのですが、さらに、経営レベルの課題についても、全く同じように有効であることが実証されているのです。 
 
さて、BCから得られるもうひとつの恩恵は「人脈」です。研修期間中に直接ご指導をいただいた先生との接点、また、研修員相互の交流は貴重な財産です。研修終了後、QCに関する研究会、発表会などへ出席されれば、長いBCの歴史の中での先輩、仲間との出会いもある筈です。これこそ、BC修了生の特権といってもよいのではないでしょうか。 

 
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