よくある質問

統計的品質管理

Q.

社内の実験や実験計画法の書籍を見ていると、実験の水準がみんな等間隔になっています。水準を等間隔にして実験しなければならない決まりがあるのでしょうか。

A.

水準を等間隔にして実験をしなければならないという決まりはありません。しかし、水準を等間隔にしないと、下記の様なデメリットが出てきます。

(1)効率が悪い
例えば、3水準の実験で第1水準と第2水準を殆ど等しい値にしてしまうと、実験の手間の割には、得られる情報が2水準の実験とほぼ同じという、非効率な結果になります。

(2)計算が煩雑になる
多水準の因子で、直交多項式による分解を使って1次効果や2次効果を求めるとき、計算がとても煩雑になります。このとき使う係数は、等間隔の場合には、直交多項式の表に載っている値がそのまま使えますが、等間隔でない場合には、自分で計算して求めなければなりません。また、等間隔に比べて直交多項式の公式もずっと複雑になります。

(3)判断ミスを犯しやすい
不等間隔であることを忘れて、等間隔の要因効果図を書いたり、等間隔の公式を使って解析したりしがちなものです。すると、本来は直線的な効果のみをもつ場合でも、見た目には2次効果が有意になりそうですし、実際に検定の結果も有意になったりします。

以上述べたように、不都合な点はいくつか出て来ますが、有利な点はありません。特別な事情がない限り、当間隔で実験されることをお勧めします。

参考文献
富士ゼロックス(株) QC研究会編:「疑問に答える実験計画法問答集」、日本規格協会、1989

お勧めセミナー
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Q.

分散分析適用上の注意点を教えてください。

A.

実験計画法によって計画された実験によって得られたデータから,要因の主効果や交互作用,実験誤差を抽出し,それらを比較して,主効果と交互作用が本当に存在すると考えてよいかどうかを統計学に基づいて判定する方法が分散分析です.
そのために,実際は実験データから平方和,自由度,平均平方,分散比の順にそれらの数値を求め,分散比に対して統計学を適用して分析します.計算方法はそれほど難しくないのですが,手間がかかりますのでエクセルや統計解析ソフトウェア(StatWorksなど)を用いるのが実務では一般的です.
ここで問題なのが,テキストやソフトウェアによって平方和や平均平方などの呼び名が異なるということです.例えば,平方和ですが,エクセルの分析ツールでは“変動”,StatWorksでは“平方和”と呼んでいます.字面で覚えるのではなく,しっかりと意味を理解し,ヘルプ等から正しい判断ができるようになることが大切です.
分散分析は統計学に基づく実験データの解析法ですので,分散分析の結果,有益な情報が得られるかどうかは実験条件や実験の実施法にかかってきます.実験条件,実施上の注意点として,

・交互作用があると予想される因子は個別に実験を行わない,
・主効果や交互作用が有意になるかどうかは要因の水準数や水準の幅に依存する,
・反復(因子の同一の水準組合せの実験を複数回行う)
・無作為化(実験の順序はランダムに)
・局所管理(実験環境が均一と考えられるブロックを導入すること)

などがあります.反復,無作為化,局所管理はFisherの3原則と呼ばれています.
分散分析・実験計画法のポイントはまだまだあります.ぜひセミナーなどを利用し,分散分析・実験計画法を皆様の実務に役立ててください.

(東京理科大学 安井 清一)

Q.

実験に取り上げた幾つかの要因のうち、固有技術的に結果に影響を及ぼさないと思われるものが、統計的には意味があるという結果となりました。どう判断すればよいでしょうか?

A.

統計的に意味があるかどうかは、分散分析表において誤差分散と比較して判定しているため、「グラフなどにおいて固有技術的な観点から判断される要因効果の大きさ」と「分散分析表での検定結果」が異なる場合があり、注意が必要です。

分散分析表の誤差分散が小さい場合には、グラフなどで小さな差しか示していないのに有意になってしまいます。これは、固有技術的に小さな違いである と見えるのに、検定結果は有意となる場合です。一方、分散分析表の誤差分散が大きい場合には、固有技術的には効果がありそうでも有意とならない可能性があ ります。

前者については、固有技術的な判断を優先させるのが良いものの、後者の場合には判断が難しいです。誤差分散の大きさの妥当性を確認し、データ数や実験のやり方を再度慎重にする必要があります。

参考文献
永田 靖:「入門実験計画法」,日科技連出版社,2000

Q.

タグチメソッドを実践すると、開発の効率が向上すると聞きました。タグチメソッドとは何ですか?

A.

タグチメソッドとは、田口玄一氏が開発した数々の方法論の総称で、品質工学と呼ぶこともあります。伝統的な実験計画法とは本質的に異なっています。

田口玄一氏は「技術者の最大欠陥は、何が起きるのかわからないと手を打てないことだ」という名言を残しています。

製品の多くは、試作品の試験結果をふまえて改良を加えるというサイクルで開発されています。しかし、製品が高度化・複雑化することに伴い、試験で見つかる品質問題が増加して、技術者がその解決に追われるという問題が見受けられる様になりました。

タグチメソッドでは、使用環境などの条件をわざと大きく変化させて、ばらつきを意図的に作り出し、そのとき発生するばらつきができるだけ小さくなるような因子の水準を決めます(この様なことからパラメータ設計と呼ばれることも多いです)。

これにより、どんな品質問題が発生するかがわからなくても品質を作り込むことが可能となります。すなわち、「何が起きるのかがわからなくとも、品質問題の未然防止がはかれる」ということです。開発の効率が向上する理由がここにあります。


参考文献
[1]永田 靖:「入門実験計画法」,日科技連出版社,2000
[2]立林 和夫 著:「タグチメソッド入門」,日本経済新聞出版社,2009

Q.

ある製品特性のデータに対して、原料特性のデータが5つあります。これらのデータを用いて重回帰分析を行い、製品特性を予測したいと考えております。この場合、データの組数(n)はいくつ以上とれば良いでしょうか。

A.

一般には、説明変数の数(この場合は原料特性のデータ数:5)がpのとき、
n≧p+20 と言われています。その理由は、回帰残差の自由度はn?p?1でありますが、この自由度として少なくとも20ぐらいほしいということです。

この基準(1)によると、pが小さいとき、nは20ぐらいでよいことになりますが、回帰分析に用いられる分散や相関係数はn=20ぐらいでは不安定です。それゆえ、
n≧30,50 という基準も併用すべきであります。
p が50以上もあるようなとき、このp個の変数を全部用いるのではなく、変数選択によって高々10個の説明変数を用いればよいと考えているときには、基準 (1)のpとしては10を用いればよいです。このとき、n≧30,p≧50となってn≦pとなっても、変数増減法(減増法はダメ)を採用する限り、不都合 は生じません。


参考文献
奥野忠一、片山善三郎、上郡長昭、伊東哲二、入倉則夫、藤原信夫 著:「工業における多変量データの解析」,日科技連出版社,1986

Q.

観察データや記録によるデータから有益な情報を導き出したいと考えています。データ相互の因果関係を分析できる手法はありますか?

A.

観察データや記録によるデータから、その因果関係を探索する分析手法として、グラフィカルモデリング(GM)があります。

要因から特性への因果関係を把握するためには実験(特に実験計画法)が王道です。しかし、実験が困難な場合、あるいは実験の前段階の検討を行いたい という理由から、調査データや工程で得られたデータなどの「観察データ」を用いて因果関係を検討したい場合もあると思います。そんなときがGMの出番で す。

GMでは、得られたデータに基づいて、変数間の「条件付き独立性」の分析を行います。これは、ある2変数X,Yが、他の変数Zを一定とした場合に (そういう条件の下で)「独立である(=無相関)か・独立でない(=相関がある)か」を調べるということです。その結果は、条件付き独立でない(=他の変 数を一定としても相関がある)変数を線で結んだ「独立グラフ」としてグラフィカルに表します。間に線がある変数間には、直接的な(=他の変数によらない) 因果関係がある可能性があります。こうした知見は、次のステップとして、SEM(構造方程式モデリング、共分散構造分析)、パス解析、回帰分析などによる 定量的な因果モデルの構築、あるいは実験の計画に役立ちます。

(早稲田大学 人間科学学術院  人間科学部 准教授 小島 隆矢)

Q.

タグチメソッドには、検査精度の向上に有効な手法があると聞きました。それは何ですか?

A.

タグチメソッド(品質工学)の創始者である田口玄一博士によって考案された、パターン認識や予測のための手法に「MT(マハラノビス・タグチ)システム」があります。

MTシステムは、工程や製品がいつも通りの状態かどうかを強力に認識します。従来の手法の多くは、いつも通りでない状態(=異常)の種類や程度を見 分けることに多くの関心を注いできたのに対して、MTシステムでは「いつもの状態」だけに関心を向けることで様々な負担を低減し、認識精度を向上させるこ とに成功しました。

「いつもの状態」を、MTシステムでは単位空間と呼びます。「パターン認識は計測技術であり、そこには単位量がある」との考えからです。そして、検 査対象が単位空間からどの程度の距離にあるかを求めます。距離が近ければ「いつも通り」ですし、遠ければ「どこかがおかしい」ことになります。

現在、MTシステムの手法群は急速に発展し、MT法が発表された後、MTA法、TS法、T法が次々に提案されました。今後も、さらなる情報機器の発展に伴い、MTシステムが解決可能となる課題の範囲も広がっていくと思われます。


参考文献
立林 和夫 編著、手島 昌一、長谷川 良子 著:「入門MTシステム」,日科技連出版社,2008

Q.

ある化学工程のデータとして、y1:転換量(値が大きいほど好ましい)、y2:活性度(55~60の範囲にあることが望ましい)があり、それらに影響を及ぼす要因としてx1:反応時間、x2:反応温度、x3:触媒量があります。y1とy2を最も好ましい値にするx1、x2、x3の値はどの様に探索すれば良いでしょうか。

A.

この工程の場合、y1の値を大きくするためにx1、x2、x3の値も大きくしてしまうと、y2が55~60の範囲から外れる可能性があり、バランス を考えながら良い条件を探索する必要があります。この様に、複数の応答(実験結果を表す指標)を好ましいレベルにすることを多応答の最適化といいます。

多応答の最適化には2つのアプローチがあります。一つは、「望ましさ関数」によるものです。これは、複数の応答を総合的に評価する望ましさ関数を適 宜設定し、それを最適化する因子の水準を求めるものです。もう一つは、制約つき最適化です。これは応答について与えられた制約を満たす因子の領域を求め、 その中で価値基準(あるいは、応答)を最適化する水準を求めるもので、当高線を用いるのが特徴的です。


参考文献
山田 秀 著:「実験計画法―方法編―」,日科技連出版社,2004

Q.

構造方程式モデリングを実践すると、観察データの因果関係を定量的に評価・解釈できると聞きました。構造方程式モデリングとは何ですか?

A.

「構造方程式モデリング」(「共分散構造分析」とも呼ばれます。以下,SEM)は、多変量解析手法の1つであり、観察データに基づいて変数間の因果関係を定量的に評価・解釈できることが特徴です。

SEMは、調査データの分析では既に広く活用されています。
これは、分析モデルに人の意識など直接観測できないものも「潜在変数」として取り込むことができ、更に、潜在変数間の因果関係も分析できるという点が大きいと思われます。

一方、工程データの分析では、SEMはまだ十分に活用されているとは言えません。
これは、工程データにおける潜在変数の有用性や、そもそも現象をモデル化することの必要性が必ずしも認識されていなかったという面があると考えられます。

しかし、工程の改善を更に進めるためには、変数間の因果関係をしっかりと把握することが必要であり、SEMはそのための有用な統計手法の1つである、との認識が製造業でも広まりつつあります。実際、製造業の大手企業では具体的にSEM活用の検討が進められています。

このように、様々な分野での活用が今後ますます進むであろうSEMですが、他の統計手法と同様に、活用するためには幾つかの知識が必要となります。

Q.

MTシステムは、イプシロンロケットにも採用されていると聞きました。手法そのものは古いものであるのに、最新のロケットに採用されているのはなぜでしょうか?

A.

MTシステムの歴史をさかのぼると、1936年にP.C.マハラノビスがマハラノビスの距離(MD)を提案して以降、統計の分野で理論上の合理性が認められていました。しかし、その計算が手計算では困難であるため、変数が少ない場合の多変量管理図や判別関数の中で利用されるに留まっていました。

1980年代に入り、パーソナル・コンピュータの急激な進化と普及により、処理の高速化やメモリ容量の増加にともなって本格的な多変量問題への適用が可能となりました。

これにともないMTシステムの手法群は急速に発展し、MT法が発表された後、MTA法、TS法、T法が次々に提案されました。今後も、さらなる情報機器の発展に伴い、イプシロンロケットを始めとする、採用範囲も広がっていくと思われます。

Q.

製造現場で発生した問題に対して、実験計画法を用いて原因を特定したいと考えています。考えられる要因すべてを実験しなければいけないでしょうか。効率の良い方法があれば教えてください。

A.

製造現場が対象なら、現場をよく観察することが絶対条件です。品質管理の世界では三直三現といいますが、実験計画法を使う場合でもまさにこの通りで、
(1)製造の現場を (2)いろんな人が (3)ものの見方を変えて (4)じっくりと見る
ことがポイントです。デスクの前であれこれ悩むよりも、問題意識を研ぎ澄まして現場を観察し、現場に教えてもらって要因を洗い出すのが、実験を成功に導く秘訣の一つです。
しかし、様々な特性が種々の要因と複雑に絡み合って整理できない場合には、工程順特性要因図や要因系統図を用いるのが有効です。


参考文献
富士ゼロックス(株)QC研究会編:「疑問に答える実験計画法問答集」,日本規格協会,1989

Q.

タグチメソッドでは、製品性能を乱すものとして、製造のばらつきの他に「ノイズ」と呼ばれるものを想定しているとききました。ノイズとは何ですか?

A.

新製品開発段階で発生する品質問題のほとんどは、正常に機能したりしなかったりの「ばらつき問題」です。普通の条件なら正常に機能するものが、環境条件や使用条件が変化すると、品質問題が発生するというものです。なぜなら、ほとんどのメーカーでは、普通の条件でも規格を満たさなかったり、あるいは品質問題を発生したりするものは、新製品開発の段階には移せず、研究段階にとどめるからです。
ところが技術者の多くは、品質問題がばらつき問題であることを認識していません。あたかもその製品が全品、いつでもその品質問題を発生するかのように考えて対策を打とうとするのです。ところが、ばらつき問題の対策と、全品がいつでも問題を発生するときの対策では、考え方も対策の内容も変わるのです。
タグチメソッドでは、製品性能を乱すものを「ノイズ」と呼び、三種類に分類しています。

(1)外乱…
お客の製品使用条件のばらつき、使用している間におきる環境条件の変化を外乱と呼んでいます。製品を使用する場所、周囲の温度、連続して使用する時間などがこれに相当します。工場内での製造設備でいえば、工場内部の環境条件、加工対策とする材料の種類の違いなどがこれに相当します。

(2)内乱…
使用している間の製品内部の状態変化を内乱と呼んでいます。使用部材の劣化や摩耗、汚れなどがこれに相当します。
    
(3)製造ばらつき…
製造のばらつきや使用部材のばらつきをいいます。お客の手に製品が渡る前からこのノイズがあります。

ノイズの多くはメーカー側で対策をとることができません。3.の製造ばらつきだけはメーカー側の品質管理で対策が打てますが、1.や2.のようにお客のところで発生するノイズに対しては、そうしたノイズがなくなるようにメーカー側では対策を打てないのです。これらについては、そうしたノイズを許容できるように製品の設計を変えるしかないのです。


参考文献
立林 和夫 著:「タグチメソッド入門」,日本経済新聞出版社,2009

Q.

いろいろな品質管理手法は取り入れて活動はしているのに、品質不良が止まらないのは何故ですか?

A.

保証すべき項目の欠落やエラーが製造ラインで発生しても、それが捕まらずにそのまま顧客の所まで流出してしまった事例などなど・・・。もっと確実な品質保証、工程での保証度向上を図りたい。しかし、忙しい日常では新たな手法を取り入れたくはない。そんな品質担当者の声が多く聞かれます。製造領域での不具合要因を分析すると、開発から製造へ重要なポイントが伝わっていない。製造工程で確実な品質の歯止めがされてない。などが挙げられ、更には、個々の管理項目に「抜けや曖昧さ」があることも分かりました。そこで、機能展開からQC工程表までの各作業ステップで、「インプット~プロセッサー~アウトプット」を明確にし、これを基にして、それぞれの管理手法のつながりを明確にします。そして保証項目の設定理由・抜け落ちの防止、曖昧さの排除を行い、確実な品質保証を目指そうとするものです。

Q.

タグチメソッドでは、製品性能を乱す「ノイズ」に対して、どの様な対策を取るのでしょうか?

A.

ノイズに対する対策は、経験的にも理論的にも次の3つの方法しかないと言われています。

(1)ノイズの発見と除去…
これは製品性能を乱すノイズの変化をなくす方法で、古くから品質管理の中心的方法として使用されてきました。しかし、生産工程などの条件変動や材料ばらつきに対してはこの方法を取れますが、ノイズが製品の使用条件や環境の変動である場合には利用できません。また、ノイズの変動を抑制するうえで、何らかのコストアップが生じます。

(2)出力の補正…
出力の変動やばらつきをフィードバックで補正する方法です。場合によっては、ノイズの変化を計測して出力調整します(フィードフォワード)。第2次大戦後の電子機器の発達により、現在では様々な製品でこの方法が採用されています。非常に有効な工学的方法ですが、フィードバック装置自体にコストがかかるとともに、フィードバック装置自体の故障も発生します。また、フィードバックをかける前のシステムの安定性がある程度なければ、フィードバックをかけることにより、かえって不安定になる場合もあります。

(3)ノイズの影響の減衰…
タグチメソッドの中心的手法であるパラメータ設計は、この3.の方法を行うための手法です。しかし、技術者の多くはこんな方法があることを知らないと言われています。パラメータ設計はこれから設計値を決めるために行うので、現行条件が存在せず、設計変更に伴うコストアップが発生しないという特徴があります。

タグチメソッドは3.の方法を中心手法としていますが、1.の方法や2.の方法を排除しているわけでありません。3つの方法の「使う順序が重要」で、1.や2.の方法をとる前に、3.の方法をとるべきだと主張しています。


参考文献
立林 和夫 著:「入門タグチメソッド」,日科技連出版社,2004

Q.

管理対象となる製品が様々な特性を持つため、分析で扱うべき変数が多数にわたり困っています。何かうまい方法はありませんでしょうか?

A.

多くの特性(変数)を少数の特性(総合特性値。主成分と呼ばれます)にまとめるための手法として、主成分分析(principal component analysis)があります。質問にある様に、多数の変数を同時に管理するのが困難である場合や、変数間の構造を見たい場合などに有効な手法です。 

主成分の値(主成分スコアと呼ばれます)を座標とすることによって、多次元空間内のデータを低次元の空間に、情報をあまり損なうことなく表示できます。また、主成分ともとの変量の相関(因子負荷量と呼ばれます)をプロットすることによって、変量間の構造が把握できます。 

この意味で、主成分分析は代表的なデータ縮約の手法ということができます。


参考文献
吉澤 正 編著:「クォリティマネジメント用語辞典」,日科規格協会,2004

Q.

X-R管理図の群の大きさは、nいくつに決めたら良いのでしょうか。

A.

 

データをいくつかのグループに分けることを群分け(subgrouping)といい、各グループのことを群(subgroup)といいます。また、一つの群の中のデータ数を群の大きさ(size of subgroup)といい、群の大きさをいくつにするかは、管理図を作成するにあたって重要な問題です。次の点を検討のうえ、を決める必要があります。
 

(1)群内がなるべく均一になるように、技術的に群の大きさを決める。
  たとえば、2系統から来た製品ロットから毎時間サンプルを3個ずつ計6個とっているようなときには、とせずにに群分けするのがよい。
 

(2)の分布がなるべく正規分布に近づくようにを選ぶ。
  管理された工程からサンプリングされたデータであれば、の分布がゆがんでいても、の分布はが3以上であれば正規分布に近似できます。
 

(3)の効率からあまり大きいは用いられない。
  標準偏差の代わりに範囲を用いるのは、通常が6以下、多くとも10以下とされています。
 

(4)検出力からいうと、の大きい方がよい。
  工程に変化があったときに、「変わった」と正しく判断する確率、つまり検出力はが大きいほどよくなります。
 

(5)計算に便利ながよい。
  なるべく計算しやすい群の大きさとしては、が適当です。
 

(6)サンプリングや測定の費用は、が小さい方がよい。
  なるべく同じ状態で測定したいとか、サンプリングや測定の費用を考えると、は小さい方がよいです。
 

 以上の事項を総合すると、の大きさは一般に2?6が用いられ、最も適当な大きさはと考えられます。


参考文献
細谷 克也:「QC手法100問100答」,日科技連出版社,2004

Q.

MTシステムは、新型のエアコンなどにも採用されていて、判断機能の自動化を実現できると聞きました。MTシステムとは、どの様な手法でしょうか?

A.

新型のエアコンは、リモコン設定すれば、人を自動サーチして風を向けることも避けることも可能になっています。判断機能の自動化は、“適切であれば”、便利な機能で、今後のものづくりには不可欠な技術で、マハラノビス・タグチ(MT)システムが得意とするところです。

近年、MTシステムを活用する企業が増えています。特に、製品検査や設備・工程監視など、製造工程でも自動化が難しかった課題に適用されています。MTシステムにはいくつかの手法がありますが、以下に主要な手法の特徴と適用事例をご紹介します。

(1)MT法
結果が均質な集団(単位空間と呼びます)を1つのパターンとして認識し、単位空間のパターンからの差をものさし(マハラノビス距離)で計測する方法です。異常の程度に応じてマハラノビスの距離が大きくなれば、ものさしが役立つことになります。
適用事例:各種製品の検査、設備の監視、疾病治療効果の予測、文字・画像認識 など

(2)T法(1)=両側T法
結果が平均的な状態を単位空間として、対象の出力値(多変量解析における目的変数)を正負の符号付で推定する方法です。重回帰分析と異なり、サンプル数が項目数より少なくても計算が可能です。
適用事例:歩留予測、材料配合比率による強度推定、経済予測、不動産価格の予測 など

 (3)T法(3)=RT法
文字認識のように単位空間の数が多数(1個以上)あるときに、分類に適用できます。変数が相当多くても、ただ2個の変数に情報圧縮してパターン認識を行うので、少ない容量で、かつ短時間に、パターン認識を効率的に行える利点があります。
適用事例:各種製品の検査、文字・画像認識 など

MTシステムは、Microsoft Excelでも基本的な計算が可能ですので、試してみられてはいかがでしょうか。

Q.

あるデータの因果関係を把握したいと考えております。実験計画法ではなく観察によって得られたデータでは、因果関係の把握は難しいでしょうか?

A.

実験計画法では、原因系の因子を変化させて実験を行い、その実験結果(特性値の変化)が、誤差を超えた違いかどうかを検定することによって、因子の効果を判断します。

因子がAとB2つある場合を考えます。実験計画法では、因子AとBならびにA×Bの組合せによる(交互作用)効果と誤差の効果を分離できる様にデータを採取します。これに対して、調査データ等の観察によって得られたデータの場合、あらかじめ実験を計画してデータを採取したわけではないため、因子A×Bの交互作用効果と誤差の効果とが入り混じって(交絡して)分離できないケースが考えられます。この様なケースでは、GM(グラフィカルモデリング)が有効です。

GMでは、様々な因子間(変数間)の関係をグラフによりモデル化します。そこから得られる知見は、次のステップとして、SEM(構造方程式モデリング、共分散構造分析)、パス解析、回帰分析などによる定量的な因果モデルの構築、あるいは実験の計画に役立ちます。すなわち、実験計画法の前段階に用いるのがより相応しいと言うことができます。 

Q.

統計解析ソフトを用いて重回帰分析を行おうとしたところ、「多重共線性あり」とのメッセージが表示されました。「多重共線性」とは何ですか?

A.

重回帰分析において、説明変数間の相関が極端に高いことを多重共線性といいます。多重共線性が起きている場合には、以下の様な問題が生じます。

・技術的にみて解釈が困難な結果(正負の符号が逆、絶対値が常識を越えて大きい等)が生じる。
・観測値のわずかな変化(一部の観測値の除去、一部の説明変数の追加)によって、回帰係数の推定値が大きく変化する。

多重共線性を解決する方法としては、以下の様なものがあります。

1)説明変数の一部を除去する。
2)説明変数の要約(相関の強い2変数の平均をとる)を行う。
3)変数の本質的要因を探り、これを説明変数とする
4)似ている説明変数をまとめて多重共線性を避けるようにする。

上記3)4)の解決法を実行するには、「構造方程式モデリング」(「共分散構造分析」とも呼ばれます。以下、SEM)が有効です。SEMは、多変量解析手法の1つであり、3)でいうところの本質的要因を「潜在変数」として取り込むことができ、かつ「パス図」と呼ばれる図によって変数間の因果関係をしっかりと把握することが可能となります。 

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