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第6回知識構造化シンポジウム レポート
  • 開催レポート

※SSM (Stress-Strength Model)について詳しく知りたい方は、以下のウェブサイトをご参照下さい。

(株)構造化知識研究所

1. はじめに

第6回知識構造化シンポジウムが、2014年9月12日(金)に日本科学技術連盟・本部ビル(東京・千駄ヶ谷)にて開催された。幅広い業種からSSMに関心をもつ総勢220名に近い参加者が集まり、メイン会場だけではなく、サテライト会場を開設する運びになり、非常に盛況であった。

今回のシンポジウムは、SSMによる再発防止・未然防止活動の強化だけでなく、部門内、部門間などでの知識共有やSSM活動の継続によって、組織・ひとに現れる様々な変化や効果について講演や議論がなされた。

注)
SSM(Stress Strength Model)とは、トラブルに関する経験やノウハウを活用しトラブル未然防止ができるように、知識を構造的に整理・表現する手法である。

2. プログラム

時間 内容/講演者(敬称略)
13:30~13:40 オリエンテーション
13:40~15:40 事例講演1
「SSMによる部門を横断した知識の活用と再発防止・未然防止活動の実践」
 
 眞田 創((株)ノーリツ 品質保証推進統括部 品質保証部 品質企画グループ QMSチームリーダー)
 吉田 晶((株)ノーリツ 品質保証推進統括部 品質保証部 品質企画グループ QMSチーム)

事例講演2
「SSMの観点による不具合事例シートを活用した設計部門内のコミュニケーション活性化」
 登坂 嘉文(フォスター電機(株) MA事業本部 エンジニアリングマネジメント 電子設計1課)

事例講演3
「空調設計部門における知識再利用活動の事例と将来の展望」
 門脇 一彦(ダイキン工業(株) 空調生産本部 商品開発グループ)
 伊吹 敏行(ダイキン工業(株) 空調生産本部 商品開発グループ)
15:40~16:00 特別解説
「構造化知識マネジメントの導入と活用の最新状況」
 松坂 ユタカ ((株)構造化知識研究所 執行役員)
 長谷川 充 ((株)構造化知識研究所 シニアコンサルタント)
16:00~16:50 総合討論
 全講演者
 コーディネータ: 田村 泰彦 ((株)構造化知識研究所 代表取締役)
16:50~17:00 まとめ

3. 講演要旨

〔事例講演1〕SSMによる部門を横断した知識の活用と再発防止・未然防止活動の実践

眞田 創氏((株)ノーリツ 品質保証推進統括部 品質保証部 品質企画グループ QMSチームリーダー)
吉田 晶氏((株)ノーリツ 品質保証推進統括部 品質保証部 品質企画グループ QMSチーム)

同社は、給湯器等の温水空調分野や太陽光発電等の新エネルギー分野、システムバス等の住設システム分野など様々な分野において、設計・製造を行っている。本講演では、SSMの再発防止、未然防止への活用、グループ会社間でのSSM知識の共有を実現した内容について紹介された。

SSM導入以前より、自社で再発防止・未然防止の活動に取り組んでいたが、その成果が高止まりしてしまっていた。そこで問題点を洗い出し、3つの要素「しくみの改善」「人の育成」「標準化」の観点で整理を行った。洗い出した問題の解決に向けて、既にSSMを導入している他社へのヒアリングを実施し、SSMが不具合知識を利用した再発防止・未然防止に有効である情報を得た。そこで、SSM導入で狙うメリットを明確にし、SSMのパイロット活動を実施した。その後、検証によってSSMの有効性を確認し、SSM導入を決定した。

特筆すべきポイントは、グループ会社(厨房分野)もSSMを導入し、グループ会社間で知識を共有、活用していることである。グループ会社は厨房分野でSSM知識ベースを構築している。各会社の過去トラブル知識・再発防止知識のうち、一般化されているものをもう一方の会社が取り込み、未然防止知識として活用している。

その他に「固有コア技術の深堀り」と「製品固有知識の一般化による共有知識化」という2つの異なるアプローチで知識作成を行っている。「固有コア技術の深堀り」では、ベテランがもつ暗黙知を形式知にしている。「製品固有知識の一般化による共有知識化」では、知識の一般化を進め、製品分野を超えて再利用を行い、知識強化に努めている。また、比較的短期間でこのような仕組みを構築し運用できるようになった理由として、部門長の強力なバックアップが得られたことも挙げられる。

今後はSSMの効果を継続的に測定し、自社のしくみの改善を進める。また、製品設計でSSMを活用するだけではなく工程監査への活用も進め、サプライヤー側にも未然防止の輪を広げていく。

〔事例講演2〕SSMの観点による不具合事例シートを活用した設計部門内のコミュニケーション活性化

登坂 嘉文氏(フォスター電機(株) MA事業本部 エンジニアリングマネジメント 電子設計1課)

同社は、スピーカーやヘッドホンを中心とした音響部品・音響製品の設計・製造を行っている。本講演では、SSM導入までの様々な取り組みや、それを通じて社内に現れている効果が紹介された。

同社の技術部門は、ヘッドホン設計やスピーカー設計等、製品カテゴリごとに4つの部門に分かれている。また回路設計部門があり、この部門は他の全ての技術部門と協業して設計開発を行っている。ヘッドホン設計部門やスピーカー設計部門等は、類似した製品を繰り返し製造しているため、過去トラブルの情報の蓄積があり、品質保証部門がそれをまとめている。しかし、回路技術は、製品カテゴリや技術要件が年々変化しているために、過去トラブル情報の活用や、ベテラン社員からの技術継承が困難な状況にあった。そこで社内で検討された様々な問題に対する解決策としてSSMが良いと期待し、導入を進めた。

活動当初は、知識作成するメンバを3チームに分けて、チーム毎に毎月知識化する不具合事例の件数目標を決めて、隔週で全体会議を行っていた。しかし、当時のチームの活動の進め方は各チームに委ねていたため、各活動の目的が曖昧となってしまい、その結果、チーム活動が停滞してしまっていた。特に、誰が使うための知識なのかという点が明確でなかったため、知識の良し悪しが判断できず、また作成された知識を検索して活用する流れをうまく整備できなかった、そこで、活動の見直しを行った。
まず、曖昧であった活動目的を明確にした。また、全体会議の開催頻度や参加メンバ、討議内容などを見直し、会議の質を向上させるようにした。また、SSM推進メンバをDRに参加させて、DRの指摘事項を知識化するようにして、SSM活動を継続させるとともに、DRで知識を紹介してレビューの質を高めるようにした。
この結果、SSM活動がスムーズに進むようになった。また、チーム活動で本音ベースの問題点を顕在化させ、それぞれの対策を取るとともに、その問題点と解決策を他チームに水平展開して活動の停滞を防ぐなど、様々な波及効果が出てきている。
その他、不具合事例のコンテンツの質をしっかり高められるように、SSMの観点をうまく取り入れた不具合事例シートを導入し、物事を深く考えられるようにした。その結果、若手社員が作成した不具合事例シートをベテラン社員が徹底的にレビューすることにより、若手社員とベテラン社員とのコミュニケーションが活性化され、ベテラン社員のノウハウが若手社員へ継承されるようになってきた。

今後は、SSMの活動を回路設計部門だけではなく全社へ展開し、全社で様々な効果を実現させていく。

〔事例講演3〕空調設計部門における知識再利用活動の事例と将来の展望

門脇 一彦氏(ダイキン工業(株) 空調生産本部 商品開発グループ)
伊吹 敏行氏(ダイキン工業(株) 空調生産本部 商品開発グループ)

同社は、家庭用ルームエアコンや業務用・ビル用エアコン等の空調機の設計・製造にSSMを活用している。様々な業務改革の取り組みの柱の一つとしてSSMを2007年に導入し、現在に至るまで活動を発展させ、多様な工夫を行っている。

同社SSM活動の特徴を述べる。まず商品設計、圧縮機設計、品質管理、製造保全など商品開発に関与する全部門でSSMの取り組みを行っている。そして、各部門の知識を製作所、商品群、組織を横断させて共有している。また、知識作成は全員参加を行い、全員が利用者であり知識作成者である。さらに品質管理の仕組みにSSMを連動させており、市場問題や開発途上のトラブルなどが必ずSSM活動を通じて知識となり、新商品開発時に再利用できる仕組みにしている。
このような活動を通じ、昨今の商品開発では、組織間、組織内のコミュニケーションが向上し、部門を超えたコンカレント開発に成功している。
次に商品設計での具体的な取り組みについて紹介された。
SSM活動は、大きく「知識の蓄積」「知識の再利用」の2つに分けられる。「知識の蓄積」では、小集団のグループを作成し、全員参加での知識作成を行っている。その結果、ベテランからの一方的な指導ではなく、チームの中で知識づくりの対話を通じた技能伝承がなされ、暗黙知が形式知へ変換されるようになっている。「知識の再利用」では、FMEA実施時のSSM利用をルール化し、開発プロセスへの組み込みを行っている。
SSM活動の活性化のために、各チームのSSM活動目標を明確にし、毎月の報告会による組織全体への周知と進捗・成果の共有を行っている。またSSM活動表彰制度により模範チーム・個人を表彰する一方、同社独自にSSM知識作成のスキルレベルを設定し、設計者のスキルレベルの底上げと各部署をけん引するリーダの育成を進めている。またSSM知識活用時の知識有効度を幾つかの指標で計測し、有効度が高くない場合は改善を図っている。

一方、SSM活動の取り組みを進めても、設計基準やべからず集の参照が不十分で問題が生じる場合がある。このため、FMEA検討を進める際に、SSM知識の他に関連基準も一覧表示してチェックさせ、その内容を承認する仕組みを入れている。
その他、業務でスムーズに知識を検索できるように、SSMの検索支援辞書では解析入口や関連語の設定等で様々な工夫を行っている。
当初、開発トラブル等の対応に追われ、SSM活動がなかなか進まず、トラブルが減らないという負のサイクルに陥るチームもあった。しかし、「何とかしないと将来はない」との強い意識をもち、活動に全員強制参加し、タイムリーなテーマを優先的に取り上げ、当該技術の専門家、SSM事務局もサポートしながら取り組みを進めた。この結果、SSM活動による設計者の技術的探究心の向上→グループ内における年代を越えたコミュニケーションの円滑化→組織の団結力強化・手戻り低減という流れが生まれ、更にSSM活動が継続していく良いサイクルが生まれた。この結果、開発トラブルは減少し、また問題の多くを開発段階の早期に摘出できるようになった。

SSM活動を地道に継続している結果、品質、組織能力、技術管理など様々な面で効果が生じている。今後も、SSMの活用シーンを拡大しながら、SSM活動を進化させ、良い組織風土の醸成を図っていく。

〔特別解説〕構造化知識マネジメント導入企業の最新動向

松坂 ユタカ氏 ((株)構造化知識研究所 執行役員)
長谷川 充氏 ((株)構造化知識研究所 シニアコンサルタント)

SSMを導入する企業は様々な業種で拡大しており、採用企業の規模も、大企業から中堅企業へと広がっている。SSM導入をうまく進めるためには、導入推進体制や導入活動ステップをしっかり検討することが重要である。SSM導入トライアルの技術対象領域の選定方法やプロジェクトチームづくりも実情に応じて進めていく。組織的な推進を進めるためには、設計者/技術者、課長層、プロジェクトリーダー/レビュアー、役員/部長層それぞれが具体的な役割を認識し、熱意をもって進めていくことが重要である。

SSM導入各社は、構造化知識の活用にあたって様々な工夫を施している。設計変更点からの不具合事象の気づき、使用条件・環境の変化点から影響を受けるアイテムと発生事象の気づき、再発防止チェックリストのための過去トラの網羅的抽出など、様々な業務ニーズに応じた知識検索の仕掛けを施している。また製品設計と生産技術などの複数部署間で共用できるように構造化知識を作成する工夫や、工程監査で使えるように工程フロー順に知識を出力して活用する工夫を進めている。

今後SSM導入を検討される方々は、紹介された内容を是非活用して頂きたい。

4. 総合討論

(株)構造化知識研究所代表取締役の田村泰彦氏がコーディネータとなり、講演者とシンポジウム参加者との間で総合討論が行われた。各社のSSM活動の詳細や、SSMの導入に関しての具体的な質問や、SSMを社内で推進していく方法などについて、熱のこもった議論がなされた。

5. おわりに

プログラム終了後も大勢の方が会場に残り、講演者と参加者の間で活発な議論が交わされていた。今回のシンポジウムも今まで以上にSSMへの関心の高さが伺えた。

今回の講演では、部門内の様々な課題から、全社的な取組みの工夫、グループ会社間での連携まで多様な話題が提供された。また最近のSSM導入企業の活動の工夫や推進のポイントなども紹介された。これらの内容は、未然防止、再発防止活動に関心のある方、SSMの導入を検討している方にとって、とても参考になったであろう。

(文責:三宅 貴宏)

関連セミナーのご案内

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