Qマーク 日本科学技術連盟
ISO審査登録センター
大阪事務所ホームページ
セミナー検索・一覧 セミナー申込 各種セミナー・事業マップ TQM・品質管理 ソフトウェア品質 信頼性・製品安全 応用統計 医薬統計・医薬研修 ISO研修 QCサークル 社内セミナー
キャリア形成促進助成金
QCサークル本部登録
企業の品質経営度調査
品質管理検定(QC検定)
SQiP
品質月間
製品安全対策優良企業 経済産業大臣表彰
日科技連 月刊誌への
広告募集のご案内

クオリティマネジメント誌

QCサークル誌
メールマガジン登録
第52回記念QCサークル洋上大学アルバム
信頼性・製品安全 信頼性・製品安全
大会・シンポジウム・フォーラム 日科技連TOPへ戻る戻る

第38回信頼性・保全性シンポジウム 推奨報文賞・奨励報文賞の紹介


佐藤 吉信
東京海洋大学教授 海洋工学部海事システム工学科
信頼性・保全性シンポジウム推奨報文小委員会委員長

   
(文中敬称略)     

 
   去る2008年7月14日〜15日に開催された第38回信頼性・保全性シンポジウムにおける推奨報文賞・奨励報文賞が、10月7日の組織委員会で決定されましたのでご報告します。  
 

推奨報文制度の目的と選考方法


 
 

 本表彰制度は、研究発表者のインセンティブを喚起するとともに、一般参加者には推奨報文の推薦を通して本シンポジウムへ積極的に参画していただくことをねらいとしています。これにより、報文を含む発表内容の質の向上が期待され、本シンポジウムの発展に役立つと考えています。
 本シンポジウムは、企業の第一線で活躍されている研究者や技術者の方々が現実的に重要な信頼性、保全性さらにヒューマンエラー防止など安全性にかかわる問題を解決していくための知見を共有する場でもあるという特長をもっています。すなわち、発表者と参加者との討論により、問題点を整理し、得られた知見をより体系化し、知識の共有化を図ることを目的としています。
 このようなねらいと背景から、参加者全ての方々に幅広く推奨報文の推薦をお願いし、これに基づいて選考を進めています。本年も参加者の皆様の多様な視点から、多くの報文の推薦をいただきました。推薦された全ての報文について、慎重に審議し、下記に示す報文3件を「推奨報文賞」として選定しました。

推奨報文賞(3件)

Session

テーマ

発表者

2-4

輸送における振動衝撃を再現する試験技術の構築

(株)村田製作所
岡本 朗

4-1

TCADおよびPCM(プロセス・コンパクト・モデル)によるトランジスタ特性ばらつき低減

(株)東芝セミコンダクター社
木下 浩三

5-1

鉛フリーSnめっきにおける外部応力型ウィスカ/ノジュールの解析

ソニー(株)
水口 由紀子


 また、一般投票では灯のあたりにくい専門分野や理論的な研究について、今後の信頼性・保全性の研究や発展を期待して奨励報文制度も設けています。今年度は下記に示す報文2件を「奨励報文賞」として選定しました。

奨励報文賞(2件)

Session

テーマ

発表者

2-1

鉄道信号装置のアベイラビリティを観点とした評価法の検討

(財)鉄道総合技術研究所
岩田 浩司

3-4

自動車産業におけるリコールリスクのマネジメント

中央大学
大矢 真平


 
 

推奨報文賞・奨励報文賞の選定理由


 以下に、推奨報文賞、奨励報文賞の選定理由を記します。なお、○印は発表者です。


推奨報文賞(3件)


推奨報文1


 
 

Session No:2-4:
報文名:輸送における振動衝撃を再現する試験技術の構築
著者:○岡本 朗
所属:(株)村田製作所

 従来、輸送中の振動や衝撃による製品不具合事例に対して、実際の輸送試験を実施してその再現性を確認し、防止対策を立てていました。しかしながら、輸送車種や路面等にばらつきがあるため、この方法ではデータの再現性や互換性に問題があり、かつ試験コストの負担も大きかったのです。そこで、倉庫における荷扱いも含め、輸送中の振動や衝撃を、トラックについては高速道と一般道、列車についてはJR輸送を対象として、延べ3万km、51万波形にわたり計測しました。この計測結果を解析することにより、実験室内での機械的試験が可能なように、振動試験条件および衝撃試験条件を作成しました。このように計測器を実車に搭載し、物流荷重データを広範囲に収集した事例には稀少価値があり、また物流荷重による機械的試験を実験室内で可能としたことは実用的価値が大きく、さらに、この手法を海外における物流にも適用することにより試験基準を作成しており、応用範囲が広いことも示されています。以上の理由で推奨報文賞として選定します。

 
 

推奨報文2


 
 

Session No:4-1:
報文名:TCADおよびPCM(プロセス・コンパクト・モデル)によるトランジスタ特性ばらつき低減
著者:○木下 浩三、伊藤 康浩、安本明弘、前田 康博、藤井 修、吉村 尚郎、中島 真一、秋山 龍雄
所属:(株)東芝セミコンダクター社

 微細半導体プロセスにおける品質・信頼性確保の主要なパラメータである歩留り向上策として、トランジスタ特性のバラツキ低減をTCAD(Technology CAD)とPCM(Process Compact Model)を用いて90nm世代に適用し、その成果を次世代の60nm世代へ量産前に適用し、成果を得た報告でした。
 本報文では、トランジスタの特性バラツキをロット間、ウェーハ間、チップ間、チップ内に分け、それらの成分を各々システマティックとランダムに分類し、検討しました。特にトランジスタのVthバラツキに関し、考えられる要因を絞り込み実験計画を実施し、シミュレーションと実測の相関を精度よく再現できることを明らかにしました。更に本手法を用いて、次世代60nmプロセスの量産立ち上げ段階に適用し、90nm世代でのバラツキ以下に抑え、プロセスの構造パラメータをモニターし、フィードフォワード制御により、特性の安定化を図る事に成功しました。
 これらの成果は、ますます微細化が進む半導体プロセスの品質・信頼性の向上を進める重要な改善手法であり、非常に有効であると考えますので推奨報文賞として選定します。

 
 

推奨報文3


 
 

Session No:5-1:
報文名:鉛フリーSnめっきにおける外部応力型ウィスカ/ノジュールの解析
著者:○水口 由紀子、村上 洋介、田中 伸史、冨谷 茂隆(ソニー(株))浅井 正、気賀 智也(ソニーイーエムシーエス(株))
所属:ソニー(株)、ソニーイーエムシーエス(株)

 鉛の使用を原則禁止とするRoHS指令により、SnやSn合金への切り替えが進められていますが、ウィスカ問題が未解決の状態にあり、その抑制技術の開発が緊急課題となっています。
 本発表は、鉛フリー化を進める上でウィスカ問題がクローズアップされるきっかけとなったコネクタで発生する外部応力型ウィスカに関する研究報告であります。めっき表面でのすずの拡散挙動を理解するためには、ウィスカ成長過程の把握が重要となります。
 著者等は、めっき表面に微細なアクリル粒子をめっき表面に塗布するという独創的な方法により成長過程の可視化に成功しています。更にTEMによる詳細な解析により、結晶方位の詳細解析やキンク部の粒界変化などを解明に成功しており、今後のウィスカ抑制技術開発に大きく貢献することが期待されるため、推奨報文賞として選定します。

 
 


奨励報文賞(2件)


奨励報文1


 
 

Session No:2-1
報文名:鉄道信号装置のアベイラビリティを観点とした評価法の検討
発表者:◯岩田 浩司、平栗 滋人、渡辺 郁夫
所属:(財)鉄道総合技術研究所

 本報告は、鉄道信号装置の評価尺度にアベイラビリティを導入したものです。この評価尺度は、近年、鉄道装置の国際規格でも求められつつあります。まず、5年間、5線区の実績からアベイラビリティとその影響を評価しました。次に、実績に基づいて、改善目標を設定し、改善方法とその選択方法を提案し、改善を実施しました。最後に、目標の達成を確認しました。さらに、新規システムへ適用する方法を示しました。
 他のシステムにも参考になる点は、次のようなことです。アベイラビリティの影響を説得力のある尺度で評価したことです。例えば、「目標アベイラビリティ99.96%は、運休回数及び影響人数を2割減少させることに相当する」などと示したことです。また、改善方法の選択では、遅延時間と発生頻度の二次元マップ上に改善前と改善後の値をプロットし、両者を結ぶ線分が最大になる方法が最適であることを示したことです。さらに、改善効果を定量的に確認したことです。
 本報告は、完成度が高く、かつ、他のシステムにも参考になる点が多く、奨励報文賞として選定します。

 
 

奨励報文2


 
 

Session No:3-4
報文名:自動車産業におけるリコールリスクのマネジメント
発表者:◯大矢 真平、宮村 鐵夫
所属:中央大学

 自動車のリコールリスクのマネジメントでは、迅速なリコールの実施とリコールの発生自体の低減が必須の取り組むべき要素であると考えられます。本報告は、後者の取り組みとして、リコールの根源原因分析を行ない、開発プロセスにフィードバックして水平展開して、技術及びマネジメントによるリコールの未然防止をはかるという基本的考え方に基づき、システム的視点及び開発プロセスの視点からの分析の要件を述べ、この要件を満足する根源原因分析表の作成方法を示しています。さらに、以上の方法論に基づき、2004年度から2007年度の自動車に関わるリコール259件について根源原因分析表による分析を実施し、これに基づいて開発プロセス及びシステムの両視点からの統計分析を行ない、システムと開発プロセスに共通した問題点を抽出し、技術的及びマネジメントの原因から生ずる問題を未然に防止する方策を提案しています。
 全般的に、顕在化した不具合は複数の部品に原因があることが多く、これを的確に予測するためには、動作機能原理図から作動時のストレスを抽出し、影響を検証し、問題点を発見することが重要との結論を得ています。
 本報告は、リコールリスクのマネジメントという新しい分野を扱った研究で、他のシステムにも参考になる点が多く、奨励報文賞として選定します。

 
 


全体的なまとめ、総評


 
 

 昨年の第37回シンポジウムでは、はんだ接続のセッションで関連する多数の発表が行なわれましたが、今回第38回のシンポジウムではそれにかわって表面・界面の解析、ウィスカの信頼性のセッションが構成され発表がなされました。また、電子デバイス及びパワーデバイス・回路の信頼性のセッションにかわって半導体の信頼性及びデータ解析のセッションがもたれました。ワイブル解析については1セッションを構成することができました。
 ヒューマンファクター、機械の信頼性、信頼性・リスク解析手法については、例年セッションが構成できるようです。実験等データ収集と解析とが必用な分野は、次の発表までに時間を要するのかもしれません。本年の発表ができなかった分野については、次回での発表を期待することにします。
 これまで、ソフトウェア(組込みソフトウェア)、ソフトウェアとハードウェアとからなるシステムの信頼性に関する発表は一般セッションではあまり見かけませんが、今後この方面の発表が増加することも期待します。

 
 


ページの先頭に戻る