派遣責任者、参加者インタビュー:株式会社ヤクルト本社Interview

臨床データマネジメントセミナー(CDM)
派遣責任者、参加者インタビュー 株式会社ヤクルト本社様

「目的や役割を理解して、柔軟に対応でき、専門的な立場から提案・リードできる人材の育成を目指します。」

乳酸菌 シロタ株が入った“ヤクルト”“ジョア”等で知られている株式会社ヤクルト本社は、来年創業80周年を迎えられます。「健腸長寿」を普及し、予防医学(食品・飲料)と治療医学(医薬品)の両面で「健康社会」を実現しよう、と取り組まれています。 医薬品事業では、特にがん領域に特化した事業展開をされており、大腸がんの化学療法では世界の標準的治療薬である「エルプラット点滴静注液」や「カンプト点滴静注」を販売されています。

社内の人材育成にも力を注がれており、日科技連の「臨床データマネジメントセミナー」には継続してご派遣いただいております。

今回は、2013年度「臨床データマネジメントセミナー」にご参加された、医薬開発部 臨床支援課の品川香菜さんと派遣者の内田久美さんにお話を伺ってきました。
セミナーに参加されての成長や変化など具体的なお話をお聞きいたしましたので、ご紹介いたします。

聞き手:日本科学技術連盟 矢口 里美
まとめ:日本科学技術連盟 小池 淳子
インタビュー:2014年6月

派遣者:医薬開発部 臨床支援課 内田 久美様
参加者:医薬開発部 臨床支援課 品川 香菜様

『私たちは、生命科学の追究を基盤として、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します』

聞き手:まずは、貴社の企業理念や事業内容をお教えいただけますでしょうか。

内田: 企業理念は、
『私たちは、生命科学の追究を基盤として、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します。』 というものです。
これらに基づき、人々が健康とゆとりと生きがいを実現できる生活づくりに貢献し、地域社会とともに発展する企業を目指しています。「健腸長寿」を普及し、予防医学(食品・飲料)と治療医学(医薬品)の両面で「健康社会」を実現しよう、と取り組んでいます。

聞き手:ホームページを拝見いたしましたが、“ヤクルト”などの飲料が予防医学。抗がん剤など医薬品にも力を入れておられますが、これが治療医学のほうですね。

内田:はい、医療用医薬品は1967年から販売を開始しています。その後、一般医薬品や医薬部外品、医療機器、試薬などへと分野を広げていきました。特に力を入れているのが、がん領域です。当社の主力製品である、抗がん剤「エルプラット点滴静注液」や、ヤクルトが開発した「カンプト点滴静注」はいずれも世界の標準治療薬です。大腸がんの第一選択薬として世界100か国以上で承認されています。また昨年は、海外に続き国内でも膵がんの標準治療としてFOLFIRINOX療法が承認されました。これらをはじめ、後発品も含め多くの医療機関でがん治療を支える薬剤を販売しています。

『世界のオンコロジーカンパニーとして』

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医薬開発部 臨床支援課
内田 久美様

聞き手:これからどのような方向を目指されるのでしょうか。

内田:グローバル企業としての成長を目指しています。当社は来年で創業80周年を迎えます。食品事業、化粧品事業、医薬品事業では長きにわたり一歩ずつ着実に成長していますが、今後は企業経営における環境が激しく変化することが予想され、新たな道標が必要となってきます。そこで当社では新たなチャレンジへの取り組み目標として「ヤクルトビジョン2020」を策定しております。「ヤクルトビジョン2020」では、グローバル市場を“普及・成長・成熟・再構築”の各段階に分け、最適な戦略を展開することでグループ成長の継続を目指しており、我々の医薬品事業は大事な柱の一つとなっています。がん領域に特化した新規のグローバルな医薬品開発を進めるとともに、後発品事業にも積極的に取り組んでいます。

―CDMセミナーへの期待―視野を広げ、自分で考えられる人材の育成

聞き手:内田さん、品川さんがご所属されている、医薬開発部は、何名くらいいらっしゃるのですか?

内田:医薬開発部としては、約70名です。

聞き手:内田さん、品川さんは、その中の臨床支援課にご所属されていますが、お仕事の内容を教えてください。

内田:臨床支援課は、DM、統計、QCチームがあります。その中で、私たちはDMチームに所属しています。医薬開発部で実施する臨床試験のDM業務を行っています。

聞き手:継続的に私どものセミナーにご参加いただきありがとうございます。御社のDM担当の方の受講率はどのくらいになるのでしょうか。

内田:弊社では、かなり前からCDMセミナー、BioSセミナーにお世話になっております。私も2008年のCDMセミナーに参加させていただきました。DMチームに配属され、現場の仕事を1年位経験した社員はほとんどと言っていいほどCDMセミナーに参加させていただいております。

聞き手:日科技連のセミナーを選んでいただいている理由はなんでしょう。

内田:現場を経験して自社のやり方を覚えた位の時期に、CDMセミナーに参加するようにしています。各社によってDMの業務範囲や求められていることが違います。その中でDMに求められる役割をあらためて見つめ直し、自社で行っている業務を見直すきっかけを作るのに、CDMセミナーの体系的な講義内容がふさわしいと思います。

聞き手:社内のやり方を覚えるだけではダメだということですね。

内田:そうですね。また、このセミナーは体系的に集中してCDMの講義を受けられるだけでなく、講師の方がDM業務の長い歴史を知るご経験豊富な方ばかりです。今の若いDM担当者が、DM業務の変遷、今の業務の意味や背景を知る機会にもなります。受講後は視野が広がり、現場に戻った時、どうするべきなのか自分で考えられるようになることを期待しております。

―印象に残ったこと―DMが治験の中心位置に少しでも近づく努力

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医薬開発部 臨床支援課
品川 香菜様

聞き手:ありがとうございます。それでは、品川さんにお聞きしたいのですが、実際に参加されて印象に残ったことはなんでしょうか。

品川:佐藤喬俊先生(千葉大学病院)がご講演の中で説明された「DMの将来について」です。DMは治験の中心位置に少しでも近づく努力が必要であるということを先生はおっしゃっていましたが、まさにその通りだと痛感しました。DMは他部門から見ると、臨床業務を支援している縁の下の立場のように思われがちであり、現状まだそのような業務状況から脱していないのかなと感じます。

聞き手:先生のお話しに同感されたのですね。

品川:はい。単に、CDMに関する専門知識や医学的背景知識を身に付けるだけではまだまだ中心位置には近付くことはできないですし、DMの立場だからこそできる仕事を見つける、例えばいろいろな立場の業務を理解した上でDMの立場から当社にあった業務の進め方を率先して提案できるようになるなど、存在感をアピールしていきたいです。

聞き手:他に印象に残った講義はありますか。

品川:CRF設計の講義が一番印象に残りました。CRFを設計するにあたってマトリクス分析という方法でCRFに必要な項目を効率的に抽出することができると教えて頂きとても感動しました。私自身CRF設計の経験が未だないため、是非この手段を活用していきたいと思います。

聞き手:合宿という形式はいかがでしたか。

品川:非常によかったです。講師や参加者同士が交流することができて、宿泊形式はよいと思います。入社歴が同じ方がいらっしゃって、そういった方とも知り合えてよかったですし、普段、アカデミアの方とも知り合う機会もなかったので、交流できてよかったです。

―受講後の変化―「自分の中に、“品質水準とは”という軸ができ、自信を持って業務に取り組むことができるようになったと思います。」

聞き手:セミナーへ参加した感想、印象を、ざっくばらんにお聞かせください。

品川:他部門との関わりを私達に意識させながら講義を行っていただいたので、治験業務の一連の流れの中でDMとしての役割をあらためて理解することができました。私自身DM担当となる前は半年間OJTでQC、治験薬管理、統計解析チームの業務を体験しましたが、まだまだ他部門との関わりを理解できていないところも多くあったため、大変勉強になりました。様々なバックグランドをお持ちの参加者が多くいらっしゃって、多方面の視点から意見を聞くことができ、自分の考えを見つめ直すいい機会だったと思います。

聞き手:参加されて得たこと、自分自身変わったと思うことはありますか?

品川:チーム内に業務効率化を提案することができたことです。講義を受けて身に着いた知識をフィードバックできただけでなく、他社とのつながりを多く持つことができるようになったのは、とても大きな成果でした。業務を行う中で、もっと効率的な方法はあるのか、他社ではどのように行っているのかと疑問に感じることがよくあったのですが、CDMセミナーで知り合った方と意見交換することができ、この人脈は、今では私の大きな財産です。

聞き手:セミナーで知り合った方々と、セミナー後も相談や情報交換できるのは、いいですね。

品川:はい。本セミナーで知り合った方からその知り合いの方を紹介していただいたりと、さらにつながりが広がり、参加してよかったと改めて感じます。

聞き手:派遣された内田さんからみて、品川さんの受講後の変化を感じましたか?

内田:自分の中に、「品質水準とは」という軸ができ、自信を持って業務に取り組んでいると思います。

聞き手:最後に、今後のDMに求められるものは何でしょうか。

内田:目的や役割を理解して、柔軟に対応でき、専門的な立場から提案・リードできる人材の育成だと思います。特に昨年のPMDAの申請時の電子データ提出についての発表以来、今後DMの役割は今まで以上に大きくなると思います。情報に振り回されず、専門性・積極性・語学力を向上させてグローバルに対応できるDMでありたいと考えます。

聞き手:本日は、貴重なお話大変ありがとうございました。

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