J-Clubマネジメントシステム・セルフアセスメント 診断結果 全体報告 2023年度
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7 ©JUSE ISO Center 2.マネジメントシステム・セルフアセスメント 趣旨と目的 セルフアセスメント・フレームワーク ISO導入の目的はマネジメントシステムを質的に向上させ、品質や環境に対する組織的な管理を継続的に改善することにある。実際、日本マネジメントシステム認証機関協議会(JACB)のマーケット調査委員会が実施した「ISOの組織的活用に関するアンケート調査」によれば、ISOの導入を組織的な運用において、その推進体制を体系的に改善している組織は、ISOが目指している認証価値、規格価値、審査価値といった3つの価値を実現していることが明らかになった。 こうした調査を踏まえ、われわれはさらにマネジメントシステムそのものの実態を把握して、それがどのように運用されているのか、運用での相違がISOの価値実現に対してどのような影響を与えているのかを明らかにすることが、ISOのより効率的かつ効果的な活用にとっては必要不可欠であると考えた。このように実態を把握することが、認証取得組織と認証機関の双方にとって、ISOマネジメントシステムを正確に把握した上で、次の改善に向けてどのように進んでいくべきかを考えるための必須な基盤となるからである。 こうした問題意識に基づいて、今回、認証取得組織の皆様に、自社のISOマネジメントシステムを自己評価して頂いた。われわれはこの自己評価ツールを「J-Club マネジメントシステム・セルフアセスメント(MSSA)」と命名した。幸い、この趣旨に賛同していただき、491社からの回答を得ることができた。 MSSAの開発にあたっては、日本科学技術連盟ISO審査登録センターに所属する審査員が、自分たちの審査活動に基づいて、その経験から質問項目を精査し、マネジメントシステムの実態をより正確に把握することができるように検討を重ねた。また、それぞれの質問項目では、選択肢を1から4へと段階的に成熟化されたものへと整理した。つまり、それぞれの質問項目は、それに答えることで、マネジメントシステムの運用における組織の成熟度を示すことを意図している。したがって、組織の自己判断に基づいて、マネジメントシステムの運用での成熟度を、全体として把握することを可能にするものである。 この意味で、このセルアセスメント・ツールを通して収集された情報は、マネジメントシステムのプロセス全体を通して、成熟度という視点に基づいて、認証取得組織のマネジメントシステムをより適切にかつ正確に表すデータとなっているものであると考える。 こうした前提に基づいて、この診断ツールがISOマネジメントシステムの現状を明らかにし、その改善に向けて、認証取得組織の皆さまと一緒になって取り組んでいくための基盤となることを確信している。 MSSAでは、マネジメントシステム(以下、MS)をPDCAサイクルとして把握する。このサイクルをどのように運営しているのかによって、認証を取得した組織での成果に相違が生じる。ISOでのPDCAサイクルは、規格が提示している以下の10の要素から成り立っている。

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