セミナー情報・事業詳細

熱気あふれる会場風景

―合言葉は実践―

2018年3月9日(金)日本科学技術連盟・東高円寺ビルにおいて、「2017年度(第13年度)R-Map実践研究会」の成果発表会が開催されました。

この成果発表会は、2017年5月26日から計8回の研究会を通じて、日頃の製品安全に対する課題や自身のスキルアップを目的として、業種の垣根を超えて研究を行った成果を、広く一般の方にも情報発信するものです。

研究員は、研究成果を実践に生かすことを熱気あふれる会場風景主眼に今回の成果発表に臨んでいます。

★R-Mapはさらなる普及・進化を続ける
2005年に、発足した当研究会は、今年度で13年目を迎えることができました。R-Mapのさらなる普及・進化を目指す中、会場には数多くの一般参加者並びに、研究員の上司の方々もご聴講していただき、会場が満席となる熱気あふれる雰囲気の中で、成果発表が行われました(各研究内容の概要については後述)。


▶ R-Map書籍(世界に通用するリスクアセスメントシリーズ 4巻)
  の詳細情報は、こちらから

▶ 2018年度の研究員募集要綱は、こちらから

 

1. R-Mapとは

縦軸に「発生頻度」横軸に「危害の程度」のマトリックス表に事象をプロットすることによりリスクの大きさを可視化する手法です。このR-Map手法は日本科学技術連盟で提案したオリジナル手法です。
詳細内容は、こちらから

2. R-Map実践研究会とは

R-Map実践研究会は、多様な業種の多様な部門の担当者が一堂に会し、各研究分科会で設定する研究テーマにしたがって、各自の研究目標を設定し、期間内に研究を行い発表するものです。この研究会では、異業種交流が可能で、ざっくばらんに情報交換ができることや、人脈形成ができることが特徴です。3つの研究分科会で構成されており、各自の課題に対し、R-Mapを活用して研究しています。

  第1研究分科会:「R-Mapによる開発段階からの安全構造設計」
  第2研究分科会:「R-Mapによるリコール・製品事故事例の解析・研究」
  第3研究分科会:「流通視点で見る消費者安全対策についての研究」
  

3. 2017年度(第13年度)R-Map実践研究会成果発表会のスケジュール

時間 内容
9:50-10:00

【来賓挨拶】経済産業省 産業保安グループ
製品安全課長 和田 恭 様

10:00-10:30

【特別講義】「R-Mapと未来のリスクアセスメント」
松本 浩二 統括主査

10:30-12:00

第1研究分科会
「R-Mapによる開発段階からの安全構造設計」
(質疑・応答)

12:00-13:00

昼食・休憩

13:00-15:20

第2研究分科会
「R-Mapによるリコール・製品事故事例解析・研究」
(質疑・応答)

15:20-15:30

休憩

15:30-16:50

第3研究分科会
「流通視点で見る消費者安全対策についての研究」
(質疑・応答)

16:50-16:55

2018年度 研究会活動の紹介(リスクアセスメント実践研究会)

16:55-17:00

修了式

17:00-17:10

休憩・会場移動

17:10-18:00

情報交流会

 

4. 来賓ご挨拶

経済産業省 和田 恭 氏

経済産業省 産業保安グループ製品安全課長 和田 恭 様 より、ご挨拶をいただきました。
ご挨拶の概要は、次の通りです。

重大製品事故の報告制度化以降、最近の重大製品事故件数は減少傾向にあるものの、リコール対応中にもかかわらず消費者の手元にある製品が起こした事故が全体の10%程度あり、リコールを効率的に進めることが重要課題である。
そこで、製品のトレーサビリティを確保するためにIoTを利用することで、対策製品を特定するための研究を行っている。事業者がリコールを意思決定する上で、リスクアセスメントは重要な課題であり、当研究会の役割も大きくなっているので、安心・安全の原動力になるよう期待している。

5. 特別講義

テーマ「R-Mapと未来のリスクアセスメント」

本研究会統括主査 松本浩二氏

本実践研究会 統括主査 松本浩二氏(PSコンサルタント)による特別講義が行われました。
講義のポイントは、次の通りです。

1)許容可能なリスクをR-Mapで見える化する
安全はリスクの大きさで判定する。
リスクの大きさは、危害の程度と発生頻度の組み合わせで求める。
日科技連オリジナルのR-Map が誕生。
R-Mapを使用して、事故事例を説明。
重大事故には、3~5個の対策要素が必要。

2)リスクアセスメントの新しい波
・リスクアセスメントの自動化
バラツキ低減、効率化、シナリオ抜け防止、不正防止、広く普及するため。

・リアルタイム・リスクアセスメントへの展開
飛行中のドローンの安全性、情報セキュリティ分野などで提案されている考え方。
静的から動的リスクアセスメントが新たなニーズになり得る。

以上、リスクアセスメントの変遷と今後のリスクアセスメントについて解説されました。

6. 各研究分科会の発表

続いて、第1研究分科会から第3研究分科会の順に発表が行われました。
発表の要旨は次の通りです。

第1研究分科会の発表
テーマ「R-Mapによる開発段階からの安全構造設計」

第1研究分科会では、設計段階で行うリスクアセスメントでの問題解決を中心に研究を行っています。

分科会発表風景

●Aグループ:「RAばらつき低減ガイドライン作成
リスクアセスメントを行う中で、発生頻度や保護方策効果に関して、評価にばらつきが発生することが最重要課題であり、ばらつきを抑制するためのガイドライン作りを行った。
継続のテーマであるが、今年度は、保護方策の検証方法とソフトウェアによるリスク低減効果の見積りに関するガイドの補強を行った。

【ガイドラインの概要】
・危害シナリオ記載ガイド
-保護方策を入れない(初期リスクの発生確率には、保護方策によるリスク低減を考慮しない)。
-危害発生が、人的か物理的かを明確化する。

・危害の程度設定ガイド
-危害の程度は、及ぼし得る最大エネルギーで想定する。
-重量物では、重さ、高さ及び形状を考慮する。

成果として、実務者にとって使いやすいガイドラインにすることができ、リスクアセスメントのばらつきを抑えるという初期の目的を達成することができた。

●Bグループ「新カテゴリー製品の開発段階における危害シナリオの洗い出し方法」
新しく開発される製品のリスクアセスメントは、過去のノウハウの活用がしにくく、また試作品が完成するまで、実機を用いたリスクアセスメントはできないことから、網羅的にリスクが抽出できる技法の研究を行った。

その結果、全体の構成が視覚化できる機能ブロックとハザードマトリックスを組み合わせて行うことが現実的と考え、新しい製品を題材に危害シナリオの抽出を試行した。

効果として、ユニット間の繋がりを考えた危害シナリオの抽出が可能となり、新カテゴリー製品の開発段階に有効で、PSレビューに活用できることが分かった。

また、課題としては、機能ブロック図の表現方法(外乱(人、環境、劣化)の表現)、可動部の表現、記述の細かさについて検討が必要と考える。

●Cグループ「PSPTAを用いたファンモーターの発火リスク低減の見える化
メンバーの共通課題として、ファンモーターを外部から調達して、最終製品を設計しており、ファンモーター自体の安全性を十分把握できていない可能性があった。そこで、火災のメカニズムを明らかにして、保護方策の有効性の評価方法を検討することにした。

まず、モーターからの発火による危害シナリオを検討し、次にPSPTA※を作成することで、火災のメカニズム、各種保護方策に対する有効性検証とリスク低減効果の見積りの考え方を理解することができ、モーターを安全に使用するために必要な要求仕様を見える化することができた。

部品メーカーとセットメーカーが、PSPTAで安全を見える化することで、安全対策に対する認識の不一致を解消できると考える。

※PSPTA:Product Safety Potential Tree Analysis

第2研究分科会の発表
テーマ「R-Mapによるリコール・製品事故事例の解析・研究」

第2研究分科会は、市場で発生した事故事例を分析し、開発段階でのリスクアセスメントに繋げることを中心に研究しています。

●テーマ1「R-Mapによる乳幼児製品の事故事例研究」
乳幼児の玩具による事故は、改善が難しく保護者への注意喚起が多い。玩具は、好奇心を育むことを目的としており、重大事故を発生させてはならない。そこで、R-Mapを学び、商品のリスクを本質的に低減させる仕組みを研究した。

窒息死の要因では、食品、その他の物(玩具等)によるもので、0歳児が最も多い。

窒息(気道閉塞)は、咽頭または咽頭が塞がることにより発生する。日本の玩具規制はなく、自主規制で対応しているのが現状である。

窒息を起こさないための対策は、弟妹が一緒に遊ぶ状況は容易に想定でき、対象とする年齢を設定しても、生活環境の中で遵守されるとは限らない。したがって、対象年齢の基準を確保するだけではなく、それ以外の対象年齢も評価し対策を検討する必要があると考える。

また、保護者への注意喚起だけではなく、誤嚥・窒息事故発生時の初動対応についても情報を提供することが必要と考える。顧客窓口と協業し、お客様の声を最大限に活かせる情報の収集・解析を検討していきたい。

●テーマ2「ペット等が引き起こす事故のR-Map分析」
昨今のペットブームにより、ペット起因の事故が発生している。そこで、事故の発生状況とリスクの大きさを分析し、それらの対策の要否を判断すると共に、今後の製品開発において、どのような点に留意したらよいかを研究した。
ペットが引き起こした電気製品の事故件数は、2012~2016年度で17件発生している。ペットを飼育している世帯のリスクを評価したところ、B1領域で、直ちに対策が必要な製品はなかった。他方、小動物(害虫含む)が引き起こした電気製品の事故件数は、2012~2016年度で34件発生している。これをリスク評価したところ、B1領域で、こちらも直ちに対策が必要な製品はなかった。
しかし、個々の製品を見た時に、既知の危害シナリオに対して、安全性が確保されているか確認しておく必要がある。

【ペット・小動物起因事故の注意点】
上向きの開口部は尿によるトラッキング発生の可能性がある。
円筒形の形状は、犬がマーキングする可能性がある。
小型、薄型は、噛まれる可能性がある。
部屋の隅、屋外設置の製品は、住処になる可能性がある。

●テーマ3「知って欲しい「経年劣化」による履物リスク」
自社製品の中で、履物による事故が多いことが分かった。そこで、履物による事故の実態を調査し、事故の未然防止のために何が必要かを明らかにすることを目的として、研究を行った。

nite製品事故・リコール情報から靴に関わる2007年以降のデータ227件を分析したところ、重傷が83件、軽傷が81件発生している。怪我発生の63%が転倒がらみである。製品の破損がなく転倒した事例(自己責任)を除き、ソール剥がれ等の靴底に起因するものが70%を占める。その内の19%が製品にとって避けられない経年劣化である。

この経年劣化は、温湿度によりソールの接着剤が、水と反応して分解される現象で、完品になった時から劣化が進行するものである。

製品が特定できる事故をR-Mapにプロットしてみたところ、最大でB3領域に分布しており、改善の必要性があることが分かった。

接着剤は、二つに大別され、加水分解に弱いのが反応効果型で、強いのが乾燥固化型である。一般の靴は反応効果型が多く使用され、アウトドア・レジャー用靴は、乾燥固化型が使用されることが多い。釣り具業界では、過去に大規模なリコールが発生したため、業界全体で、乾燥固化型に移行された。その結果、釣り用履物での事故は2012年以降niteに報告されていない。しかし、経年劣化は必ず発生するものであり、着用前の点検が重要で、そのことを周知させることも必要である。

消費者の経年劣化の認知度は43%と低く、取扱説明書の存在自体を知らない人もいることが分かった。そのため、業界全体として、継続的に経年劣化の広報を行うことが未然防止に繋がると考える。

●テーマ4「取扱説明書の注意・警告表示と製品事故、リコール対応のR-Map分析」
世の中にある様々な製品の取扱説明書に、事故情報が反映されているのか、事故情報が製品に反映されているか疑問があった。そこで、キッチン周りで使用される家電製品を題材に、事故と注意・警告表示の関連を調査した。事故件数が多い製品は、電気オーブン・電子レンジ、電気炊飯器、電気コンロ、電気ポット、次いでウォーターサーバーが上位を占める。この中から、近年設置環境が事務所中心から家庭などに普及が進んでいるウォーターサーバーに着目した。

ウォーターサーバーの事故は、全て熱湯による火傷である。全14件の内、13件で幼児が負傷している。事故様態に関しては、コックレバー安全機構の機能不発揮など、製品起因と考えられるものが多かった。

火傷事故に関する取扱説明書への注意喚起表示を、10製品で調査したところ、幼児の火傷リスクに対する記載はあったが、事故様態に関連する注意記載は少ないことが分かった。

チャイルドロック解除ボタンが押された状態になり、幼児がつかまり立ちをして温水コックに触れ、熱湯により火傷を負い、リコールした製品をR-Mapにプロットしてみたところ、B2~B3領域にあり、不具合対策だけではC領域まで下げるには至らないので、追加の保護方策が必要であることが分かった。

ウォーターサーバーは、近年急速に一般家庭へ普及が進んだ製品のため、消費者の中でリスクのイメージが確立されていないと考える。開発段階において、類似機能の製品を参考にすれば、追加の保護方策が可能であるので、今後、改めて製品安全の基本である3ステップメソッドの順に検討していく。

●テーマ5「生活支援ロボットの“ゼロレベル”の考察」
生活支援ロボットは、まだ普及段階にないため重大事故は起こっていないが、今後、普及した場合に安全性が問題となる可能性がある。
そこで、社会に受け入れられる安全性はどのレベルか、0レベルを導出することを目的として研究を行った。

R-Mapの0レベルが明確になっている1E-8、1E-7、1E-6の製品群の中から要因の類似性、相違性から影響要因の作用を評価した(一部紹介)。

□使用・設置場所
・産業、医療機器は、特定の空間でのみ使用されるため、機器周辺にいる人も限定される。
・消費生活用製品や自動車は一般家庭、公道など不特定多数の人がいる空間で使用されるため、多くの人の周囲で使用される。

□購入先
・産業機器等はメーカー、代理店から購入することで購入者の制限、注意喚起が可能。
・消費生活用品は量販店などから誰でも容易に購入可能。

現状の要素では、既存製品との性質との比較はできるが、0レベルを導出するには要素や評価手法が不十分であり、さらなる検討が必要である。

さらに、既存製品群にはないロボット特有の特質を、どのように評価し、0レベル設定においてどう影響するか検討が必要である。

●テーマ6「長期使用製品事故から導き出した経年劣化ハザードマトリックス」
長期使用製品の事故やリコールを分析し、その原因の傾向から、製品の経年劣化による事故の予防に繋げることを目的として研究を行った。

nite事故情報データベースから1996~2012年「経年」「劣化」「経年劣化」を抽出した。

ワースト1位から5位の製品は、石油給湯器、ブラウン管TV、ガス給湯器、照明器具、扇風機となっている。

長期使用製品の事故を未然に防ぐためには、経年劣化に特化したリスクファィンディングを行うことが必要である。そのため、製品開発段階で「経年劣化ハザードマトリックス」の利用を提案する。これは、通常のハザードマトリックスの横軸に製品構成要素、縦軸に劣化、消耗、摩耗に関するハザードを表している。そうすることで、危害シナリオを展開しやすいと考えた。なお、開発する製品に合わせて、縦軸・横軸の項目を追加・修正し最適化する必要がある。

●テーマ7「消費生活用製品における発生頻度算出の考察」
冷蔵庫は365日24時間稼働している一方、例えば電子レンジのように、一回あたり数分しか使わないような製品もある。

R-Map手法で発生頻度を算出する際には、このような「製品を使う時間」の大小は考慮していない。

そこで「製品を使う時間」を考慮して事故を分析し、傾向が得られないか検討した。

まず、製品の置かれている状況や、使用/未使用状態を、4つの状態に定義付けた。

1.アクティブ時間:製品が稼働・機能している時間
2.アクセス時間:製品に対し、操作や何らかの行為をしている時間
3.スタンバイ時間:通電しているが、起動していない状態の時間
4.保管時間:製品を機能させないよう保管、保存している状態の時間

次に、nite事故情報データベースから「火災」に関する事故を抽出した。

限られた製品での検証ではあるが、火災に関しては、その殆どがアクティブ時間中に発生している。近くに人がいる状態のアクセス時間中では、消火が困難な程の大きな炎が直ちに発生するとは考え難く、回避・消火により被害拡大を防げる可能性が高いことが理由と考える。

使用時間をアクティブ時間・アクセス時で分類することにより、明確な傾向を得ることはできなかったが、時間を細分化してそれぞれの発生頻度を計算することにより、危険源を同定し、リスクファィンディングの一助となる可能性を感じた。

●テーマ8「信頼性評価から安全性評価への展開方法の検討」
弊社製品(B2B製品)へR-Mapを導入するため、メーカーが導入/実施しやすい安全性評価のやり方について、多くの製品が実施しているFMEA手法等の信頼性評価から安全性評価(R-Map)へ展開し、自社製品の安全性リスク検討に適用できないか検討を行った。

信頼性評価と安全性評価の関連性では、異なった概念であり、FMEAからR-Mapへ展開するためには、装置の正常及び故障の他に、誤使用や残留リスク及び安全性を含めたリスク評価が必要であることが分かった。

リスク評価の手順を決定し、2元表を活用して、実際の部品を題材に評価を実施した。

その結果、部品の機能から潜在的な危険部品を抽出し、その部品に着目し、リスク展開することで、B2B製品の安全性評価へ展開できる見通しを得た。

今後さらに、実践による妥当性検討を行い、製品や設計の進め方に合わせた内容へのブラッシュアップをしていく。

第3研究分科会の発表
テーマ「流通視点で見る消費者安全対策についての研究」

第3研究分科会は、流通・販売事業者と消費者が安全な製品を選べる仕組みづくりを中心に研究を行っています。

●テーマ1「流通事業者による販売前のリスクアセスメント実施の可能性について
流通業者の役割は、「安全な製品を選択」してお客様に提供することが求められている。

安全な製品の選択方法は、基準、規格のある製品を確認する。基準、規格がない製品は認証機関に相談し、業界基準や各社の基準を確認する。担当バイヤー又は品質管理部門が過去のクレームなどを調べて判断するが、基準や規格がない製品についても、流通である程度できるのではないかと考え、RA(リスクアセスメント)を試行した。その結果、ある程度は可能だが、取扱製品が多く、全ての製品でRAを第3研究分科会発表風景実施するには、労力と時間の低減が必要と考え、どうすれば導入できるかを検討した。流通業者が取り扱う品目は、年間数十万型で幅広いジャンルで新規商品が採用されているが、既存品に機能をプラスした付加価値型商品が多いという点に着目して危害分析を検討した。

同一カテゴリー商品でRAを実施すれば、共通的な危害シナリオを見いだすことができるのではないか。

アイテムは公的規格に従い安全性担保、公的規格がない機能部分でRAをすることで、効率的に商品のリスク低減が図れるのではないか。

このことから、組立家具(ワゴン、扉付BOX、座面移動式椅子)を題材に「機能RA」の研究を行った。

組み立てに起因する危害シナリオは、nite事故事例で共通性の高い危害シナリオ11件と、さらに個別の(共通性の低い)危害シナリオ9件の全部で20件抽出できた。

重傷に至るシナリオも予見され、危害リスク低減の期待が持てる結果となった。

機能RAという概念を持ち込んで流通の製品安全を効率的に進めるという道筋が見えた。最終目的である流通事業者のバイヤーが容易にRAできる方法まで具現化できるかどうかが課題であり、継続的に研究に取り組みたい。

●テーマ2「R-Mapを応用した品質マトリックスの作成
生活雑貨の苦情の実態から、安全面の問題が発生した場合には、R-Mapを利用し、商品対応が可能であるが、品質面に関する苦情は非常に多く、お客様満足度の観点から対応が必要である。品質問題についてもR-Mapのように、誰でも同じ目線でリコール対応の要否の判断ができるツール「品質マトリックス」の検討を行った。

□横軸の考え方
品質問題の実例から拡大性の有無で分類した。

□縦軸の考え方
苦情発生率から分類した。

□リスクランクの考え方
過去の対応事例からランク分けした。
危害性のあるものは、R-Mapを使用して評価した。

実際の苦情発生率と品質問題発生事例とをプロットしたところ、商品対応内容と合致したことから、品質問題発生時の対応方法のツールとして、品質マトリックスが有効であることが確認できた。今後は、未然防止の観点でさらなる研究が必要である。

●テーマ3「使用者由来の事故原因の違いについて」
衣料品に対しては、品質意識が高いからクレームになるような取扱はしないのではないかという疑問があった。そこで、製品によって、特定の消費者群に有意差があるのではないかという仮説のもとに、昔からある製品で知名度があり、意識による差異が得られやすい『ゆたんぽ』を対象に事故の内容を調査した。

『シニア世代における一人及び二人暮らしの身の回りの危険調査報告書』では、肌に直接触れる状態での使用や、蓋閉めが不完全などの要因で火傷を負っている。

SG基準では、低温火傷に関する注意事項の記載が義務付けられている。

低温火傷を防ぐ方法としては、就寝する布団が暖まったら布団から取り出して就寝する。周囲に人がいる場合は、『ゆたんぽ』の位置を変える方法がある。

仮説を検証するために、特定の消費者群による行動分析(お湯の温度、注ぎ方、蓋の閉め方、外袋の使用)を行った。

その結果、火傷に対する認識はあるものの、低温火傷についての知識がないこと。取扱説明書があるにも関わらず、読まずに直感的に使用していること。

使用経験のない人は、就寝中も使用するという認識であることが分かった。

熱などの危険要因に接触する経験に起因する部分が大きい傾向であることが分かった。

今回の行動分析では、年齢や性別による差異ではなく、経験則に起因するによって行動が変化するという傾向が見えた。今後は、経験というファクターに着目し、サンプル数を増やして研究を進めたい。

●テーマ4「消費者目線での取扱説明書の提案・検証・持続
ドラム式洗濯機の中に閉じ込められ、窒息死した事故が発生した。

日本電機工業会は、内側から開けられる構造でも危険なことに変わりはないとして、チャイルドロックの徹底を呼びかけている。

自社の取扱説明書の頁数の増加に沿うように、お問い合わせ件数も増加していることから、消費者に理解していただけない現実があると考えている。取扱説明書の最終目標は、消費者が商品の取り扱いや操作のしかたを分かっていただくことである。
ライフスタイルの変化で、より消費者目線に立った分かりやすく、扱いやすい商品、取扱説明書を提供することが急務である(継続テーマ)。

2017年度は、お客様目線に立った取扱説明書の作成を持続し続けられる手順を提案する。

まず、残留リスクを明確にするため、R-Mapを活用し、リスクの大きさでイラストや文字の大きさを変えることによって、消費者は「何があったのか」「何が問題なのか」「何をしなくてはならないのか」を理解することができる。

1.お客様視点での見方・考え方が明確になってきた
 読む取扱説明書から、見る取扱説明書へ
2.社会環境・情勢に合わせる
 リスクアセスメントを実施し、残留リスクの大きさで見せ方を変える。
3.お客様の判断基準は、生活環境で異なる
 ライフスタイル、性別、年代、国や地域ごとに評価する。モニタ調査して確認。

1~3を継続的に実施し、より見やすい取扱説明書を目指して改善を推進していく。
 

7. 2018年度 研究会活動の紹介

 

伊藤主査より、次年度の研究会の講師の紹介と、R-Map実践研究会からリスクアセスメント実践研究会にリニューアルし、研究員のテーマを優先するために、分科会形式ではなく新しいスタイルで活動を進めることなど活動内容についての説明と、次年度への参加の呼びかけがあった。

8. 修了式

松本統括主査より、R-Map実践技術者認定書の授与式が行われ、研究員を代表して(株)インターリスク総研の湯口 廉一氏に授与されました。

▶ R-Map実践技術者認定の詳細はこちらから

8.最後に

研究分科会討論風景

今年度も、各分科会から色々な切り口で、リスクアセスメントの課題に対する研究の成果が発表されました。実務に直結したテーマが多く、参考になる点が多かったのではないでしょうか。また、新たな手法確立の足がかりとなる研究テーマは、今後に期待が持てる内容になっていたのではないかと思います。

この実践研究会は、各社の製品安全に関わる方々の情報交流の貴重な場でもあります。

「合言葉は実践!」に向けて、次年度研究会も、2018年5月25日よりスタートします。現在研究員を募集しておりますので、研究会一同皆様のご参加お待ちしております。

▶ 本研究会の詳細内容は、こちらから

(文責:第2分科会 副主査 市川 敏夫)

過去のレポート(PDF)

第13回 R-Map実践研究会成果発表会
第12回 R-Map実践研究会成果発表会
第11回 R-Map実践研究会成果発表会
第10回 R-Map実践研究会成果発表会
第9回 R-Map実践研究会成果発表会
第8回 R-Map実践研究会成果発表会
第7回 R-Map実践研究会成果発表会




 

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