事業詳細

推奨報文賞・奨励報文賞

第46回(2016年度) 信頼性・保全性シンポジウム 推奨報文賞・奨励報文賞の紹介

去る2016年7月14日~15日に開催された第46回信頼性・保全性シンポジウムにおける推奨報文賞・奨励報文賞が、2016年10月5日の本シンポジウム組織委員会で決定されましたのでご報告いたします。


田中 健次 電気通信大学大学院 教授
第46回信頼性・保全性シンポジウム報文小委員会委員長

推奨報文制度の目的と選考方法

本表彰制度は、研究発表者のインセンティブを喚起するとともに、一般参加者には推奨報文の推薦を通して本シンポジウムへ積極的に参画していただくことをねらいとしています。
本シンポジウムは、企業の第一線で活躍されている研究者や技術者の方々が現実的に重要な信頼性、保全性さらにヒューマンエラー防止など安全性にかかわる問題を解決していくための知見を共有する場であるという特長を有しています。すなわち、発表者と参加者との討論により、問題点を整理し、得られた知見をより体系化し、知識の共有化を図ることを目的としています。
このようなねらいと背景から、参加者全ての方々に幅広く推奨報文の推薦をお願いし、これに基づいて選考を進めています。本年も参加者の皆様の多様な視点から、多くの報文の推薦をいただきました。推薦された全ての報文について慎重に審議し、下記に示す受賞報文を選定いたしました。

推奨報文賞・奨励報文賞・特別賞の選考結果

推奨報文賞は、理論・方法などに従来試みられなかった新しい知見を有する内容、あるいは信頼性業務の遂行上裨益をもたらす内容を有する、優れた発表に与えられるものであり、今年度は下記に示す報文3件を「推奨報文賞」として選考いたしました。
【推奨報文賞】(発表番号、所属は発表時のものです)

1)Session 2-1
報文名:電子機器への環境リスク:電子機器の寿命に及ぼす腐食性物質の影響
著 者:斎藤 彰
所 属:(株)村田製作所

2)Session 3-3
報文名:HALT(Highly Accelerated Limit Test)の有効性とその課題への対応
著 者:松井 慶輔
所 属:ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社

3)Session 8-2
報文名:エレクトロマイグレーションによるはんだ接続部の断線現象
著 者:田辺 一彦
所 属:NEC プラットフォームズ(株)
 


一般投票では陽のあたりにくい専門分野や理論的な研究について、今後の信頼性・保全性の研究や発展を期待して奨励報文制度も設けています。今年度は下記に示す報文1件を「奨励報文賞」として選考しました。

【奨励報文賞】(発表番号、所属は発表時のものです)

1)Session 9-2 
報文名:架橋構造解析による熱硬化性樹脂の高信頼性硬化研究
著 者:岡本 泰志
所 属:(株)デンソー
 

 

推奨報文賞・奨励報文賞・特別賞の選定理由

特別賞は2004年度に新設された賞で、その内容が学術的または労力的見地から表彰に値する発表、または啓蒙的であって参加者にとって有益と判断された発表を対象にしています。
今回は、残念ながら該当者なしとの結果となりました。

以下に、推奨報文賞、奨励報文賞、ならびに特別賞の選定理由を記します(Session番号順)。

【推奨報文賞】(発表番号、所属は発表時のものです)

1)Session 2-1
報文名:電子機器への環境リスク:電子機器の寿命に及ぼす腐食性物質の影響
著 者:斎藤 彰
所 属:(株)村田製作所

電子部品は、超高密度実装化が進み、腐食性物質による劣化の影響を受けやすくなっています。さらに、生産拠点の海外移行、ウエアラブル機器やIoTの増加で、中国やインドなどでのpm2.5といった環境面の影響も無視できなくなっています。
本論文では、これらの問題を「電子機器への環境リスク」と呼び、これまでの腐食性物質による電子部品への影響を、故障解析面からの対策を含めて包括的にまとめています。さらに新しい課題として、pm2.5などの環境リスクからの影響に対する懸念をデータに基づいて提言しています。業界に対し、今後直面するであろう新たなリスクの提示という観点での新規性、事例を交えたわかりやすい報告を鑑み、推奨報文に値すると判断しました。

2)Session 3-3
報文名:HALT(Highly Accelerated Limit Test)の有効性とその課題への対応
著 者:松井 慶輔
所 属:ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社

HALT(ホルト)評価法は、短期間に製品の弱点を検出可能な評価法として知られていますが、その試験内容や実際の効果については殆ど開示されておらず、有効性については明らかでない部分が多く存在します。本報告は、そのHALT評価に対し、多数の試験実績から得られた有効性及び、その有効性を更に高める方法について情報開示し、これからHALTを活用しようと検討している設計者・評価者にとって大いに指針になる発表でした。
また、従来からHALT評価を実施してきた技術者にとっては、実際より過大なストレスで検出した不具合に対し、対策要否を判断する困難さが常に付きまとっていましたが、このHALTに「機能性評価」の考え方を取り入れ、ストレス印加中の「機能の安定性」の変化を比較・観察する事で、耐久性の違いを明確に判断できる事を示しました。
今後、ますます短期間での製品開発が求められる中、このような新しい評価手法を積極的に取り入れ、新製品の信頼性確保に大きな成果を上げた報告であり、推奨論文に値すると判断しました。
※HALT:Highly Accelerated Limit Test
 

3)Session 8-2    
報文名:エレクトロマイグレーションによるはんだ接続部の断線現象
著 者:田辺 一彦
所 属:NEC プラットフォームズ(株)

エレクトロマイグレーションはどのような金属配線でも発生しますが、LSI配線の耐エレクトロマイグレーションは、電流密度約100kA/cm2で発生することが報告されています。但しこれは配線が細く、固体に封止され温度上昇も少ないからです。
本報告では『半田』接合部のエレクトロマイグレーションが発生する現象を確認し、得られた知見(温度、電流密度等による影響)について発表がなされました。従来から半田のエレクトロマイグレーションに関しては研究報告もありましたが、本報告のように結晶解析、精密温度計測等を駆使して、且つ実践的な要素も含んだ総合的に現象を考察した例は多くありません。今後、半田接合の寿命律速になる可能性のある重要な報告であることと、発表説明が優れていたことも合わせ、推奨論文に推薦することが妥当と判断しました。

 
【奨励報文賞】(発表番号、所属は発表時のものです)

1)Session 9-2 
報文名:架橋構造解析による熱硬化性樹脂の高信頼性硬化研究
著 者:岡本 泰志
所 属:(株)デンソー

熱硬化性樹脂は、電子部品や自動車部品の絶縁、封止、接着材料として多用され、硬化条件(温度、時間等)によって、物性(耐熱性、強度、接着性等)が変化する事が知られていますが、その詳細は解明されていません。
本研究では、エポキシ樹脂の硬化条件による架橋構造と機能の相関確認を検討し、Spring-8による小角X線散乱(SAXS法)やパルスNMR、動的光散乱の解析結果から、高温(150℃)でのエポキシ樹脂硬化では、ゲル化点以降に硬化反応が停止し、架橋が疎で不均一な部分が多く形成された結果、ガラス転移点(Tg)が低下することが示されました。一方、低温(100℃)での硬化では、ゲル化点後も硬化反応が進行するため、均一で密な架橋構造が多く形成されることにより、ガラス転移点(Tg)が低下することなく、高い信頼性を得られることが確認されました。
高い信頼性が得られるエポキシ樹脂の均一で密な架橋構造を形成する硬化メカニズムの解明は、今後の産業界にとって有益な知見であり、学術的にも優れた内容であるため、奨励報文賞に推薦することが妥当と判断しました。

 

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