事業詳細

特別講演

"ぶつからないクルマ?"スバルが生んだアイサイトの秘密

スバルは黎明期から、"技術は人のためにある"の思想に基づき自ら高い安全性能を目指してきました。脈々と受け継がれる安全思想は、現在のトップの衝突安全性能の獲得、さらには、そもそも"ぶつからない"ことを目指した、スバル独自の運転支援システム"アイサイト"の実現に繋がりました。今回は、特にアイサイトの25年の開発の歴史とそれを支えたスバルの知能化技術について解説します。さらに、安全・安心・環境への配慮が求められている中で、進化を続ける自律自動運転技術の今後の展望について、次世代"アイサイト"の運転制御システムも含めてお話しします。

講演者紹介
 樋渡 穣(ゆたか) 氏 富士重工業(株) スバル技術研究所 担当部長 兼 スバル技術本部 技術開発部 担当部長

1984年、富士重工業株式会社に入社。
以来、約20年、スバル技術研究所にて、先進シャシ制御技術や、ITS分野の先行開発に携わる。
その間、'99年のステレオカメラによる世界初の運転支援システムADA(現アイサイト)の立ち上げや、カメラやGPS技術を活用した自動運転など、クルマの知能化技術に取り組んできた。
現在は、スバル技術研究所およびスバル技術本部 技術開発部にて、先行開発企画業務に従事。

コラム

テレビコマーシャル等でおなじみの富士重工業の「アイサイト(Eye Sight)」。

現モデル発売の2008年以来、爆発的なヒットとなり同社の新車販売において、その装着率は90%にも及びます。
そして、同社のここ数年の好業績は、アイサイト抜きでは語ることは出来ない、といっても過言ではないほどです。
今年の「信頼性・保全性シンポジウム」では、その「アイサイト」に関する講演が予定されています。
話題性としても技術的にも大いに注目されている、この講演に先立ち、本稿ではアイサイトについて3回に渡ってご紹介いたします。

 『運転支援システムアイサイト』とは

第1回:スバル・アイサイトの先進技術と安全思想

"ぶつからないクルマ"

これはアイサイトのキャッチフレーズです。
技術的に一言でいえば、2個の車載カメラで人間の目を模したステレオカメラだけを使って「クルマの知能化」を実現したものです。

もしかすると、永遠の課題であるかもしれない"交通事故の撲滅"において、自動車同士の衝突事故や人身事故を防ぐ切り札として開発され、実用化されました。
その開発には、なんと20年の歳月を費やしています。
今回ご講演いただく、富士重工業(株)スバル技術研究所 担当部長兼スバル技術本部 技術開発部 担当部長 樋渡 穣 氏は、アイサイトの開発責任者を務められた方です。
シンポジウムでは樋渡部長からアイサイトの開発秘話と技術を余すことなく語っていただけることと思います。

そこで、第1回目は、アイサイトについての簡単な紹介をしたいと思います。

スバルでは、"SUBARU ALL-AROUND SAFETY"という安全思想を、次の4つのステップで実現しています。その中の"0次安全"を現実のものとしたのがアイサイトです。

   0次安全(疲労軽減、視界確保により事故を防ぐ)
   1次安全(操作により事故を回避する)
   2次安全(乗員を守る)
   3次安全(救急、被害拡大防止)

アイサイトは、"そもそもぶつからない"技術に対する取り組みであり、前述の"安全思想"という裏付けがあってこそ成立しています。

また、アイサイトの4つの機能は以下の通りです。

   1.ぶつからない技術 … プリクラッシュブレーキ
   2.ついていく技術  … 全車速追従機能付クルーズコントロール
   3.飛び出さない技術 … AT誤発信抑制制御 
   4.注意してくる技術 … 警報&お知らせ機能

アイサイトの大きな特徴は、ステレオカメラのみで前記の4つの機能を実現していることです。ステレオカメラを採用した理由は、人の目と同じセンサーが必要であるという考え方を重視したからであり、開発を始めた1990年当初から変わらないコンセプトです。

・・・次回(第2回)は、アイサイトの「開発秘話」とも言える、ヒット商品となるまでの20年間の苦闘の一部をご紹介します。

(まとめ 日本科学技術連盟 安隨正巳)

第2回:20年の月日の重みと技術を育てるということ

ヒット商品に成長したアイサイトですが、その成功の陰には開発陣の20年以上にわたる苦闘がありました。

昨今、企業経営で重視されるものとして「スピード」が掲げられて久しいわけですが、長い期間を費やさなければ産み出すことができないものもある、ということを学ぶことができます。
とは言っても、20年間、技術開発を継続させることはそう簡単にはできません。"ドッグイヤー"と言われる中、20年もの間には、企業を取り巻く経営環境も変化しますし、景気の波もあります。

そんな中で、スバルのトップは開発を継続させたのです。

アイサイトの基盤である「ステレオカメラ」の研究開発を始めたのは1980年代後半です。
そして、基礎研究から商品化に舵を切ったのは1997年の春でした。研究開発成果を基にした商品化プロジェクトが立ち上がったのです。
しかし、社内では、ステレオカメラという繊細かつ高度な光学機器を、過酷な環境になる自動車に載せるということもあり、社内からは「商品化は無理」と一部思われていたそうです。
その後、約2年半の期間を経て、1999年に商品化を果たしました。
この時の運転支援システム名は、アイサイトではなく「ADA(Active Driving Assist)」でした。

しかし、ADAの売れ行きは芳しくありませんでした。革シート付きとはいえ80万円という、やや高めの価格設定であったことと、当時の販売サイドがADAを売るための方法が確立されていなかったことは要因でした。
その後、ADAは2001年に2代目、2003年に3代目と進化しますが、ADAの装着率は数%以下と、売れ行きは引き続き芳しくなく、サプライヤもステレオカメラの製造からの撤退を要望し始めてきてしまいました。
この時、樋渡氏は、「開発がここで中止になってもおかしくない…」と考えたそうです。

しかし、ステレオカメラではなく、安価なレーザーレーダーを用いたクルーズコントロール機能特化型の運転支援システム「SI-Cruise」の開発に方向転換したのが功を奏し、再びステレオカメラを用いた運転支援システムとして「アイサイト」を2008年に発売しました。
ADAと比べて大幅に低減した20万円という価格もあり、アイサイトはヒット商品になってきました。装着率は、発売直前には50%、現在では90%にまで達していったのです。

樋渡氏は、インタビューで、「開発担当者として、ステレオカメラがここまで受け入れられるようになったのは、それまでの経緯を考えると信じられない」と答えていますが、こうして、20年に及ぶ研究・開発の成果が報われていったのです。

・・・次回(第3回)は、自動運転技術の開発を強力に進められいる『これからのクルマ』についてご紹介します。

(まとめ 日本科学技術連盟 安隨正巳)

第3回:これからのクルマ

自動車メーカー各社は、自動運転技術の開発を強力に進めています。
自動運転技術は、改めて言うまでもなく、自動車を機械制御で運転する技術コンセプトです。

多くの自動車メーカーが開発に取り組んでいる他、Google もすでに数十万 km の走行試験を済ませており、技術的には完成されつつある部分も多いと言われています。
もちろん、実現のためには新たな法整備も必要になりますが、自動運転技術は今後ますます進歩していくことは必至です。

2013年10月、富士重工業(スバル)は、運転支援システム「アイサイト」の次世代バージョンを発表しました。
2014年に国内で発売予定の新型車から搭載を始め、順次展開を広げる予定だそうです。それは、開発してきたステレオカメラをはじめとする安全技術の進化に加えて、アイサイトの先を目指した自律自動運転技術を目指しています。
現行モデルに搭載されているアイサイトVer.2のステレオカメラシステムを全面的に改良し、以下の新たに3つの機能を追加しました。

   ・高速道路における使用を想定した「レーンキープアシスト」
   → 同一車線内を中央維持走行、車線逸脱抑制機能を持つ。
   ・「AT誤後進抑制制御」
   → 後退時のペダル踏み間違いによる事故被害の軽減を図る。
   ・障害物の回避をアシストする「危険回避アシスト」
   → ドライバーの衝突回避操舵を支援する。

次世代バージョンは、運転支援システムから運転制御システムへの進化を意味しています。運転を支援する目的で開発されたアイサイトが、ついに自動運転を目指そうとしているのです。

(まとめ 日本科学技術連盟 安隨正巳)

セミナーサイトユーザーログイン

ID
パスワード

次回から自動的にログインする

パスワードを忘れた方はこちら

新規会員登録はこちら

QCサークル大会

セミナー検索

  • 各種メールマガジン登録
  • ISO審査登録センター
  • 大阪事務所ホームページ
  • デミング賞
  • 日本品質奨励賞
  • 企業の品質経営度調査
  • 品質経営懇話会
  • QCサークル
  • 教育/セミナー総合ガイド
  • 品質管理シンポジウム(QCS)
  • クオリティフォーラム 2017
  • ソフトウェア品質委員会
  • マネジメント監査員検定
  • QCサークル本部登録
  • 品質月間
  • 人間石川馨と品質管理
  • StatWorks
  • メールニュースアーカイブ
  • 日経テクノロジーONLINE 『品質の明日』コラム掲載中